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大阪市で上の階が後退した建物の避難器具はどこに設けるのか|設置可能階と個数の数え方

大阪市で上の階が後退した建物の避難器具はどこに設けるのかを解説する記事のアイキャッチ

道路に面した側の上の階を削ったように、上へ行くほど壁面が後ろへ下がる建物があります。
こうした建物では、上の階の窓の真下が下の階の屋上になり、避難器具を地上まで降ろせないことがあります。
大阪市消防局の消防用設備等の設置に係る運用基準には、この場合に下の階の屋上やバルコニーを降りる先として扱う特例が書かれています。
この記事では、国の基準と大阪市の運用を分けて整理し、器具の選び方と個数の数え方、東大阪市や堺市の公開基準との違いを確かめます。

大阪市内のビルで防火管理者をしています。
上の階の避難はしごが、地上ではなく途中の屋上に降りる形なのです。

上の階の壁面が後退した建物ですね。
大阪市の運用基準には、その形を扱う特例があります。

地上まで届かない器具で、基準に合うのでしょうか。
屋上から先のことも気になります。

4つの条件があり、屋上から地上への器具も求められます。
国の基準、大阪市の特例、引ける階段の順に読むと整理できます。

この記事の結論
  • 国の消防法施行令第25条第2項第1号は、階ごとに適応する避難器具と個数を定めています
  • 大阪市の運用基準は、避難器具 第8 特例基準の4で、上の階の壁面が後退した建物について、下の階の屋上又はバルコニー等へ降りる避難器具を扱っています
  • 上の階の器具は、設置可能階を1階とみなして令第25条第2項第1号の表を読み、避難ロープを除き、救助袋は垂直式とします
  • 設置可能階の個数は、要設置階又は設置可能階に必要とされる個数のうち最大の数とし、そこから3種類の階段の数を引けます
  • 令第32条又は条例第47条の規定を適用する特例なので、使えるかどうかは所轄の消防署で確かめます

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上の階が後退した建物の避難器具を消防法施行令から大阪市の運用基準と別の特例の項目へたどる流れを示す図解

国の基準は避難器具をどの階にいくつ設けると決めているのか

集合住宅のバルコニーから地上まで避難はしごが下がったイラスト
まず、国の基準を整理します。
避難器具を設ける階と個数は、消防法施行令第25条に定められています。
第1項は、避難階と11階以上の階を除き、用途と収容人員に応じて、避難器具が必要な階を5つの号に分けています。
第2項第1号は、その階に設ける器具の種類と個数の決まりです。
消防法施行令第二十五条第二項第一号(本文) 一 前項各号に掲げる階には、次の表において同項各号の防火対象物の区分に従いそれぞれの階に適応するものとされる避難器具のいずれかを、同項第一号、第二号及び第五号に掲げる階にあつては、収容人員が百人以下のときは一個以上、百人を超えるときは一個に百人までを増すごとに一個を加えた個数以上、同項第三号に掲げる階にあつては、収容人員が二百人以下のときは一個以上、二百人を超えるときは一個に二百人までを増すごとに一個を加えた個数以上、同項第四号に掲げる階にあつては、収容人員が三百人以下のときは一個以上、三百人を超えるときは一個に三百人までを増すごとに一個を加えた個数以上設置すること。
条文のいう表は、防火対象物の区分と階の組み合わせで、選べる器具を並べたものです。
中身は次のとおりです。
防火対象物の区分地階2階3階4階又は5階6階以上の階
第1項第1号((6)項)避難はしご、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、避難用タラップ滑り台、救助袋、緩降機、避難橋滑り台、救助袋、緩降機、避難橋滑り台、救助袋、避難橋
第1項第2号及び第3号避難はしご、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、滑り棒、避難ロープ、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋
第1項第4号避難はしご、避難用タラップ-滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋
第1項第5号-滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、滑り棒、避難ロープ、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、避難用タラップ滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋
表は、階が高くなるほど選べる器具が少なくなる作りです。
第2号は(5)項、第3号は(1)項から(4)項までと(7)項から(11)項までの防火対象物の階です。
これらの階では、2階なら避難ロープや滑り棒も選べますが、3階より上では選べません。
第1号の(6)項の階では、避難はしごを選べるのは地階と2階だけで、6階以上の階では滑り台、救助袋、避難橋の3つになります。
表の階は、建物の実際の階で読むのが原則です。
ところが、上の階の壁面が後退した建物では、窓の真下が下の階の屋上になり、器具が地上まで届かないことがあります。
令第25条そのものには、屋上へいったん降りる場合の定めはありません。
扱いを示しているのは、令第32条の特例と、それを使う場面を書いた国の回答や各市の運用基準です。

