建物の外壁に、丸い蓋が二つ並んだ小さな箱を見たことはありませんか。
これは消防隊がポンプ車から水を送り込むための送水口で、地下街や地階を火元から守る連結散水設備につながっています。
実はこの穴の数は、天井裏に何個の散水ヘッドがつながっているかで変わることをご存知でしょうか。
散水ヘッドの間隔と送水区域ごとの数の上限を知っておくと、立入検査で送水口を見ただけで設備の規模を読み取れるようになります。
うちの建物、送水口の穴が一つしかないんですけど、これって基準違反じゃないんですか。
実はそれ、条件を満たしていれば正しい設置なんです。
散水ヘッドの間隔とか送水区域とか、聞いたことはあるけど中身までは知りませんでした。
消防法施行規則第30条の3に、天井のヘッドの並べ方から送水口の形まで細かく決まっています。
- 散水ヘッドは天井の室内側と天井裏の両方に設けるのが原則です。
- 一の散水ヘッドまでの水平距離は3.7メートル以下にすると決まっています。
- 一の送水区域につなげる散水ヘッドの数は開放型・閉鎖型で10以下、閉鎖型スプリンクラーヘッドで20以下です。
- 送水口のホース接続口は双口形が原則ですが、ヘッドが4以下の送水区域なら単口形でもよいとされています。
- 送水口の高さは地盤面から0.5メートル以上1メートル以下、地下にまとめて設ける場合は深さ0.3メートル以内と決まっています。
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目次
連結散水設備の散水ヘッドはどこに設けると決まっているのか

条文を読むと、その理由がわかります。
地下街や地階の火災は煙や熱気で人が近づきにくいため、天井裏で燃え広がる炎にも対応できるようにしてあります。
天井裏の高さが浅い部屋まで一律にヘッドを求めると工事の負担が増えるので、0.5メートルという具体的な高さで線引きがされています。
立入検査では天井を見上げるだけでなく、点検口から天井裏をのぞいてヘッドの有無を確認することになります。
天井の仕上げが難燃材料かどうかも、天井裏を省略できるかどうかの判断材料になります。
天井裏まで見るなんて考えたこともなかったです。
点検口があれば、のぞいてみるとよくわかりますよ。
散水ヘッドの間隔はどのくらいと決まっているのか

条文はその間隔を数字で定めています。
隣のヘッドとの距離が離れすぎると、水が届かない場所ができてしまうためです。
ただし天井が低い部屋では話が変わります。取付け面の高さが2.1メートル以下なら、数値どおりの距離ではなく散水分布に応じた配置に変えてよいとされています。
閉鎖型スプリンクラーヘッドを使う場合は、消防法施行令が定める標準型ヘッドの規定に沿って間隔を決めることになっています。
天井の高さによって基準の当てはめ方が変わる点は、立入検査でも見落としやすいところです。
うちは天井が低い部屋があるので、それも関係あるんですね。
はい、2.1メートル以下なら配置の考え方が変わります。
一つの送水区域につなげられる散水ヘッドの数はどう決まっているのか

その数は配管の太さにも直結します。
一つの送水区域につなげるヘッドの数には上限があり、開放型・閉鎖型散水ヘッドは10以下、閉鎖型スプリンクラーヘッドは20以下と定められています。
配管の太さもヘッドの取付け個数に応じて表で決まっていて、1個なら32ミリメートル、2個なら40ミリメートル、3個なら50ミリメートル、4個又は5個なら65ミリメートル、6個以上10個以下なら80ミリメートルの管が必要です。
細い配管に多くのヘッドをぶら下げると、いざというときに水量が足りなくなるおそれがあります。
立入検査で配管そのものを測ることは少なくても、送水区域の数とヘッドの数を照らし合わせる視点は持っておいて損はありません。
配管の太さまで見ないといけないんですか。
点検口の記録があれば、そこまで踏み込んで見比べられます。
送水口の穴がひとつでよい建物があるのはなぜか

外から見ただけで違反と決めつけるのは早計です。
送水口のホース接続口は双口形が原則で、消防隊が複数のホースを同時につないで送水量を確保できるようになっています。
ただし一の送水区域につなぐヘッドの数が4以下の小規模な区域では、単口形の送水口でも基準を満たします。
外から見て穴が一つしかないからといって、それだけで違反と決めつけるのは早計です。
その建物の送水区域にヘッドが何個つながっているかまでは外観だけではわからないので、図面や点検記録とあわせて確認する必要があります。
うちの送水口、穴が一つだけなので心配していました。
ヘッドが4以下の区域なら、それで基準どおりです。
立入検査で送水口の位置は何を確認すればよいのか

最後にこの点も確認しておきましょう。
送水口のホース接続口は、地盤面から0.5メートル以上1メートル以下の高さに設けるのが基本です。
地下にまとめて設ける場合は、地盤面から深さ0.3メートル以内の箇所に納めることとされています。
高すぎたり低すぎたりする送水口は、消防隊がホースを接続しにくく、送水に時間がかかってしまいます。
立入検査では、送水口の位置が地面からどのくらいの高さや深さにあるかも、あわせて見ておくとよいでしょう。
送水口の高さもちゃんと見ておきます。
その調子です。
次は図面と照らし合わせてみましょう。
よくある質問
まとめ
送水口を見るときの視点が変わりました!
送水口の相談は専門家にお任せください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第30条の3(連結散水設備に関する基準の細目)
- 消防法施行令第32条(用途又は構造等の特殊性による設備等の設置の特例)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





