BLOG

BCPで地震後に消防ポンプのアンカーボルトが緩んでいたら試運転してよいのか|耐震措置と復旧確認の手順を解説

えんじ色の上着と黒の長ズボンの作業員が消防ポンプのアンカーボルトを記録するアイキャッチ

地震後にポンプ室を見回り、消防ポンプの脚元にあるナットが浮いていたらどうしますか。
見た目にはポンプ本体が倒れておらず、少し締めれば使えそうに見えるかもしれません。
しかしアンカーボルトの緩みは、据付部だけでなく、ポンプと電動機の位置、配管の可とう管継手、支持金具にも力がかかった可能性を示します。
施設担当者が締め直して試運転せず発見時の状態を残して専門点検へつなぎます

ポンプのナットが浮いています。
締めたら動かせますか。

締め直す前に状態を記録します。
運転判断は保留してください。

緩んだ1本だけ見ればよいですか。

1本だけでは足りません。
据付部と配管全体を確認します。

この記事の結論
  • 緩んだアンカーボルトを施設担当者だけで締め直しません
  • ナットの位置と隙間とポンプ全体の状態を操作前に記録します
  • 全アンカーボルトと基礎と可とう管継手まで確認します
  • 締め直しただけで復旧済みと判断しません
  • 専門点検と暫定措置と施設再開条件をBCPへ記録します

地震後に消防ポンプのアンカーボルトの緩みを記録し据付部と配管を専門点検する横長アイソメ図

地震後に消防ポンプのアンカーボルトが緩んでいたら試運転してよいのか

消防ポンプのアンカーボルトの緩みを操作前に記録する担当者のアイソメ図

結論からいえば、施設担当者がナットを締めて確かめるための試運転は行いません
アンカーボルトは、加圧送水装置を据付面に固定し、地震時や運転時の力を基礎へ伝える部分です。

消防庁の屋内消火栓設備点検基準は、貯水槽、配管、加圧送水装置等の耐震措置について、アンカーボルトや可とう管継手等に変形、損傷、著しい腐食等がなく、耐震措置が適正に行われていることを確認項目にしています。

点検要領は、据付支持等を目視とスパナ等で確認し、アンカーボルトやナット等に緩みや脱落がないことまで判定します。
緩みが見つかった時点で、耐震措置が正常と確認できる状態ではありません。
締付けには、ボルトの状態、設計上の締付け、基礎のひび割れ、据付面の浮き、ポンプと電動機の位置関係を確認する必要があります。
安全な位置から、全景、緩んだナット、座金、基礎、周囲の配管、可とう管継手、制御盤の表示を撮影してください。
締め直し起動ボタンの操作配管への接触は避け、消防設備士や保守会社へ引き継ぎます。
火災や煙がある場合は、設備確認より119番通報と避難を優先し、消防隊へ不具合を伝えてください。

締める前の写真が必要なんですね。

はい。
操作前の隙間と位置を残します。

どの設備と据付部を対象に確認するのか

消防ポンプと電動機と基礎と可とう管継手を一体で示すアイソメ図

緩んだ1本だけでなく加圧送水装置の据付部と接続配管を一組で確認します
ポンプ方式の加圧送水装置は、ポンプ、電動機、制御盤、呼水装置、起動用水圧開閉装置などで構成されます。

消防庁の点検要領では、耐震措置の対象として貯水槽、配管、加圧送水装置等の据付支持を挙げ、可とう式管継手、アンカーボルト、ナット、壁や床の貫通部分を確認します。

設備図、基礎図、仕様書、最新の点検票を用意し、次を照合します。

  • ポンプと電動機を固定する全アンカーボルトとナット
  • 共通ベースとコンクリート基礎と据付面
  • ポンプと電動機の連結部と位置関係
  • 吸込側と吐出側の可とう管継手と配管支持
  • 同じ加圧送水装置が受け持つ消防用設備と防護範囲

一本のナットが浮いていても、ほかのボルトに荷重が偏っている可能性があります。
基礎の角やグラウトにひび割れがあれば、締付けだけでは据付状態を戻せません。
可とう管継手の変形や配管支持のずれは、ポンプの吸込側や吐出側に無理な力を伝えることがあります。
記録には機器番号ボルト位置接続する設備を入れ、点検範囲を明確にしてください。

緩んだ場所だけ直すのではないんですね。

そうです。
固定と接続の全体を見ます。

発見から専門点検と復旧確認までどう進めるのか

立入範囲を区切って消防ポンプの据付部を専門点検する作業員のアイソメ図

状態保全と系統特定を先に行い据付部と運転状態の確認を専門家へ引き継ぎます
BCPでは、設備の異常発見から施設の使用判断まで、担当者と承認者を分けて記録します。

消防庁の点検要領は、据付支持を目視およびスパナ等で確認し、アンカーボルトやナット等に変形、損傷、緩み、脱落、著しい腐食等がないことを判定します。総合点検では加圧送水装置の作動、表示、運転電流、異音、異常振動、発熱等も確認します。

実務では次の順序で進めます。

  1. 転倒物や漏電や配管損傷の危険を安全な位置から確認する
  2. ポンプ全景と緩んだボルトと基礎を操作前に撮影する
  3. 図面で加圧送水装置と対象となる消防用設備を特定する
  4. 消防設備士や保守会社へ地震情報と発見記録を引き継ぐ
  5. 全アンカーボルトと基礎と可とう管継手を専門点検する
  6. 据付状態を是正した後に作動と異音と異常振動を確認する
  7. 復旧承認と暫定措置と施設の使用条件を記録する