器具は階ごとに決まっているのですね。
では、屋上に降りる形はどこに書いてあるのでしょうか。

大阪市の場合は、運用基準の特例基準に書かれています。
次に、その中身を確かめましょう。

大阪市は上の階が後退した建物をどう扱っているのか

広い下の棟の屋上の奥に細い上の棟が載り手前が平らな屋上になった建物のイラスト
大阪市の運用基準は、第3章 第1節 避難器具の第8に特例基準を置いています。
第8の見出しには、行政指導基準を表す◆印は付いていません。
柱書は次のとおりです。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 次に適合する場合にあっては、令第32条又は条例第47条の規定を適用することができるものとする。
第8には1から7までの項目があり、上の階が後退した建物は4に書かれています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 4 4 道路の幅員による高さの制限の規制を受ける建築物等の取り扱い
要設置階の壁面が下階より後退していることにより避難器具の設置が困難である防火対象物のうち、当該下階の屋上又はバルコニー等が避難上十分な広さを有する防火対象物の場合は、次によることができる(図3-1-4)。
(1) 設置可能階(要設置階の下層階で地上に到着できる避難器具を設置することができる階をいう。以下同じ。)の屋上又はバルコニー等は、奥行きがおおむね1.5メートル以上であること
降りる先になる階を、運用基準は設置可能階と呼んでいます。
要設置階は、同じ節の第2で、避難器具を設置しなければならない階のことと定義されています。
見出しにある道路の幅員による高さの制限は、建築基準法の決まりです。
現在の建築基準法では、第56条第1項第1号が、前面道路の反対側の境界線までの水平距離に応じて、建築物の各部分の高さを制限しています。
この制限に合わせて上の階を道路から後ろへ下げた建物が、ここでの主な対象だと読めます。
本文の入口の条件は2つで、壁面が下階より後退していて避難器具の設置が困難であることと、下階の屋上又はバルコニー等が避難上十分な広さを有することです。
(1)は、その広さについて、奥行きをおおむね1.5メートル以上としています。
要設置階と設置可能階という言葉は、昭和39年の国の回答にも出てきます。
照会したのは大阪府でした。
防火対象物の避難器具の設置と緩和について(昭和39年9月30日 自消丙予発第108号 予防課長から大阪府民生部長あて回答) 問1(1)(抜粋) 要設置階より設置可能階(要設置階の下層階で露台またはバルコニーを有する階をいう。)に降下できる避難はしご(固定式)または緩降器を設けた場合は、要設置階に設けなければならない避難器具を設置可能階に設けることにより、令第32条の規定により、当該避難器具を設けたものとみなす。
この照会に対して、設問の設置基準により指導することが適切である、と回答されています。
回答に出てくる器具は固定式の避難はしごと緩降器で、降りる先は露台またはバルコニーを有する階でした。
大阪市の運用基準は、この項目の出典を示していません。
ただ、同じ言葉を使ったうえで、屋上の奥行き、器具の選び方、個数の数え方を(1)から(4)までの4つの号にまとめています。
屋上やバルコニーに物を置いて奥行きを狭めると、(1)の条件から外れるおそれがあります。

うちの屋上は、奥行きが2メートルほどあります。
広さの条件は満たしていそうです。

(1)の目安はおおむね1.5メートル以上です。
物置や室外機で狭くなっていないかも、確かめましょう。

上の階から下の階の屋上へ降りる避難器具はどう選ぶのか

上の棟の窓から手前の屋上へ白い筒状の救助袋がまっすぐ下がったイラスト
(2)は、要設置階に設ける器具の決まりです。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 4 (2) (2) 要設置階には、設置可能階の屋上又はバルコニー等に到達できる避難器具(避難ロープを除く。)を令第25条第2項第1号に規定する表に示す区分(当該表の階の区分は設置可能階を1階とみなす。)に従いそれぞれの階に適応するものとされる避難器具を設置すること。ただし、救助袋にあっては垂直式とすること
表の階の数え方を、設置可能階を起点に読み替える項目です。
運用基準の図3-1-4は、後退した部分の2つの階を上から①、②とし、①から②の階の床の高さにある屋上へ降り、そこから地上へ降りる形を描いています。
図には「②の階の床面等を地表とみなす」という注記があります。
設置可能階を1階とみなすので、そのすぐ上の階は表の2階の欄、その次の階は3階の欄で読むことになります。
例えば、6階建てで、下の棟の屋上が4階の床と同じ高さに広がり、4階が設置可能階になる建物を考えます。
5階と6階の器具は、次のように読めます。
防火対象物の区分要設置階実際の階で読んだ欄と器具設置可能階を1階とみなして読んだ欄と器具(避難ロープを除く)
第1項第1号((6)項)5階4階又は5階の欄。滑り台、救助袋、緩降機、避難橋2階の欄。滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、避難用タラップ
第1項第1号((6)項)6階6階以上の階の欄。滑り台、救助袋、避難橋3階の欄。滑り台、救助袋、緩降機、避難橋
第1項第2号及び第3号5階4階又は5階の欄。滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋2階の欄。滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、滑り棒、避難用タラップ
第1項第2号及び第3号6階6階以上の階の欄。滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋3階の欄。滑り台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、避難用タラップ
第1号の(6)項の階では、実際の階で読むと避難はしごを選べない5階でも、設置可能階へ降りる器具として避難はしごを選べる、と読めます。
一方で、(2)は2つの限定を付けています。
  • 避難ロープは、表の2階の欄に載っていても選べない
  • 救助袋は垂直式とする(図の注記は「救助袋を設ける場合は垂直降下式とすること」)
垂直式は、取り付けた開口部から真下へ降りる型の救助袋です。
設置可能階から地上までの器具について、図は「②の階より地上までに適用する避難器具」と注記しています。
屋上から先は、実際の階で表を読んで器具を選ぶ、と読めます。
同じ節の第2には、避難階が2以上ある建物で、降着側の避難階から数えた階数で表を読むことができるとする項目もあります(◆)。
読む順番を整理します。
  1. 建物の用途と収容人員から、令第25条第1項のどの号で避難器具が必要な階(要設置階)なのかを確かめる
  2. 要設置階の窓やバルコニーの真下が、地上ではなく下の階の屋上又はバルコニー等になっていないかを確かめる
  3. 大阪市の運用基準 避難器具 第8 特例基準の柱書を読み、令第32条又は条例第47条の規定を適用する特例であることを確かめる
  4. 第8の4の(1)で、設置可能階の屋上又はバルコニー等の奥行きがおおむね1.5メートル以上あるかを確かめる
  5. (2)で、設置可能階を1階とみなして令第25条第2項第1号の表を読み、要設置階の器具を選ぶ(避難ロープを除き、救助袋は垂直式)
  6. 設置可能階から地上までの器具を、実際の階で表を読んで確かめる
  7. 特例を使う計画かどうかを、設計者と所轄の消防署に確かめる

