屋内消火栓の代わりに設置できるパッケージ型消火設備には、設置できる建物の用途や面積とは別に、置き場所そのものに関する基準があります。
消火薬剤や容器を長期間良好な状態に保つため、告示は温度や日射、雨水について具体的な条件を定めています。
条件を知らずに設置すると、点検のたびに指摘を受けたり、いざというときに設備が本来の性能を発揮できなかったりするおそれがあります。
この記事では、パッケージ型消火設備の設置場所に関する条件と、その理由を解説します
屋上の物置の近くにパッケージ型消火設備を置きたいという相談を受けたんですが、屋外でも大丈夫でしょうか。
パッケージ型消火設備には設置場所の条件があり、屋外にそのまま置くのは避けたほうがよい場合があります。
面積や建物用途の基準は知っていたんですが、温度や日射のことは考えていませんでした。
見落とされがちな設置場所の基準です。
順番に見ていきましょう。
- パッケージ型消火設備は40度以下で温度変化が少ない場所に設けなければなりません。
- あわせて直射日光及び雨水のかかるおそれの少ない場所に設ける必要があります。
- 温度の上限は、消火薬剤や容器の放射性能を計画どおりに発揮させるための基準です。
- 直射日光や雨水は容器や部品の腐食を早め、点検の結果にも影響します。
- 本体には使用温度範囲の表示があり、設置場所の環境と照らし合わせて確認します。
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目次
パッケージ型消火設備はなぜ設置場所を選ぶのか

告示は、設置できる建物の用途や面積の基準とは別に、置き場所そのものについても条件を定めています。
この基準は、水平距離やホース接続口の基準などと並んで、告示第四に定められた設置及び維持に関する技術上の基準の一部です。
面積や建物用途の要件を満たしていても、この2つの条件を外れる場所には設置できません。
次の項目からは、それぞれの条件がなぜ定められているのかを見ていきます。
面積の基準さえ満たせば、あとは好きな場所に置いていいと思っていました。
面積とあわせて設置場所の環境条件も満たす必要があります。
なぜ40度以下という上限が決まっているのか

これは、パッケージ型消火設備の性能を保証する試験の基準と関係しています。
消火薬剤の性能試験も、同じ告示の第八で温度20度の状態において行うことと定められており、常温を基準に薬剤の性能が設計されています。
極端に高温になる場所では、薬剤の粘度や容器内の圧力が想定と変わり、放射性能や耐久性が計画どおりに出ない可能性があります。
だからこそ告示は、温度の上限だけでなく温度変化が少ないことまで求めているのです。
温度が高いだけで、消火薬剤の効き目まで変わってしまうんですね。
はい、放射性能の試験そのものが常温を前提にしています。
直射日光や雨水を避けるべき理由は何か

一見すると当たり前のようですが、根拠は容器そのものの性能基準にあります。
直射日光の紫外線や雨水による濡れは、どれだけ良質な材料でも腐食や劣化を早める要因になります。
容器や容器弁が腐食すると、耐圧性能や気密性能そのものに影響し、点検の判定にも関わってきます。
設置場所の条件と容器の材料基準は、消火薬剤を長く良好な状態に保つという同じ目的でつながっています。
雨ざらしにすると、見た目のさびだけの問題じゃないんですね。
そのとおりです。
耐圧性能や気密性能まで関わってきます。
実務で見落としやすい設置場所はどこか

図面上は問題なく見えても、現地を確認すると条件を外れていることがあります。
- 屋外の資材置き場や駐輪場の軒先など、屋根はあっても横殴りの雨や日射が当たる場所に置いてしまう。
- ボイラー室や厨房、機械室の近くなど、稼働中に室温が上がりやすい場所に設置してしまう。
- 設計時は日陰でも、季節や時間帯によって直射日光が差し込むようになる窓際の配置。
屋根があっても横なぐりの雨や強い照り返しが当たる半屋外、稼働中に高温になりやすい設備の近くなどは特に注意が必要です。
図面の段階だけでなく、実際に現地の温度や日射を確認することが欠かせません。
一度設置してしまうと動かしにくい設備だからこそ、置く前の確認が重要になります。
屋根さえあれば大丈夫だと思っていましたが、それだけでは足りないんですね。
はい、現地での実測まで確認しておくと安心です。
明日からなにを確認すればよいのか

手がかりになるのは、本体に表示されている使用温度範囲です。
まずはこの表示を確認し、設置場所の実際の温度や、直射日光・雨水がかかっていないかを見比べてください。
点検要領でも、機器点検の周囲の状況の項目として、目視や棒状温度計による温度確認、直射日光や雨水のおそれの確認が行われます。
設置後に環境が変わっていないかを、日常点検や法定点検のたびに見ておくと安心です。
まずは本体の表示を見て、設置場所と照らし合わせてみます。
次の点検のときに、あわせて確認しておきましょう。
よくある質問
まとめ
設置場所の条件を、もう一度確認してみます!
設置場所の条件の確認からお手伝いします。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- パッケージ型消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年5月31日消防庁告示第12号)第四・第五・第六・第九
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年10月16日消防庁告示第14号)
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日消防予第172号)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





