2026年10月31日昼、山口県防府市江泊のリサイクル工場で火災が発生しました。テレビ山口は建屋1棟が全焼した一方、従業員は避難し無事だったと報道。山口新聞も工場全焼とけが人なしを伝えています。
㈱防災屋は、稼働中の機械から火や煙が出たとき、設備の操作に固執せず通報と退避へ切り替える判断に着目します。本記事は11月1日分として11月2日に補完公開した記事です。
目次
防府市のリサイクル工場火災で確認できた事実

プラスチックを粉砕していた機械が出火原因ですか。
稼働中の作業内容だけでは出火原因は確定しません。警察・消防の調査結果と、報道された作業状況を区別します。
- 場所
- 山口県防府市江泊・リサイクル工場
- 通報
- 2026年10月31日午後0時10分ごろ、従業員から119番へ
- 被害
- テレビ山口は鉄骨スレートぶき建屋約441㎡が全焼、付近への延焼なしと報道
- 消火
- 通報から約1時間10分後に消し止められたと報道
- 人的被害
- 従業員は逃げ出して無事。山口新聞もけが人なしと報道
- 原因
- 警察・消防が調査中
テレビ山口によると、工場は稼働中で、機械を使ってプラスチックを粉砕していました。ただし、作業中だったことと出火原因が確定したことは別です。具体的な発火箇所、設備の不良や異物混入の有無を推測して断定しません。
報道時点で、警報設備の作動、初期消火の実施や機械停止の手順は確認できません。以下は今回の工場の対応を評価するものではなく、同様の施設で平時に共有したい一般的な備えです。
稼働中の異変を通報と退避へつなぐ備え

機械から煙が出たら、まず何を優先しますか。
安全に操作できる範囲を超えたら、通報と退避を優先します。操作盤へ近づくことや原因探しを初動の条件にしません。
設備に異変が出たときは、安全に行える停止操作と、現場へ近づかない判断を事前に分けておくことが大切です。止める人だけに対応を集中させず、通報と避難誘導を別の担当へ割り当てます。
- 設備担当:停止装置の位置と、安全に操作できる範囲を平時に確認する
- 通報担当:所在地・工場名・燃えているように見える設備を119番へ伝える
- 避難担当:周囲へ知らせ、出口と集合場所へ誘導する
停止操作の条件と通報担当を平時に決める

非常停止ボタンを押すためなら、煙のある場所へ入ってよいですか。
煙や熱のある場所へ、停止操作のために入ることはしません。平時に操作位置と担当を確認し、危険な場合は退避します。
- 設備担当:メーカーの手順を基に、非常停止と電源遮断の役割の違いを確認する
- 管理者:安全に停止できない場合の退避手順を決める
- 通報担当:発見した現象と未確認の内容を分けて伝える
火や煙の近くで停止操作を続けたり、機械内部を開けて確認したりすると、避難が遅れるおそれがあります。安全に停止できない状況では、原因の確認より人の退避を優先する方針を共有します。図は連絡手順を整理する一般例です。
避難経路を確保し、在館者を安全な場所で確認する

避難した従業員が全員そろわないときは戻りますか。
捜しに戻らず、未確認者の最後の所在を消防隊へ伝えます。避難済みと所在未確認を分けて整理します。
- 各部門:原料や製品で通路・出口を塞がない
- 点呼担当:従業員、来訪者、外部作業者を確認できる名簿や記録を整える
- 連絡担当:未確認者の最後の場所と時刻を整理する
人数が合わないことと、建物内に残っていると確認できたことは別です。推測で断定せず、消防隊へ分かる情報を伝えます。図は事務所内の一般的な通路確認です。
原料と設備の情報を消防へ引き継ぎ、再開は点検後にする

煙が見えなくなったら、機械を再起動してよいですか。
鎮火だけで設備の安全が保証されるわけではありません。立入制限と点検の範囲を確認してから復旧を判断します。
- 保管担当:原料・製品・燃料等の種類と位置を、分かる範囲で整理する
- 施設管理者:建物配置、出入口、鍵の管理と連絡先を共有する
- 責任者:設備メーカーや関係業者と点検・再稼働の条件を確認する
原料の種類や機械の状態を伝えるために、危険な建物へ資料を取りに戻らないよう、図面や一覧の控えを準備します。図は書類整理の一般例です。再入場・再稼働は消防等の指示と関係業者の点検を踏まえて判断します。
まとめ
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
本文図版は平時の一般的な備えを示し、今回の現場を再現したものではありません。
執筆:㈱防災屋
監修・編集:青木俊輔