つまり、屋上までは低い階の欄で器具を選び、屋上から先は実際の階で選ぶのですね。

はい、2段に分けて読むことになります。
避難ロープが選べない点と、救助袋の型にも注意しましょう。

設置可能階の避難器具の個数はどう数えるのか

下の棟の屋上から地上へ外階段と避難はしごが降りている建物のイラスト
(3)と(4)は、設置可能階に設ける器具の個数の決まりです。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 4 (3)・(4) (3) 設置可能階に設ける避難器具の個数は、要設置階又は設置可能階に必要とされる個数のうち最大となる個数とすること
(4) (3)により算出した設置可能階に設ける避難器具の個数については、設置可能階の屋上又はバルコニー等から直接避難することができる規則第26条第2項に規定する階段、1.(1)に適合する階段又は2に適合する屋内避難階段の数を引いた数以上とすることができる。この場合において、当該引いた数が1に満たないときは避難器具を設置しないことができる。
設置可能階の個数は、上の階の必要数と比べて大きいほうに合わせます。
例えば、要設置階に必要な個数が2個、設置可能階に必要な個数が1個なら、設置可能階には2個を設けます。
昭和39年の回答は、ここが違う書き方でした。
防火対象物の避難器具の設置と緩和について(昭和39年9月30日 自消丙予発第108号 予防課長から大阪府民生部長あて回答) 問1(2) 前(1)号により、各階に設ける避難器具の個数算定に用いる収容人員は、それぞれの避難器具を用いる当該階及びその上層階の収容人員の合計を、令第25条第2項第1号に規定する収容人員として算定した必要個数を設けること。
回答は、収容人員を上の階と合計してから個数を出す数え方です。
大阪市の運用基準は、階ごとに必要とされる個数のうち最大の数とする書き方で、収容人員を合計するとは書いていません。
例えば、令第25条第1項第2号の階で、要設置階が80人、設置可能階が70人の場合を考えます。
合計の150人で数えると2個、階ごとに数えて最大を取ると1個になり、結果が変わります。
大阪市内の建物でどう数えるかは、運用基準の書き方を踏まえて、所轄の消防署に確かめてください。
次に(4)です。
(4)は、この個数から引ける階段を3種類挙げています。
引ける階段書かれている場所主な条件
規則第26条第2項に規定する階段消防法施行規則第26条第2項建築基準法施行令第120条、第121条及び第122条の規定により必要とされる直通階段で、避難階段(屋外に設けるもの及び屋内に設けるもので消防庁長官が定める部分を有するものに限る。)又は特別避難階段としたもの
1.(1)に適合する階段同じ節の第8 特例基準 1 屋外階段等の取り扱い (1)不燃材料で造った屋外階段で、建築基準法施行令第23条、第24条及び第25条の規定に適合し、避難階で幅員1メートル以上の避難通路に面しているもの
2に適合する屋内避難階段同じ節の第8 特例基準 2 屋内避難階段等の部分の取り扱い建築基準法施行令第123条第1項の規定による屋内避難階段に、有効開口面積2平方メートル以上の排煙上有効な開口部を、階段室の最上部及び階段室の各階又は各階の中間の部分ごとに設けたもの
国の規則が引けるとしている階段に、大阪市の特例基準の1と2の階段を足した形です。
1から借りているのは(1)の屋外階段だけで、(2)の地下1階から地上に至る階段は入っていません。
どの階段も、設置可能階の屋上又はバルコニー等から直接避難することができることが前提です。
参照をたどる順番を整理します。
  1. 令第25条第2項第1号と規則第26条で、要設置階と設置可能階のそれぞれに必要とされる個数を出す
  2. 第8の4の(3)で、そのうち最大となる個数を設置可能階の個数とする
  3. 設置可能階の屋上又はバルコニー等から直接避難できる階段があるかを、図面と現場で確かめる
  4. その階段が、規則第26条第2項の避難階段又は特別避難階段に当たるかを確かめる
  5. 当たらない屋外階段は、第8の1(1)を開き、不燃材料、建築基準法施行令の階段の規定、避難通路の3つの条件を確かめる
  6. 屋内避難階段は、第8の2を開き、排煙上有効な開口部の条件を確かめる
  7. (4)で、適合する階段の数を引く。引いた数が1に満たないときは、設置しないことができるとされている
第8の1には、省略できる個数を、直通階段の数から1を減じた数以下とする上限があります。
この上限が4の(4)にも及ぶかどうかは、運用基準に書かれていません。
屋上から階段までの経路が「直接避難することができる」に当たるかどうかも含めて、図面を持って所轄の消防署に確かめてください。

