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BCPで地震後に屋内消火栓ポンプが起動したままなら止めてよいのか|漏水と誤起動を切り分ける確認手順を解説

屋内消火栓ポンプが起動したままのときにえんじ色の上着と黒の長ズボンの作業員が確認するアイキャッチ

地震のあと、ポンプ室から運転音が続き、屋内消火栓ポンプの起動表示も消えないと、停止ボタンを押してよいのか迷います。
配管の破損や消火栓の開放で水が流れているなら、停止すると使えるはずの消火設備まで止めるおそれがあります。
一方、漏水したまま運転を続ければ、消防用水の減少や機械室の浸水につながります。
BCPでは、火災確認、表示記録、漏水確認、対象系統の特定、専門点検を一続きの手順にします。

ポンプが回り続けています。

まず火災と漏水を確認しましょう。

音が気になるので止めてもよいですか。

起動原因を残したまま止めません。

この記事の結論
  • 火災と放水の有無を確認するまで勝手に停止しません
  • 表示、圧力、運転音、発見時刻を操作前に記録します
  • 漏水箇所と対象系統を安全な範囲で確認します
  • 停止や弁操作は専門業者と所轄消防署へ相談します
  • 復旧後は起動、表示、放水、漏水の有無を確認し再開記録を残します

屋内消火栓ポンプが止まらないときに表示記録と漏水確認から対象系統特定と専門点検まで進める図解

地震後に屋内消火栓ポンプが起動したままなら止めてよいのか

屋内消火栓ポンプと配管と消火栓箱がつながるアイソメ図
結論からいえば、火災や放水の有無と起動原因を確認する前に施設担当者の判断だけで停止しません
屋内消火栓ポンプは、消火栓から必要な放水を行うために水を加圧して送る設備です。
地震後の継続運転は、消火栓の操作、配管の破損、弁の状態、起動装置の不具合など複数の要因が考えられます。
消防法第17条は、防火対象物の関係者に消防用設備等を技術上の基準に従って設置し、維持することを求めています。消防法施行令第11条と消防法施行規則第12条は、屋内消火栓設備の設置・維持に関する技術上の基準を定めています。
火災、煙、焦げ臭、消火栓からの放水がある場合は、機器調査より避難と119番通報を優先します。
火災が見当たらなくても、床や天井からの漏水、消防用水の水位低下、ポンプの異音や発熱があれば、設備障害が進行中かもしれません。
施設担当者は危険区域へ入らず、制御盤表示、圧力計、運転音、漏水の見える範囲を記録します。
停止が必要な場合でも、どの系統の消火能力が失われるかを確認し、所轄消防署と消防設備の専門業者へ相談します。
一時停止や弁の閉止を行うときは、対象区域の火気制限、消火器の増強、巡回など代替措置を併せて決めます。
営業再開は、運転音が止まったかではなく、必要な放水機能と監視体制を確保できた記録で判断します。

止める前に使われているかを見るんですね。

せやで。
消火能力を残す判断です。

どのポンプと配管系統と防護範囲を対象に確認するのか

屋内消火栓ポンプから各階の配管と消火栓箱へつながる系統のアイソメ図
ポンプ単体ではなく、水源、制御盤、起動装置、配管、弁、消火栓箱までを一つの系統として確認します
建物には屋内消火栓設備のほか、スプリンクラー設備や屋外消火栓設備など、別の加圧送水装置がある場合があります。
最初に銘板と設備図を見て、運転しているポンプがどの設備へ水を送るものかを特定します。
消防庁の屋内消火栓設備点検基準は、水源、加圧送水装置、起動装置、配管等、屋内消火栓箱、耐震措置を分けて確認し、総合点検では加圧送水装置を起動して放水性能や表示・警報等を確認する構成です。
確認対象は次のとおりです。
  • ポンプ名称、設備種別、制御盤の運転・故障表示
  • 圧力計、呼水装置、水源の水位
  • 直接操作部、遠隔起動部、消火栓開閉弁
  • 配管、フランジ、可とう管継手、支持金具
  • 対象階、対象区画、利用中の室、避難経路
制御盤の名称と現場の設備名が一致しないときは、操作せず図面と点検票を確認してください。
地震で配管支持が変形している場合、見えている漏水箇所だけでなく別区画にも影響が及ぶことがあります。
1号消火栓、易操作性1号消火栓、2号消火栓などの方式によって起動方法が異なるため、取扱説明書と設備図を併用します。
複数のテナントや階が同じポンプを共有している建物では、影響範囲を狭く決めつけません
ポンプ名称、起動表示、対象系統、漏水箇所、停止時に失われる防護範囲を一枚の記録へまとめます。
特定できないときは、専門業者が確認するまで広めの範囲で火気制限と巡回を行います。

