地震後の設備室で、粉末消火設備の選択弁の指針が「閉」と「開」の途中を示していました。
警報は出ておらず、配管から粉末も漏れていません。このまま手で閉位置へ戻してよいのでしょうか。
選択弁は、消火剤を放射する防護区画を切り替える重要な弁です。
途中位置を見つけたら、勝手に戻さず現状を記録して立入を管理し専門点検へつなぐことが先です。
指針が途中です。
閉位置へ戻してええですか。
触らず記録してください。
作動系統も一緒に確認します。
漏れがなければ、設備は正常ですよね。
外観だけでは判断できません。
確実に作動するかまで確認します。
- 選択弁の指針が途中なら異常として扱います
- 手で戻さず位置と時刻を触る前に記録します
- 選択弁だけでなく起動装置と操作管と防護区画を確認します
- 使用できない区画の火災安全と業務継続条件を見直します
- 専門点検と記録を終えてから復旧を承認します
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目次
地震後に粉末消火設備の選択弁が途中位置なら戻してよいのか

結論からいうと施設担当者が選択弁を手で戻してはいけません。
途中位置になった原因が、揺れによる機械的なずれなのか、起動装置や操作管からの意図しない信号なのかを外観だけで区別できないためです。
消防庁の粉末消火設備の点検基準では、総合点検で起動装置と選択弁が確実に作動し、試験用ガスが放射されることを確認します。
見た目を閉位置へ合わせただけでは、次の起動時に対象区画へ確実に放射できる状態か確認できません。
まず設備室への立入を必要な人に限り、弁の位置、指針、周辺配管、発見時刻、地震後に誰が入室したかを記録します。
そのうえで消防用設備の専門業者へ連絡してください。
閉位置に見せるだけでは足りないんですね。
はい。
作動確認までが復旧です。
どの選択弁と防護区画を確認対象にするのか

確認対象は途中位置の弁一台ではなくその弁が担当する防護区画と作動系統です。
同じ貯蔵容器群から複数の防護区画へ配管を分岐する設備では、選択弁がどの区画へ消火剤を送るかを決めます。
銘板や系統図を使い、弁番号と防護区画名を照合します。
表示が外れたり、図面上の番号と現物が一致しなかったりする場合も復旧判断を止める情報です。
- 選択弁の弁番号と開閉位置の表示
- 選択弁を開放する起動用ガス容器や電気式開放装置
- 操作管、逆止弁、配線、端子、接続部
- 選択弁の一次側と二次側の配管や支持部
- 弁が担当する防護区画と放出表示灯
- 警報装置、遅延装置、換気停止、閉鎖装置との連動
一つの異常が別の区画の利用判断にも影響する場合があります。
設備図面、前回点検票、弁番号一覧を並べ、どの区画が消火機能を失う可能性があるかを明確にします。
弁の番号だけ見たら足りますか。
図面と現物と区画名を三点照合します。
発見から専門点検と復旧判断までどう進めるのか

現状保存と影響区画の特定を先に行い操作は専門業者へ引き継ぎます。
設備室で不審な音、ガスの漏えい、配管の変形などがある場合は、無理に近づかず安全な場所から連絡してください。
- 設備室の安全を確認し、不要な立入を止める
- 選択弁と指針を複数方向から撮影する
- 弁番号、防護区画、発見時刻、発見者を記録する
- 受信盤や放出表示灯など関連表示を確認する
- 専門業者へ地震規模と現場情報を伝える
- 影響区画の利用条件と代替措置を決める
- 専門点検の結果と復旧承認を記録する
点検では、外形や表示に加え、開放装置、操作管、逆止弁、配管接続部、連動機器を確認します。
総合点検に相当する作動確認が必要かは設備方式と損傷状況により異なるため、施設側だけで試験起動しません。
設備が使用できない間は、対象区画の火気使用停止、巡回強化、可燃物の移動、代替消火手段、消防機関への情報共有などを現場条件に応じて検討します。
写真を撮ってから連絡したらええんですね。
危険がなければ記録します。
異音や漏れがあれば退避優先です。
指針だけを閉位置へ戻すと何を見落とすのか

指針を閉位置へ合わせても内部機構や起動系統の異常は消えません。
弁本体の固着、軸やリンクの変形、開放装置の不復帰、操作管の圧力残り、配管支持部のずれなどが隠れている可能性があります。
- 指針と実際の弁体位置が一致していない
- 開放装置や操作管が復帰していない
- 弁の二次側配管や支持金具が地震で動いている
- 防護区画名や弁番号の表示がずれている
- 警報や換気停止など一部の連動だけが不調である
告示は、選択弁が使用時に破壊や亀裂などの異常を生じず、管と確実に接続でき、ほこりや湿気で機能異常を生じない構造を求めています。
地震後の確認でも、表示と操作感だけでなく弁本体と接続部と作動機能を分けて見ます。
選択弁が戻ったように見えても、専門点検結果、是正内容、試験結果がそろうまでは正常復旧と扱いません。
見た目だけの復帰をBCPの再開条件にしないことが重要です。
指針が閉なら正常とは限らないんですね。
はい。
中身と連動まで確認します。
明日から選択弁の確認手順をどう整えるのか

選択弁番号と防護区画と連絡先を地震後点検表へまとめます。
発災してから図面を探す運用では、影響区画の特定が遅れます。
- 選択弁ごとの弁番号と防護区画名を一覧にする
- 正常時の指針位置を写真で残す
- 設備室へ入れる担当者と代行者を決める
- 触らず確認する項目と退避条件を明記する
- 消防用設備の専門業者の連絡先を複数化する
- 設備停止中の区画利用条件と代替措置を決める
- 復旧承認者と記録の保管場所を決める
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務の継続に必要な経営資源を把握し、代替戦略や復旧手順を平時から用意する考え方を示しています。
粉末消火設備が守る区画を経営資源として整理し、設備が使えない場合に止める業務と続ける条件を具体化します。
訓練では、異常を見つけた担当者が「触らない」「記録する」「区画を特定する」「専門業者へ連絡する」を実行できるか確認します。
点検表は消防計画とBCPの双方からたどれる場所へ保存してください。
弁番号と区画名を平時にそろえます。
ええですね。
代替措置と承認者も決めましょう。
よくある質問
まとめ
弁番号と正常位置の一覧を作ります!
触らない手順と復旧条件まで決めましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第21条
- 総務省消防庁 不活性ガス消火設備等の選択弁の基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準 点検要領 点検票
- 総務省消防庁 別表第8 粉末消火設備の点検の基準
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。粉末消火設備の選択弁が正常位置と異なる場合は自己判断で操作せず消防用設備の専門業者へ相談してください。個別の停止、代替措置、点検、復旧、業務再開は、設備方式と現場状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





