BLOG

危険物を運搬容器に積むときはなぜ収納口を上に向けるのか|崩れ落ち防止と積み重ねの高さも解説

危険物を積むとき収納口はなぜ上に向けるのかを解説する記事のアイキャッチ画像

危険物の規制に関する政令第二十九条は、危険物を運搬容器に積み込むときの積載方法の技術上の基準を定めています。
容器そのものの基準(第二十八条)とは別に、どう詰めてどう積むかという行為そのものに基準が置かれています。
収納口の向きや転落防止、積み重ねの高さまで、積み込みの一つひとつに求められることがあります。
この記事では政令第二十九条に基づいて、危険物を運搬容器に積載するときの基準を解説します

容器さえ正しければ、あとはどう積んでも同じだと思っていました。

積み方そのものにも別の基準があります。
容器の基準(第二十八条)とは別枠だと覚えておいてください。

収納口の向きまで決まっているんですか。

はい、上に向けて積載することが定められています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 危険物を運搬容器に積むときは、政令第二十九条が定める積載方法の技術上の基準に従う
  • 危険物は運搬容器に収納して積載するのが原則だが、塊状の硫黄等など三つの例外がある
  • 積載は危険物や容器が転落・落下・転倒・破損しないように行う
  • 運搬容器は収納口を上方に向けて積載しなければならない
  • 運搬容器を積み重ねるときは総務省令で定める高さ以下にする

積載方法の基準とは何を定めているのか

運搬容器を積んだトラックの荷台

運搬容器そのものの基準を満たしていても、積み方が違えば事故につながります。
政令は容器の基準(第二十八条)とは別に、積み込む行為そのものに基準を置いています。

危険物の規制に関する政令第二十九条 法第十六条の規定による積載方法の技術上の基準は、次のとおりとする。

積載方法には専用の基準があります
第二十八条は容器そのものの基準、第二十九条は積み方の基準と、対象が分かれています。
容器に収納する原則から積み重ねの高さまで、号ごとに違う場面を規制しています。
どの号も積み込んだ危険物が漏れる・崩れる・壊れることを防ぐという発想は共通していますが、注目する場面は号ごとに違います。
次からその中身を順番に見ていきます。

容器の基準と積み方の基準は別物なんですね。

第二十八条と第二十九条で対象が分かれています。
順番に確認していきましょう。

危険物はどんな容器にどう詰めて積載すればよいのか

ドラム缶と塊状の硫黄が並ぶ荷台

積載の原則は、運搬容器へ正しく収納することです。
ただし、性質上それが難しい危険物には三つの例外が用意されています。

危険物の規制に関する政令第二十九条第一号 危険物は、前条の運搬容器に総務省令で定めるところにより収納して積載すること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
イ 塊状の硫黄等を運搬するため積載する場合
ロ 危険物が漏れ、あふれ、又は飛散するおそれが少なく、かつ、防火上支障がないものとして、総務省令で定める場合
ハ 危険物を一の製造所等から当該製造所等の存する敷地と同一の敷地内に存する他の製造所等へ運搬するため積載する場合

容器への収納が原則です
イは塊状の硫黄等、ロは漏れやあふれのおそれが少ないもの、ハは同一敷地内での運搬という三つの例外があります。
三つとも「容器に入れなくても危険が小さい」場面に限られており、原則を崩す例外ではありません。
自分の危険物や運搬の状況がこの三つのいずれかに当たるかどうかを、積み込む前に確認してください。
当てはまらなければ、必ず運搬容器に収納してから積載します。

うちで扱う塊は全部容器に入れないといけないと思っていました。

塊状の硫黄等は例外の一つです。
ただし他の二つの例外に当たるかも、あわせて確認してください。

積み込むときに崩れないためにはどうすればよいのか

ストラップで固定されたドラム缶と上向きの収納口

容器を選んだあとは、実際に荷台へ積み込む段階の基準があります。
崩れないことと、収納口の向きの二つが求められています。

危険物の規制に関する政令第二十九条第三号 危険物は、当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒し、若しくは破損しないように積載すること。
同条第四号 運搬容器は、収納口を上方に向けて積載すること。

崩れないことと向きの両方が求められています
第三号は転落・落下・転倒・破損という結果を防ぐことを求め、第四号は収納口を上方に向けることを求めています。
収納口が横や下を向いていると、揺れや衝撃で中身が漏れ出す危険が高まります。
固定の仕方は条文に書かれていませんが、走行中の振動を想定してしっかり固定する必要があります。
積み込んだ直後に、向きと固定の両方を目で確認する習慣をつけてください。

ドラム缶は横に寝かせたほうが安定すると思っていました。

収納口は必ず上方に向けます。
横に寝かせると条文の基準に反します。

運搬容器を積み重ねるときの高さはどこまでか

高さの違うドラム缶の積み重ねと禁止マーク

運搬容器を荷台に積み重ねることもありますが、高さには上限があります。
政令は具体的な数値を総務省令に委ねる形で規制しています。

危険物の規制に関する政令第二十九条第七号 危険物を収納した運搬容器を積み重ねる場合においては、総務省令で定める高さ以下で、総務省令で定めるところにより積載すること。

積み重ねには総務省令で定める高さの上限があります
条文自体は号だけを定め、具体的な高さの数値は総務省令に委ねる書き方になっています。
高く積みすぎると、走行中の振動で崩れたり下段の容器が破損したりする危険が増します。
自分の荷物の総務省令上の上限を確認せずに、感覚だけで積み重ねの高さを決めないでください。
上限を超えそうなときは、段数を減らすか荷台を分けることを検討します。

荷台に載る分だけ積んでしまっていました。

積み重ねの高さには上限があります。
総務省令の数値を確認してから積んでください。

積載する前に何を確認すればよいのか

積載前のトラックを点検する担当者

容器・収納・向き・高さの基準をすべて満たしたら、次は運搬方法の基準に進みます。
積載段階の確認を一つずつ整理しておきます。

危険物の規制に関する政令第二十八条 法第十六条の規定による危険物を運搬するための容器(以下「運搬容器」という。)の技術上の基準は、次のとおりとする。

積載前に容器・収納・向き・高さの四つを順に確認します
まず容器そのものが第二十八条の基準に適合しているか、次に第二十九条第一号の収納の原則か例外に当たるかを確かめます。
続いて収納口が上を向いているか、転落や破損を防ぐ固定がされているかを確認し、最後に積み重ねの高さが上限以下かを見ます。
この四つを積み込むたびにチェック欄として記録しておくと、抜け漏れが減ります。
積載の基準を満たしたら、次は第三十条の運搬方法の基準を確認してください。

確認する項目が多くて、順番を忘れそうです。

容器・収納・向き・高さの四つを順番にチェックしてください。
まずは自分の積み荷がどの号に当たるか確認しましょう。

よくある質問

Q危険物は必ず運搬容器に入れなければなりませんか?
A原則はそうですが、塊状の硫黄等など三つの例外があります。漏れや飛散のおそれが少ない場合や同一敷地内での運搬など、条件に当てはまれば容器なしでの積載が認められます。
Q運搬容器はどの向きで積めばよいですか?
A政令第二十九条第四号により、収納口を上方に向けて積載することが定められています。横に寝かせたり逆さにしたりする積み方は基準に反します。
Q運搬容器を積み重ねる高さに制限はありますか?
Aあります。政令第二十九条第七号は総務省令で定める高さ以下で積載することを求めています。具体的な数値は総務省令側で確認してください。
Q積載の基準を満たせば、あとは自由に運搬してよいですか?
Aいいえ。積載方法の基準(第二十九条)を満たしたあとも、運搬方法の基準(第三十条)が別に定められています。標識や一時停止の場所なども別途確認が必要です。

まとめ

危険物を運搬容器に積むときは、政令第二十九条が定める積載方法の技術上の基準に従う
危険物は運搬容器に収納して積載するのが原則だが、塊状の硫黄等など三つの例外がある
積載は危険物や容器が転落・落下・転倒・破損しないように行う
運搬容器は収納口を上方に向けて積載しなければならない
運搬容器を積み重ねるときは総務省令で定める高さ以下にする
容器の基準(第二十八条)と積載方法の基準(第二十九条)は対象が異なる別の規定である
積載の基準を満たしたあとは、運搬方法の基準(第三十条)も別途確認する必要がある

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

容器・収納・向き・高さの四つを、積み込むたびに確認します。
次の運搬からさっそく実践します!

積み方一つで安全性が大きく変わります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

参考・出典

  • 消防法第16条
  • 危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第二十八条・第二十九条

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
危険物を積むとき収納口はなぜ上に向けるのかを解説する記事のアイキャッチ画像
危険物の規制に関する政令第二十九条は、危険物を運搬容器に積み込むときの積載方法の技術上の基準を定めています。 容器そのものの基準(第二十八条)とは別に、どう詰めてどう積むかという行為そのものに基準が置かれています。 収納...