スパナ等による確認は、締めれば終わりという意味ではありません。
専門家がボルトやナットの損傷、基礎の状態、必要な締付け、ポンプと電動機の位置、配管から受ける力を確認したうえで是正します。
作動確認では、制御盤の表示だけでなく、運転電流、異音、異常振動、発熱、漏水を確認します。
施設担当者は、立入管理、図面と点検票の準備、関係者への連絡、業務影響の整理を担ってください。
最後に据付状態の是正運転状態の確認再開承認を同じ記録へ残します。

施設側は何を準備しますか。

写真と図面と点検票です。
点検範囲をすぐ共有できます。

ボルトを締め直せば復旧したと思うと何を見落とすのか

消防ポンプの緩んだナットと基礎のひび割れと可とう管継手を示すアイソメ図

ナットが動かなくなったことと耐震措置と加圧送水装置が正常に戻ったことは別です
地震の力は、アンカーボルトだけでなく共通ベース、基礎、ポンプと電動機の連結部、配管支持へ伝わります。

消防庁の点検要領は、アンカーボルト等の緩みだけでなく、可とう式管継手等の漏れ、変形、損傷、著しい腐食、壁や床の貫通部分の状態も別々に確認します。

見落としやすいのは、緩みの原因を確認せず、ナットの位置だけを戻すことです。
ボルトが伸びている、ねじ山が傷んでいる、座金が変形している、グラウトが割れている場合は、見かけ上締まっても必要な固定状態とは限りません。
ポンプと電動機の位置がずれたまま運転すると、連結部や軸受に異常振動や発熱が現れる可能性があります。
可とう管継手や支持金具に変形が残れば、ポンプを再固定しても配管から力を受け続けます。
締付け状態基礎と位置関係運転時の異常を分けて確認してください。
未確認項目が残る場合は、対象設備と影響範囲を明示し、所轄消防署と専門家へ暫定的な防火安全対策を相談します。

ナットが締まれば完了ですか。

まだです。
基礎と振動と配管も見ます。

明日から耐震措置の異常への備えをどう確認するのか

復旧した消防ポンプの据付部と記録票を確認する担当者のアイソメ図

平常時の固定状態と図面と連絡先をそろえて地震後に比べられる基準を作ります
異常を見つけてから初めて基礎図や点検票を探すと、点検範囲の特定と復旧判断が遅れます。

内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務に必要な資源を把握し、被害状況を確認して復旧または代替策へつなげ、点検と是正を継続する考え方を示しています。消防用設備の使用可否は施設の再開条件にも反映します。

明日から次の順番で確認してください。

  1. 加圧送水装置の機器番号を現地と設備図で照合する
  2. 全アンカーボルトと基礎と共通ベースを写真で残す
  3. 可とう管継手と配管支持と貫通部の位置を確認する
  4. 最新の点検票と基礎図と仕様書をすぐ取り出せるようにする
  5. 消防設備士と保守会社の緊急連絡先を更新する
  6. 未復旧時の代替消火と巡回と立入管理の相談手順を決める
  7. 専門点検から施設再開までの承認者を決める

確認票には、機器番号、対象設備、ボルト位置、ナットと座金の状態、基礎のひび割れ、可とう管継手、制御盤表示、写真、発見時刻、点検依頼先、是正内容、作動確認、復旧日、承認者を設けます。
訓練では実物のナットを緩めず、異常位置を示すカードを置いて、発見、撮影、立入管理、系統特定、連絡までを確認できます。
締付けや作動確認は、設備構成と据付条件を把握する消防設備士や保守会社が行います。
少なくとも誰が状態を記録するか誰が専門点検を依頼するか誰が再開を承認するかを決めてください。

訓練でナットを緩めますか。

実物は触りません。
発見から連絡を訓練します。

よくある質問

Qナットを手で回せるほど緩んでいたら締めてよいですか?
A発見時の状態を変えず、接触を避けてください。写真と位置を記録して専門家へ連絡します。
Q緩んだボルトが1本だけならポンプを使えますか?
A1本だけでも固定状態は正常と確認できません。全ボルト、基礎、接続配管を調べ、専門点検後に使用可否を判断します。
Q点検でスパナを使うなら施設担当者でもできますか?
A点検要領のスパナ等による確認は、据付条件を踏まえた点検の一部です。消防設備士や保守会社へ依頼してください。
Q復旧前でも施設を再開できますか?
A対象設備、建物用途、ほかの消防用設備、暫定措置で異なります。所轄消防署と専門家へ相談してください。

よくある誤りは、ナットを締め直して見た目が戻ったことだけで復旧済みにすることです。
据付部が正常なこと配管の耐震措置が正常なこと加圧送水装置を再開できることを分けて判断してください。

まとめ

緩んだアンカーボルトを自己判断で締め直しません。
全景とナットと基礎を操作前に撮影します。
全ボルトと据付部と配管を一組で確認します。
締付けと基礎の状態を専門点検します。
作動時の異音や振動を復旧確認に含めます。
締め直しただけで復旧済みと判断しません。
点検結果と施設再開条件をBCPへ戻します。

据付部の確認票を作ります!

発見から復旧判断までつなげましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および消防庁・内閣府の資料に基づく一般的な解説です。消防ポンプのアンカーボルトの緩みを見つけても自己判断で締め直しや試運転をせず設備方式と据付状態に応じて確認してください。個別の点検、補修、締付け、作動確認、暫定措置、施設や業務の再開判断は、防火管理者、建物管理者、消防設備士、保守会社、所轄消防署へご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
えんじ色の上着と黒の長ズボンの作業員が消防ポンプのアンカーボルトを記録するアイキャッチ
地震後にポンプ室を見回り、消防ポンプの脚元にあるナットが浮いていたらどうしますか。 見た目にはポンプ本体が倒れておらず、少し締めれば使えそうに見えるかもしれません。 しかしアンカーボルトの緩みは、据付部だけでなく、ポンプ...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →