泡消火設備の薬剤に含まれる有機フッ素化合物の規制は、PFOSだけで終わりではありません。
令和3年、化学物質の規制対象がPFOAにも広がり、消防庁は既存の泡消火薬剤等の扱いについて留意事項を通知しました。
意図的に使われた成分か、他の製造工程で偶然生まれた成分かによって、同じPFOAでも扱いが変わることを見落とすと、点検や訓練の場面で判断を誤りかねません。
この記事では、PFOA規制の対象になる消火薬剤等の見分け方と、訓練で使うときに気をつけるべき点をわかりやすく解説します。
うちの泡消火設備、PFOSの薬剤は確認済みなんですが、PFOAというのも関係あるんでしょうか。
はい、PFOAにも技術基準が適用される場合があります。
まずはなぜ規制対象に加わったのかを見てみましょう。
PFOSと同じように考えればいいってことですよね。
いいえ、意図的に使ったかどうかで扱いが分かれます。
通知の中身を順番に確認していきましょう。
- 令和3年、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく省令の改正で、PFOA又はその塩を含む消火薬剤等にも技術基準が適用されることになり、消防庁が留意事項を通知しました。
- 技術基準の対象になるのは意図的にPFOA又はその塩を成分として含む消火薬剤等に限られ、他の化学物質の製造で非意図的に生じた副生PFOAを含む消火薬剤等は対象外です。
- 表示の扱いは、平成22年のPFOS通知が示した別紙の例による扱いがそのまま引き継がれています。
- 副生PFOAを含む消火薬剤等で放射訓練等を行う場合は、訓練計画と訓練場所の指定、改正政令の施行前に製造された薬剤等の使用を極力控えることなど、環境放出を抑える取組みが求められます。
- 廃棄するときは従前どおり廃棄物処理法等に従い、第一種特定化学物質が使われていない薬剤等への早期の切り替えも努められています。
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目次
なぜPFOSだけでなくPFOAも泡消火薬剤の規制対象になったのか

次に規制対象へ加わったPFOAについて、その経緯を確認しましょう。
PFOAはPFOSと同じ有機フッ素化合物の一種で、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の追加規制対象になったことを受け、国内の化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に基づく省令が改正されました。
この改正省令は令和3年9月21日に公布され、同年10月22日に施行されています。
古い泡消火設備の薬剤の中には、この改正より前に製造されたものが今も使われ続けている場合があります。
まずは、どんな消火薬剤等が実際に技術基準の対象になるのかを見ていきましょう。
PFOSの次はPFOAですか。
次から次に規制が増えていくんですね。
そうなんです。
次は対象になる消火薬剤等の範囲を確認しましょう。
どんな消火薬剤等が技術基準の対象になるのか

通知が示す線引きを確認しましょう。
意図的にPFOA又はその塩を成分として含む消火薬剤等は、化審法第28条第2項の「第一種特定化学物質が使用されているもの」にあたり、省令の技術基準に基づく取扱いが必要です。
一方で、別の化学物質を製造する過程で意図せず生じる副生PFOAを含む消火薬剤等は、第一種特定化学物質を意図的に使用したものではないため、この技術基準は適用されません。
成分表や安全データシートだけでは意図的か副生かの区別がつきにくいので、判断に迷うときはメーカーへの確認が欠かせません。
次は、対象になった場合の表示の扱いを確認しましょう。
意図的かどうかで対象・対象外が分かれるとは知りませんでした。
はい、自己判断が難しい部分です。
次は表示のルールを見ていきましょう。
表示の扱いはどう決まっているのか

既存のPFOS通知が示した扱いをそのまま引き継いでいます。
新しい様式が別途作られたわけではなく、平成22年9月3日付けの通知にある別紙1の3と別紙2の記載例に従うことが求められています。
つまり、既にPFOS含有消火薬剤の表示に対応している事業者であれば、同じ考え方をPFOAにも当てはめて表示を確認できるということです。
古い通知まで遡って参照する必要があるため、点検業者と一緒に該当箇所を確認しておくと安心です。
次は、実際に薬剤等を訓練や演習で使うときの注意点を確認しましょう。
表示のルールまで平成22年の古い通知に遡るんですね。
はい、点検業者に確認してもらうのが確実です。
次は訓練で使うときの注意点を見てみましょう。
訓練や演習で使うときに何を気をつければよいか

通知が示す3つの取組みを確認しましょう。
まず、放射訓練等を行う前に訓練計画を立て、あわせて訓練場所を指定しておくことが求められています。
また、令和3年の改正政令の施行前に製造された消火薬剤等を訓練に使うことは極力控え、第一種特定化学物質が使われていない訓練用の薬剤等への切り替えも検討するよう示されています。
やむを得ず古い薬剤等を訓練で使う場合は、使用する量を必要最小限にとどめ、使用薬剤量と放水量を管理することが求められます。
対象外だから何をしてもよいわけではなく、環境への配慮は訓練の場面でも続くということです。
対象外の薬剤でも、訓練のときは気をつけないといけないんですね。
そこが今回の一番の落とし穴です。
最後に、明日から確認すべき手順を整理しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

順番に見ていきましょう。
設置年や薬剤の銘柄は、設置時の届出書類や点検報告書に記載されています。
薬剤等を廃棄したり、移替え・漏出・訓練・点検で生じた汚染物を処分したりする場合は、従前どおり廃棄物処理法等の規定に従って処理します。
あわせて、第一種特定化学物質が使われていない薬剤等への切り替えを早めに検討しておくことも求められています。
迷ったときは、所轄消防署や点検業者に早めに相談してください。
まずは、うちの薬剤等がPFOAを含むかどうかを点検業者に確認してみます。
それが確実な進め方です。
これでよくある質問を確認しましょう。
よくある質問
まとめ
PFOSだけでなくPFOAまで確認しないといけないとは知りませんでした。
今度の点検のときに、点検業者へ聞いてみます。
はい。
泡消火薬剤の扱いでお困りのことがあれば、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令附則第三項の表PFOS又はその塩の項に規定する消火器、消火器用消火薬剤及び泡消火薬剤に関する技術上の基準を定める省令の一部を改正する省令の施行に伴う留意事項について(令和3年10月22日 消防消第412号・消防予第522号・消防危第234号・消防特第207号 消防庁予防課長等)
- 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律第28条第2項(昭和48年法律第117号)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