屋上に外階段がつながっていれば、器具を減らせる場合があるのですね。
条件の場所が3か所に分かれているとは、知りませんでした。

はい、規則と特例基準の1と2を順に開きます。
屋上から直接入れる階段かどうかが、最初の確認点です。

東大阪市や堺市では同じ建物をどう扱っているのか

屋根の形が違う3つの庁舎が横に並んだイラスト
最後に、近隣の東大阪市と堺市が公開している基準と比べます。
東大阪市の運用基準は、避難器具の11 特例基準の(3)に、大阪市と同じ見出しの項目を置いています。
奥行きがおおむね1.5メートル以上であること、避難ロープを除くこと、設置可能階を1階とみなすこと、救助袋を垂直式とすること、最大となる個数とすることは、大阪市と同じ内容です。
違いは、個数から引ける階段です。
東大阪市「避難器具の設置に係る運用基準」 11 特例基準 (3) エ エ ウにより算出した設置可能階に設ける避難器具の個数については、設置可能階の屋上、バルコニー等から直接避難することができる規則第26条第2項に規定する階段の数を引いた数以上とすることができる。この場合において、当該引いた数が1に満たないときは、避難器具を設置しないことができる。
東大阪市の運用基準が挙げるのは、規則第26条第2項の階段だけです。
大阪市の(4)にある「1.(1)に適合する階段」と「2に適合する屋内避難階段」は、東大阪市の項目には出てきません。
特例の根拠も、大阪市が令第32条又は条例第47条、東大阪市が令第32条又は条例第52条と、条例の条番号が違います。
東大阪市の運用基準には、もう1つ関係する項目があります。
東大阪市「避難器具の設置に係る運用基準」 2 共通事項 (5) 避難器具は、設置した階から地上まで避難できるように設置すること。この場合において、セットバックした防火対象物又は避難器具用ハッチに格納された避難器具のように、避難階以外のバルコニー等に一時的に降下するような場合には、次の避難器具まで誤ることなく通じるよう降着面と近接して設置すること。●
●は、東大阪市の凡例で行政指導基準を表す印です。
屋上に降りた人が、次の器具へ迷わずたどり着けるように置くことを求めています。
大阪市の運用基準の避難器具の節には、この趣旨の文は見当たりません。
次に堺市です。
堺市消防局の審査基準は、避難器具の節の全文を調べましたが、設置可能階という語は出てこず、上の階が後退した建物の項目は見当たりません。
7 特例適用基準(★)に書かれているのは、屋外階段による個数の減免です。
特定共同住宅等の節には、上階がセットバックしている特定共同住宅等の図がありますが、二方向避難型の判断例として避難経路を示すもので、令第25条の避難器具の特例を定めた項目ではありません。
各市の公開資料で確認できた範囲を並べると、次のとおりです。
比べる点大阪市東大阪市堺市
上の階が後退した建物の項目避難器具 第8 特例基準 4避難器具 11 特例基準 (3)避難器具の節には見当たらない
特例の根拠令第32条又は条例第47条令第32条又は条例第52条項目は見当たらない
降りる先の屋上又はバルコニー等奥行きがおおむね1.5メートル以上奥行きがおおむね1.5メートル以上項目は見当たらない
上の階の器具避難ロープを除く。設置可能階を1階とみなして表を読む。救助袋は垂直式大阪市と同じ内容項目は見当たらない
設置可能階の個数要設置階又は設置可能階に必要とされる個数のうち最大となる個数大阪市と同じ内容項目は見当たらない
個数から引ける階段規則第26条第2項に規定する階段、1.(1)に適合する階段、2に適合する屋内避難階段規則第26条第2項に規定する階段項目は見当たらない
一時的に降りる場合の次の器具避難器具の節には記載が見当たらない次の避難器具まで誤ることなく通じるよう降着面と近接して設置する(●)項目は見当たらない
基準に項目がないことは、その市で同じ扱いが認められないことを意味するわけではありません。
国の回答は昭和39年に示されており、令第32条を適用するかどうかは、消防長又は消防署長が個別に判断します。
複数の市に建物があるときは、建物のある市の基準を開いて、管轄の消防署で確かめ直してください。

