テナントの内装や店舗の改装工事に立ち会っていると、窓のない打ち合わせ室や地下の一室に出くわすことがあります。
実はその「窓のない部屋」、建築基準法施行令が壁と天井の仕上げ材まで指定してくる特別な部屋かもしれません。
対象になるかどうかは、部屋の広さと窓の開口面積の割合で機械的に決まります。
今回はその判定基準と、求められる内装仕上げ、見落としやすい注意点までまとめて確認します
うちのテナントに窓のない打ち合わせ室があるんですが、これも内装制限を受けるんでしょうか。
床面積と窓の大きさ次第で、内装制限を受ける「窓のない居室」に当たることがあります。
まずは床面積が50平方メートルを超えているかを確認しましょう。
窓の大きさは、具体的にどれくらいあれば対象から外れるんでしょうか。
開口部の面積の合計が床面積の50分の1以上あれば対象から外れます。
- 床面積が50平方メートルを超え、開口部の面積の合計が居室の床面積の50分の1未満の居室は「窓のない居室」として内装制限を受ける
- 天井の高さが6メートルを超える居室は、この基準の対象から除かれる
- 温湿度調整を必要とする作業室など用途上やむを得ない無窓居室も同じ扱いになる
- 対象になると居室と地上に通じる廊下・階段の壁・天井を準不燃材料で仕上げなければならない
- これは主要構造部の耐火性を求める「無窓の居室」(施行令第111条)とは別の規定である
▼

目次
窓のない部屋はなぜ壁の仕上げまで制限されるのか

建築基準法はそこで、内装材そのものを燃えにくくすることで延焼の拡大を防ごうとしています。
条文が定めているのは、火災時に煙を有効に排出できるだけの開口部が無いかどうかという実質的な基準です。
窓が小さい・少ないというだけで自動的に対象になるわけではなく、この次に見る面積の計算で判定します。
自分のテナントや店舗に窓のない部屋があれば、まずその部屋の床面積を測ってください。
煙がこもりやすいから内装材そのものを燃えにくくするんですね。
そのとおりで、避難のための窓ではなく排煙のための開口部があるかどうかが基準です。
まずは対象になりそうな部屋を洗い出してみてください。
どんな広さと窓の大きさなら対象になるのか

条文の第一号がその計算式を定めています。
床面積が50平方メートルを超えて初めて、開口部の割合の計算に進みます。
数える開口部は実際に開放できる部分だけで、はめ殺しの窓や小さな明かり取りは数えられないことがあります。
床面積の測量と同時に、窓や欄間など開放できる部分の面積も合計しておいてください。
窓があっても対象になることがあるんですね。
そのとおりで、窓の有無ではなく面積の割合で判定される点が見落としやすいところです。
床面積と開口部の面積を両方メモしておきましょう。
対象になると壁と天井にどんな仕上げが求められるのか

条文が指定する「第一項第二号に掲げる仕上げ」とは、準不燃材料(またはこれに準ずるものとして国土交通大臣が定めた材料の組合せ)で仕上げることです。
石膏ボードなど一般的な内装材の多くはこの基準を満たしますが、木材の羽目板をそのまま張るような仕上げは条件を満たさないことがあります。
対象の部屋を改装するときは、部屋の中の壁・天井だけでなく、地上に出るまでの廊下や階段の仕上げ材もあわせて確認してください。
部屋の中だけ直せば済むと思っていました。
地上へ出る経路まで含めて仕上げを合わせる必要があります。
改装の見積もりを取るときはこの範囲を必ず伝えてください。
実務で見落としやすいのはどこか

建築基準法施行令第111条が定める「無窓の居室」は、居室を区画する主要構造部を耐火構造や不燃材料にすることを求める規定で、今回の内装仕上げの基準とは別の条文です。
主要構造部を耐火構造にしたからといって、内装制限が免除されるわけではありません。
第二号のように温湿度管理が必要な作業室で窓が設けられない場合も、同じく内装制限の対象になることをあわせて覚えておいてください。
似た名前の規定が2つあるのはややこしいですね。
そのとおりで、主要構造部の基準と内装仕上げの基準は別物だと覚えておいてください。
片方だけ満たして安心しないようにしましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

まず窓のない部屋、または窓が小さい部屋の床面積を測り、50平方メートルを超えているか確認します。
超えていれば、その部屋の開口部の面積の合計を出し、床面積の50分の1と比べます。
対象になる場合は、部屋だけでなく地上に出るまでの廊下や階段の壁・天井の仕上げ材も一緒に見直してください。
今日さっそく窓のない部屋の面積を測ってみます。
床面積と開口部の面積を測ったら、計算だけで対象かどうかが分かります。
迷う数値が出たら遠慮なくご相談ください。
よくある質問
まとめ
窓のない部屋の内装制限が数字だけで決まると分かりました。
さっそく測ってみます。
床面積、開口部の面積、天井の高さ、この3つの数字を押さえれば見落としが減ります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第三十五条の二(特殊建築物等の内装)
- 建築基準法施行令第百二十八条の三の二(制限を受ける窓その他の開口部を有しない居室)
- 建築基準法施行令第百二十八条の五(特殊建築物等の内装)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または特定行政庁にご確認ください。