ポンプ名と使える区域を結び付けます。

系統全体で見ましょう。

起動表示の発見から漏水確認と専門点検までどう進めるのか

えんじ色の上着と黒の長ズボンの作業員が消火栓ポンプの表示を記録し廊下の漏水を確認するアイソメ図
操作前の記録を残し、安全な場所から漏水と水位を確認して専門業者へ引き継ぎます
地震後は余震、落下物、感電、床面の水、回転機器への巻き込まれなどの危険があります。
ポンプ室へ入る前に立入可否を判断し、浸水や電気設備の損傷があれば近づかないでください。
消防庁の点検要領は、ポンプ方式の加圧送水装置について、周囲の状況、外形、表示、電圧計・電流計、開閉器、起動装置、呼水装置、運転状況、締切運転時の状況などを確認する構成です。
施設担当者は次の順で進めます。
  1. 火災、煙、焦げ臭、放水の有無を確認する
  2. 制御盤表示、圧力計、発見時刻を写真に残す
  3. 異音、振動、発熱、床面の水を安全な位置から確認する
  4. 設備図で対象ポンプと系統を特定する
  5. 各階の消火栓箱と配管周辺を巡回する
  6. 防火管理者、建物管理者、専門業者へ連絡する
  7. 専門業者が起動原因、圧力、漏水、放水機能を確認する
表示を消したり停止ボタンを押したりする前に、制御盤全体を写真で保存します。
ポンプや制御盤の扉を開け、端子や回転部へ触れる作業は施設担当者が行いません。
巡回では、消火栓箱の開閉弁、配管継手、天井、シャフト周辺、水槽の水位を確認します。
漏水を発見しても、どの弁を閉めるか分からない状態で操作すると、正常な区画まで使えなくなるおそれがあります。
専門業者には、地震発生時刻、表示写真、圧力、運転音、漏水位置、直前の工事や点検を伝えます。
一時停止や系統隔離を行う場合は、対象区域、開始時刻、指示者、代替措置、復旧条件を書面で共有します。
専門点検後は、起動、停止、表示、警報、放水、漏水の有無を確認し、営業再開の根拠として残します。

触る前に写真と時刻を残します。

ええですね。
原因を追える記録になります。

停止ボタンを押せば元に戻ると思うと何を見落とすのか

専門技術者が屋内消火栓ポンプと制御盤を点検し放水機能を確認するアイソメ図
停止操作で音が消えても、起動原因、配管の損傷、失われた消火能力は解決していません
起動信号が残っていれば再起動することがあり、弁の閉止で止まった場合は消火栓へ水が届かなくなることがあります。
漏水箇所を直さず再起動すれば、消防用水をさらに失うかもしれません。
消防庁の点検基準は、加圧送水装置の起動性能、表示・警報、放水圧力、放水量に加え、配管や消火栓開閉弁の漏れ・損傷、耐震措置などを個別に確認する構成です。停止したことだけを復旧判定にはしていません。
見落としやすい判断は次のとおりです。
  • 停止ボタンで音が消えたため復旧済みと判断する
  • 制御盤だけを見て各階の漏水を確認しない
  • 閉めた弁と影響区画を記録しない
  • 水位低下や呼水装置の異常を確認しない
  • 仮復旧中の火気制限と巡回を解除する
ポンプが停止できても、起動装置や制御回路が正常とは限りません。
反対に、ポンプが運転しているからといって、必要な圧力と水量で放水できるとも限りません。
専門業者は設備方式に応じて、起動装置、制御盤、ポンプ、呼水装置、配管、弁、放水性能を確認します。
漏水箇所を系統から隔離した場合は、使えない消火栓と代替措置を現場へ表示してください。
仮復旧中は火気制限と巡回を継続し、余震後の再確認も決めます。
本復旧は、正常な起動と停止、表示・警報、必要な放水性能、漏水がないことを確認して解除承認を残します。