つまり、大阪市と東大阪市はほぼ同じ内容で、引ける階段の範囲が違うのですね。

はい、公開されている基準を読む限りはそうなります。
堺市の建物は、図面を持って管轄の消防署に相談しましょう。

よくある質問

Q大阪市では、上の階が後退した建物なら必ず下の階の屋上へ降りる器具にできますか?
Aいいえ。避難器具 第8の4は、壁面が後退していて避難器具の設置が困難であり、下階の屋上又はバルコニー等が避難上十分な広さを有する場合の項目です。令第32条又は条例第47条の規定を適用する特例なので、計画の段階で所轄の消防署に確かめてください。
Q屋上へ降りる器具に、避難ロープは使えますか?
A第8の4の(2)は、要設置階に設ける避難器具から避難ロープを除くとしています。救助袋を使う場合は、垂直式とされています。
Q屋上に降りたあと、地上へ降りる器具は何個必要ですか?
A(3)は、要設置階又は設置可能階に必要とされる個数のうち最大となる個数としています。(4)により、屋上又はバルコニー等から直接避難できる階段の数を引ける場合があります。
Q東大阪市や堺市でも、同じ扱いになりますか?
A東大阪市の運用基準には同じ見出しの項目がありますが、引ける階段は規則第26条第2項に規定する階段だけです。堺市の審査基準の避難器具の節には項目が見当たらないので、管轄の消防署に確かめてください。

まとめ

✔国の消防法施行令第25条第2項第1号は、階ごとに適応する避難器具と個数を定めています
✔大阪市の運用基準は、上の階の壁面が後退した建物で、下の階の屋上又はバルコニー等を降りる先にする特例を置いています
✔降りる先の屋上又はバルコニー等は、奥行きがおおむね1.5メートル以上とされています
✔上の階の器具は、設置可能階を1階とみなして表を読み、避難ロープを除き、救助袋は垂直式とします
✔設置可能階の個数は最大となる個数とし、規則第26条第2項の階段、特例基準1(1)の屋外階段、特例基準2の屋内避難階段の数を引けます
✔東大阪市は引ける階段を規則第26条第2項の階段だけとし、堺市の避難器具の節には項目が見当たりません
✔屋上に物を置いたり階段への経路を変えたりする前に、特例の条件を見直します

屋上へ降りる避難はしごの意味が、やっと整理できました。
まずは図面で屋上から地上への器具を確かめてみます!

図面と点検結果報告書がそろっていれば、消防署への相談もスムーズに進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」凡例、第3章 第1節 避難器具 第2 避難器具の選定 2、第8 特例基準 柱書・1 屋外階段等の取り扱い・2 屋内避難階段等の部分の取り扱い・4 道路の幅員による高さの制限の規制を受ける建築物等の取り扱い (1)から(4)、図3-1-4 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
  • 東大阪市「避難器具の設置に係る運用基準」凡例、2 共通事項 (5)、11 特例基準 柱書・(3) https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
  • 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第3章 第17 避難器具 Ⅱ 細目 7 特例適用基準、特定共同住宅等 Ⅳ 構造類型告示 1(2)サ https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
  • 消防法施行令第25条、第32条
  • 消防法施行規則第26条第2項
  • 建築基準法第56条第1項第1号
  • 大阪市火災予防条例第47条
  • 防火対象物の避難器具の設置と緩和について(昭和39年9月30日 自消丙予発第108号 予防課長から大阪府民生部長あて回答)

※本記事は公表されている法令、通知および各市消防局の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。掲載した回答は発出された当時のもので、その後の改正により運用が変わっている場合があります。避難器具の種類や個数についての個別の判断は、所轄消防署にご確認ください。

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