ボイラーや発電設備の基準というと、壁からどれだけ離すかという話が先に出てきます。
ところが条文には、床の材料や水のかかり方まで求める号をまとめて置いた条があります。
それがその他の基準と呼ばれる条で、11の号が設備を名指ししながら並んでいます。
この記事では屋内に置く燃料タンクの床から特例が及ばない理由までを条文から解説します。
ボイラー室の床に灯油のタンクを直接置いています。
床のことまで決まりがあるのでしょうか。
屋内に設ける場合は不燃材料で造られた床上に置くことが求められます。
省令の第16条という条の一番目の号です。
その第16条というのは何を集めた条なのですか。
令が省令にゆだねたその他の基準です。
ほかの条で書ききれなかった号がここに集まっています。
- その他の基準は消防法施行令第5条第2項を受けた省令第16条に置かれています。
- この条には11の号が並び急速充電設備だけで三つの号を占めています。
- 屋内に設ける液体燃料の燃料タンクは不燃材料で造られた床上に設けることが求められます。
- 電気を熱源とするものには電線と接続器具について短絡を生じない措置が求められます。
- 特例を定める省令第17条の適用しない規定にこの条は一度も挙がっていません。
▼

目次
その他の基準とはどの条文が定めているのか

その最後の一段を組み立てるのが省令です。
消防法第9条が市町村の火災予防条例に基準づくりをゆだね、その基準の骨格を施行令第5条第1項が11の号で示しています。
そこに収まらない事項を第2項が総務省令へ送り、送られた先が省令第16条です。
柱書きに第4条から前条までに規定するもののほかとあるとおり、第4条から第15条までで扱った離隔距離や構造の話とは重ならない事項がここに置かれています。
つまり自分の設備の基準を追うときは、第10条から第15条までを読んだあとに、この条にも戻ってくる必要があります。
手前の条だけ読んで終わりにしていました。
最後の条にも自分の設備の名前が出ていないか見てください。
ここだけに書かれている求めがあります。
屋内に置く燃料タンクにはどんな床が求められるのか

かっこ書きが二重に入っているので、かかる相手が絞り込まれます。
一つ目は燃料で、液体燃料を使用するものに係る燃料タンクだけが対象になります。
二つ目はかっこの中のかっこで、そこからさらにストーブが除かれます。
三つ目は場所で、屋内に設ける場合にあってはと書かれているため、屋外に置くタンクはこの号では読みません。
求められているのは不燃材料で造られた床上に設けることで、タンクそのものではなく置き場所の床が問われています。
不燃材料は省令第2条が建築基準法第2条第9号のものと定めているので、木の台や樹脂のパレットの上に直に据えているなら、そこが指摘の入口になります。
タンクの下に木の台を敷いて水平を出していました。
敷いたものまで含めて床上と見られます。
写真を撮って所轄消防署に見てもらってください。
電気を熱源とする設備と屋外に置く設備ではなにが変わるのか

設備の名前ではなく熱源で切る号があるのがこの条の特徴です。
第2号は設備の名前を挙げず、電気を熱源とするものとだけ書いているので、乾燥設備でも湯沸設備でもサウナ設備でも、熱源が電気なら読む側に入ります。
求められているのは電線と接続器具という二つの部位についての短絡を生じない措置で、本体の性能ではなくつなぎ目が見られます。
第5号のほうは設備を四つ名指しし、末尾の蓄電池設備にだけかっこ書きで建築設備を除くと添えています。
求めは位置で、水が浸入しと又は浸透するおそれのない位置にと二つの言葉を重ねているので、水が流れ込む場合としみ込む場合の両方が想定されています。
屋外の盤を基礎の上に上げてあるか、屋内でも水を使う部屋の隣や地下のピット際に置いていないかを、図面ではなく現物で見てください。
電気の乾燥機もこの号を読むのですね。
号が名前ではなく熱源で切っているからです。
電気で熱を出す設備を一覧にしておきましょう。
この条だけ特例で外れないのはなぜか

その表を第16条の側から読むと、様子が変わります。
表の上欄には火花を生ずる設備から急速充電設備まで八つが並び、それぞれの下欄に適用しない規定が書かれています。
その下欄に挙がっているのは令第5条第1項の号と省令第10条から第15条までで、第16条は下欄に一度も出てきません。
第17条の中で第16条が現れる箇所は一つだけですが、それは内燃機関を原動力とする発電設備の行を第16条第4号イに規定するものとその他のものに分けるための目印で、規定を外す側ではありません。
第10条や第11条は設備によってまるごと落ちるのに、その他の基準だけは八つのどれについても落ちない、という読み方になります。
つまり特例の表を見ても安心できないということですね。
表で落ちたあとに第16条を必ず見てください。
設備の名前が出ていればそこは生きています。
明日からなにを確認すればよいのか

令が管理の側でも同じことを求めています。
一つ目は屋内の燃料タンクの足元で、液体燃料でストーブ以外のものなら、下に敷いたものまで含めて不燃材料かを見ます。
二つ目は電気を熱源とする設備の電線と接続器具で、差し込みの緩みや被覆の傷みがないかを見ます。
三つ目は発電設備や変電設備や蓄電池設備の据え付け位置で、水がたまる場所や水が伝ってくる壁際になっていないかを見ます。
四つ目は所轄の火災予防条例で、実際に守るのは省令ではなく市町村の条例だからです。
省令の号番号と条例の号番号は一致しないことがあるので、条例の条文を開いて自分の設備の名前を探すところまでを一度やっておいてください。
まずタンクの下を見てきます。
そのまま条例の条文も開いてみてください。
設備の名前で引けば読む号が決まります。
よくある質問
まとめ
設備の名前で号を引くやり方が分かりました。
その他の基準は特例で外れないので最後まで残ります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条
- 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第2条・第3条・第16条・第17条
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