止まったことと直ったことは別ですね。

放水機能まで確かめます。

明日からポンプの継続運転への備えをどう確認するのか

えんじ色の上着と黒の長ズボンの担当者が屋内消火栓ポンプの系統図とBCP手順を確認するアイソメ図
平常時に正常表示、起動方法、連絡先、停止判断、代替消火を一枚の手順書へまとめます
災害時に初めてポンプ室へ行くと、どの表示が正常で、どのポンプがどの階を守るか分かりません。
設備図、取扱説明書、最新の点検票、弁の系統図をすぐ確認できる場所に保管します。
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務に必要な資源を把握し、対応体制、代替手段、教育訓練、点検、継続的改善を進める考え方を示しています。屋内消火栓設備の異常も施設の再開条件へ組み込みます。
次の項目を消防用設備異常時チェックシートへまとめてください。
  1. ポンプ名称と対象設備を銘板・図面で対応させる
  2. 正常時の制御盤表示と圧力計を写真で残す
  3. 起動方法と施設担当者の操作禁止範囲を決める
  4. 各階の配管、弁、消火栓箱の巡回経路を決める
  5. 防火管理者、建物管理者、専門業者の連絡順を決める
  6. 停止・系統隔離時の火気制限と代替消火を決める
  7. 復旧試験の結果と営業再開の承認者を記録する
点検や改修でポンプ、弁、配管の名称が変わったら、系統図と手順書を同時に更新します。
ポンプ室の前には物品を置かず、地震後も制御盤と弁へ安全に近づける状態を保ってください。
BCP訓練では、継続運転の写真が届いた想定で、火災確認から専門業者への連絡までを実施します。
訓練後は、設備名の読み違い、図面の不足、連絡の遅れ、代替消火の不足を改訂項目として残します。
復旧確認後も自動的に制限を解除せず、防火管理者が点検結果を確認して再開を承認します。

正常時の写真も用意します。

ええですね。
異常との差が分かります。

よくある質問

Q火災が見当たらなければポンプを止めてもよいですか?
A火災が見えないだけで判断しません。表示、圧力、漏水、起動源、対象系統を確認し、停止が必要なら専門業者と所轄消防署へ相談します。
Q漏水箇所の近くにある弁を閉めてよいですか?
A弁の系統と影響区画を確認せず閉めません。正常な消火栓まで使えなくなるおそれがあるため、系統図と専門業者の指示で操作します。
Q施設担当者はどこまで確認できますか?
A安全な位置から表示、圧力、運転音、漏水、水位、対象区域を記録します。制御盤内部、端子、回転部、浸水区域には触れず専門業者へ引き継ぎます。
Q復旧記録には何を残せばよいですか?
A発見時刻、表示写真、圧力、漏水位置、操作した弁、代替措置、点検結果、再開承認者と解除時刻を残します。

まとめ

火災と放水の有無を最初に確認します
表示、圧力、時刻を操作前に記録します
漏水と対象系統を安全な範囲で確認します
施設担当者だけで停止や弁操作を決めません
系統隔離中は代替消火と巡回を続けます
専門点検で起動、表示、放水、漏水を確認します
点検結果と再開承認を記録します

正常表示と系統図を平常時からそろえます!

消火能力を確保して安全に再開しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。設備方式、条例、所轄消防署の運用によって対応が異なる場合があります。個別の停止・復旧判断は消防設備の専門業者と所轄消防署にご確認ください。

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