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屋外貯蔵タンクの基礎はなぜ地震と腐食の両方に備えるのか|堅固な固定と底板の防食措置を解説

屋外貯蔵タンクの基礎はなぜ地震と腐食の両方に備えるのかを解説する記事のアイキャッチ画像

屋外貯蔵タンクは、大きな金属の器をただ地面に置いただけの設備ではありません。
地震の揺れや強風の力を受け止める基礎の基準と、雨風にさらされ続ける底板の腐食を防ぐ基準は、政令と規則で別々に定められています。
どちらも普段の外観からは気づきにくい部分ですが、点検や維持管理を怠ると重大な事故につながりかねません。
この記事では屋外貯蔵タンクの基礎が地震と腐食の両方にどう備えているのかを、条文に沿って解説します。

うちの屋外貯蔵タンク、支柱が細く見えて地震のとき心配なんです。

屋外貯蔵タンクは、地震や風の力を基礎全体で受け止める構造にすることが政令で義務付けられていますよ。

底のほうはずっと地面に接しているので、錆びていないか気になります。

底板の腐食対策も、政令と規則で具体的な方法まで決められています。順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 屋外貯蔵タンクは地震及び風圧に耐える構造にしなければならない
  • 対象は特定・準特定屋外貯蔵タンク以外のタンクである
  • タンクは堅固な基礎及び地盤の上に固定する
  • 地震動や風荷重の計算方法は告示で定められている
  • 底板が地盤に接するタンクは底板外面の腐食防止措置を講じなければならない

屋外貯蔵タンクの基礎は特定準特定以外が対象で基礎と地盤に固定し底板は防食措置を講じ計算方法は告示で定めることを示した図解

屋外貯蔵タンクの基礎はなぜ地震と腐食の両方に備えるのか

屋外貯蔵タンクが基礎の上に固定されている様子
屋外貯蔵タンクの基準は、地震・風圧という外からの力と、腐食という内からの劣化の両方を見ています。
条文でも別々の号で定められています。
危険物の規制に関する政令第十一条第一項 屋外タンク貯蔵所(次項に定めるものを除く。)の位置、構造及び設備の技術上の基準は、次のとおりとする。(略)
五 屋外貯蔵タンクは、総務省令で定めるところにより、地震及び風圧に耐えることができる構造とするとともに、その支柱は、鉄筋コンクリート造、鉄骨コンクリート造その他これらと同等以上の耐火性能を有するものであること。(略)
七の二 屋外貯蔵タンクのうち、底板を地盤面に接して設けるものにあつては、総務省令で定めるところにより、底板の外面の腐食を防止するための措置を講ずること。
地震と腐食は別の物理現象です。
第五号が地震や風という一時的で大きな力への備えを定め、第七号の二が経年で進む腐食という別の劣化への備えを定めています。
どちらも屋外タンク貯蔵所の技術上の基準の一部で、片方だけ満たせばよいものではありません。
基礎まわりを点検するときは、この二本立ての基準を意識すると見落としが減ります。

地震対策と腐食対策って、別々の基準だったんですね。

そのとおりです。次はそれぞれの中身を見ていきましょう。

耐震・耐風圧構造の対象になるのはどんなタンクか

大きさの異なる二つの屋外貯蔵タンクを比較する様子
すべての屋外貯蔵タンクが同じ耐震基準の対象というわけではありません。
タンクの規模によって適用される条文が分かれています。
危険物の規制に関する規則第二十一条第一項 令第十一条第一項第五号の規定による地震又は風圧に耐えることができる構造(特定屋外貯蔵タンク及び準特定屋外貯蔵タンク以外のタンクに限る。)は、地震動による慣性力又は風荷重による応力が屋外貯蔵タンクの側板又は支柱の限られた点に集中しないように当該タンクを堅固な基礎及び地盤の上に固定したものとする。
規則第二十一条が扱うのは、比較的小規模なタンクだけです。
特定屋外貯蔵タンク(貯蔵量千キロリットル以上)や準特定屋外貯蔵タンク(同五百キロリットル以上千キロリットル未満)は、政令第十一条第一項第三号の二・第三号の三で基礎及び地盤について平板載荷試験など、より詳細な総務省令の基準に別途従うことになっています。
つまりタンクの規模が大きくなるほど、基礎の基準はこの条文よりも厳しい別の規定に切り替わるということです。
自社のタンクがどちらの区分かを確認しておくことが、最初の一歩になります。

大きいタンクのほうが基準が厳しいのは何となく分かる気がします。

はい。今回はより一般的な、この条文が適用されるタンクを中心に見ていきますね。

地震や風の力はどうやって基礎へ逃がすのか

屋外貯蔵タンクの基礎に地震や風の力が均等にかかる様子
条文の核心は「力を一点に集めない」という考え方です。
どうやって実現するのかを見ていきます。
危険物の規制に関する規則第二十一条第一項 (略)地震動による慣性力又は風荷重による応力が屋外貯蔵タンクの側板又は支柱の限られた点に集中しないように当該タンクを堅固な基礎及び地盤の上に固定したものとする。
第二項 前項の地震動による慣性力及び風荷重の計算方法は、告示で定める。
タンクの重さと揺れは、基礎全体で分散させて受け止めます。
地震のときの慣性力や強風による応力が、側板や支柱の一部だけに集中すると、その部分が変形したり破損したりする危険があります。
だからこそ規則は、堅固な基礎及び地盤の上へタンクをしっかり固定することを求めているのです。
具体的な計算方法は条文には数値として書かれておらず、総務省令が定める告示の中で示されている点も押さえておきたいところです。

