第二種中高層住居専用地域は、住宅や学校などの決まった用途だけでなく、幅広い建物を原則自由に建てられる地域です。
ところが建築基準法別表第二(に)項第七号・第八号は、その「自由」に2つの上限を課しています。
3階建て以上にすること、そして延床面積の合計が千五百平方メートルを超えることです。
第二種中高層住居専用地域では、決まった用途以外の建物は3階建て未満かつ延床千五百平方メートル以下でなければ原則建てられません
第二種中高層住居専用地域の土地に事務所ビルを建てたいという相談があったのですが、階数や広さに制限はありますか。
実は別表第二(に)項第七号・第八号により、階数と面積の両方に上限があるんです。
まず条文で仕組みを確認しましょう。
住宅やマンションを建てる場合も、この制限は関係あるんですか。
いいえ、住宅などは対象外です。
順番に見ていきましょう。
- 第二種中高層住居専用地域では、建築基準法第48条第4項により別表第二(に)項に掲げる建築物は原則建てられません。
- 第七号は、(は)項の用途以外の建物について3階建て以上にすることを禁止しています。
- 第八号は、(は)項の用途以外の建物について延床面積の合計が千五百平方メートルを超えることを禁止しています。
- この2つの基準はどちらか一方ではなく、両方を満たさなければ建てられません。
- 例外的に建てる道は、特定行政庁の許可に限られます。
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目次
第二種中高層住居専用地域とはどんな地域か

その分だけ、隠れた上限を見落としやすい地域でもあります。
建築基準法第48条第4項 第二種中高層住居専用地域内においては、別表第二(に)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第二種中高層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
第一種(は項)は住宅・大学・病院・老人福祉センターなど特定の用途だけを積極的に許すポジティブリストで、そこに載っていない用途は原則建てられません。
一方、第二種(に項)は原則自由に建てられる中で、ホテルや自動車教習所のような個別の用途を名指しで禁止するほか、用途を問わず階数と面積で線を引く号も持っています。
それが第七号と第八号で、(は)項に載っていない一般の事務所や店舗のような建物が対象になります。
次は、その第七号が定める階数の上限を確認しましょう。
ホテルのように名指しで禁止される用途とは別に、階数や面積そのものを制限する号もあるんですね。
はい、事務所ビルのような一般の用途はこちらが本題です。
次は階数の基準を見てみましょう。
なぜ3階建て以上にすると建てられなくなるのか

条文を確認します。
住宅・学校・病院など(は)項に掲げられた用途であれば、この号の対象になりません。
しかし一般の事務所や倉庫のように(は)項に載っていない用途は、たとえ延床面積がどれほど小さくても、3階建てにした時点で第七号に抵触します。
つまり基準は延床面積ではなく、あくまで階数そのものに引かれています。
次は、もう1つの基準である面積の上限を確認しましょう。
2階建てまでに抑えれば、この号は関係なくなるということですね。
第七号だけならそのとおりですが、別の基準もあります。
次は面積の号を見ましょう。
なぜ延床面積千五百平方メートルが上限になるのか

条文を確認します。
つまり平屋や2階建てであっても、延床面積の合計が千五百平方メートルを超えれば第八号に抵触します。
参考までに、(は)項の用途に含まれる店舗は五百平方メートル以内という号が別にあり、それと比べると千五百平方メートルは緩やかな基準です。
これは第二種が「原則自由・例外的に禁止」という組み立てだからこそ許容されている範囲だと分かります。
次は、この2つの基準がどう組み合わさるのかを確認しましょう。
千五百平方メートルなら、意外とゆとりのある広さに感じます。
ただし、第七号の階数基準とセットで見る必要があります。
次はその組み合わせ方を整理しましょう。
階数と面積はどちらか一方を守れば足りるのか

もう一度、2つの号を並べて確認します。
八 (は)項に掲げる建築物以外の建築物の用途に供するものでその用途に供する部分の床面積の合計が千五百平方メートルを超えるもの(政令で定めるものを除く。)
延床面積が千五百平方メートル以下であっても、3階建てにした時点で第七号に抵触します。
逆に2階建てに抑えていても、延床面積の合計が千五百平方メートルを超えれば第八号に抵触します。
「階数を守ったから面積は多少超えてもよい」という考え方は通用しないので、計画の初期段階から両方の数値を確認する必要があります。
次は、明日から実務で確認すべき点を整理しましょう。
階数だけ見ていると、面積の見落としで痛い目に遭いそうですね。
はい、まさにそこが落とし穴です。
次は確認すべき点を整理しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

確認すべき点を整理します。
- 計画の用途が、別表第二(は)項に掲げられた住宅・学校・病院等に当たるかどうかをまず確認する
- 当たらない場合は、階数を2階建て以下に収められるかを確認する
- あわせて、延床面積の合計が千五百平方メートル以下に収まるかを実測して確認する
- いずれかを超える計画は、特定行政庁への事前相談を選択肢に入れる
(は)項の用途に当たるかどうかで、そもそも第七号・第八号の対象になるかが決まります。
対象になる場合は、階数と面積のどちらか一方だけでなく、両方の数値を確認する必要があります。
相談を受けたら、用途・階数・延床面積の順に確認を進めましょう。
用途・階数・面積の3点、まとめて確認します。
はい、その3点が出発点です。
次はよくある質問を見ていきましょう。
よくある質問
まとめ
相談してくれた方には用途と階数と面積を確認するよう伝えてみます!
特定行政庁への相談も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第48条第3項・第4項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法別表第二(は)項・(に)項第七号・第八号(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。該当性の判断や特例許可の可否は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。