数値そのものは条文に出てこないんですね。

そうなんです。設計や施工の段階で専門業者が告示に沿って計算しますので、任せて大丈夫ですよ。

底板が地盤に接するタンクはなぜ腐食対策が必要なのか

屋外貯蔵タンクの底板の下に防食材料の層がある断面
地面に接している底板は、常に湿気や土壌と向き合っています。
規則は、この底板の腐食を防ぐ具体的な方法を三つ示しています。
危険物の規制に関する規則第二十一条の二 令第十一条第一項第七号の二(同条第二項においてその例による場合を含む。)の規定による屋外貯蔵タンクの底板(アニュラ板を設ける特定屋外貯蔵タンクにあつては、アニュラ板を含む。以下この条において同じ。)の外面の腐食を防止するための措置は、次に掲げるいずれかによるものとする。
一 タンクの底板の下に、タンクの底板の腐食を有効に防止できるようにアスフアルトサンド等の防食材料を敷くこと。
二 タンクの底板に電気防食の措置を講ずること。
三 前各号に掲げるものと同等以上の底板の腐食を防止することができる措置を講ずること。
腐食対策は一つのやり方に限られていません。
一号は底板の下に防食材料を敷いて水分や土壌との直接の接触を断つ方法、二号は電気的な仕組みで金属の腐食を抑える電気防食という方法です。
三号は「これらと同等以上の効果があれば他の方法でもよい」という受け皿になっています。
なおアニュラ板を持つ特定屋外貯蔵タンクでは、このアニュラ板も含めて防食措置の対象になる点は見落としやすいので注意してください。

うちのタンクがどっちの方法を使っているか、今度確認してみます。

台帳や設計図書に記載があるはずですので、一度確認しておくと安心です。

明日からなにを確認すればよいのか

担当者がチェックリストを持ちタンクの基礎を点検する様子
条文の要件を実際の確認作業に落とし込むと、次のようになります。
明日からできることから始めましょう。
  • 自社のタンクが特定・準特定屋外貯蔵タンクかどうかを設計図書や許可証で確認する
  • タンクが堅固な基礎及び地盤の上に固定されているかを目視で確認する
  • 底板が地盤面に接する構造かどうかを確認する
  • 底板の腐食防止措置がアスファルトサンド・電気防食・同等の措置のどれに当たるかを記録で確認する
  • 基礎まわりに沈下やひび割れなど異常のサインがないか定期的に見て回る
これらは特別な資格がなくても始められる確認です。
気になる点があれば、専門業者や所轄消防署に相談することをおすすめします。

チェックリストにして、次の巡回で確認してみます。

それが一番確実な方法です。分からないことがあればいつでもご相談ください。

よくある質問

Q特定屋外貯蔵タンクも規則第二十一条の耐震・耐風圧構造の基準の対象になりますか?
Aいいえ。規則第二十一条が定める基準は、特定屋外貯蔵タンク及び準特定屋外貯蔵タンク以外のタンクが対象です。特定・準特定屋外貯蔵タンクは基礎及び地盤について別途、平板載荷試験等の総務省令で定める試験に適合することが求められています。
Q底板の防食措置はすべての屋外貯蔵タンクに必要ですか?
Aいいえ。底板を地盤面に接して設けるタンクが対象です。基礎の上に脚を設けて底板が地面に直接触れない構造のタンクは、この規定の対象になりません。
Q底板の防食措置にはどんな方法がありますか?
Aアスファルトサンド等の防食材料を敷く方法・電気防食の措置を講ずる方法・これらと同等以上の措置を講ずる方法の三つのいずれかによります。
Q地震動や風荷重の具体的な計算方法はどこで確認できますか?
A条文自体には数値は書かれておらず、総務省令が定める告示で計算方法が示されています。設計や施工を依頼する専門業者に確認するのが確実です。

まとめ

屋外貯蔵タンクは地震及び風圧に耐える構造が義務付けられている
対象は特定・準特定屋外貯蔵タンク以外のタンクである
地震動や風荷重が限られた点に集中しないよう固定する
タンクは堅固な基礎及び地盤の上に固定する
計算方法は告示で定められている
底板が地盤に接するタンクは腐食防止措置を講じる
措置はアスファルトサンド・電気防食・同等以上の措置のいずれかによる

地震と腐食、それぞれ別の基準で守られているとよく分かりました!

基礎まわりは目に付きにくい分、定期的な確認が大切です。㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第十一条第一項第五号・第七号の二
  • 危険物の規制に関する規則第二十一条・第二十一条の二

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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