二酸化炭素消火設備が作動すると、消火剤は火災を消し止める部屋(防護区画)の中で放出されるのが基本の考え方です。
ですが実際には、壁や床に開口部があると、隣の部屋にも気体が流れ込むおそれがあります。
条文は、この「隣の部屋」に対しても排出・表示・警報の措置を求めています。
防護区画の隣にいる人の安全をどう確保するのか、条文の要点から確かめます。
二酸化炭素消火設備の部屋の隣に、うちの休憩室があります。
実は隣の部屋にも条文上の備えが要ることがあります。
順番に確認していきましょう。
隣の部屋まで気にしたことはなかったです。
壁に開口部があるかどうかが分かれ目です。
そこから見ていきましょう。
- 防護区画と隣の部屋を区画する壁等に開口部があると、隣の部屋にも保安のための措置が必要になります。
- 消火剤が流入するおそれがない場合や保安上の危険性がない場合は、この措置は不要です。
- 隣の部屋には、消火剤を安全な場所に排出するための措置を講じます。
- 隣の部屋の出入口付近には、防護区画内で消火剤が放出された旨を知らせる表示灯を設けます。
- 隣の部屋にも、防護区画への放射を知らせる音響警報装置を設けます。
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目次
二酸化炭素消火設備の防護区画の隣にいる人にも危険は及ぶのか

ところが壁や床に開口部があると、話は変わってきます。
これは、二酸化炭素消火設備が作動した際に、放出された気体が開口部を通って隣の部屋(条文でいう「防護区画に隣接する部分」)に流れ込む可能性があるためです。
防護区画とは、消火設備が実際に消火剤を放出する部屋そのものを指します。
隣の部屋にいる人は、防護区画で何が起きているかを直接知る手段がなければ、危険に気づけません。
自分の建物のどこが防護区画で、どこが隣接する部分にあたるかは、設計図書で確認できます。
休憩室にいる人は気づけないですよね。
だからこそ隣の部屋への備えが条文で求められています。
次の号で詳しく見ていきます。
どんな開口部があれば保安措置をしなくてよいのか

条文にはただし書きがあります。
たとえば開口部に自動閉鎖装置が設けられ、放出前に確実に閉まる構造であれば、気体は隣の部屋まで届きにくくなります。
一方で常時開いたままの出入口のような開口部は、この例外に当てはまりにくいと考えられます。
理由までは条文に書かれていませんが、閉鎖の構造や開口部の大きさによって流入のおそれが変わるため、一律の数値基準を置かなかったものと考えられます。
自分の建物の開口部がどちらの扱いになっているかは、設置届出の書類で確認できます。
うちの扉は自動で閉まるタイプです。
それなら例外に当たる可能性があります。
設計図書で閉鎖装置の有無を確かめましょう。
隣の部屋にはどんな排出措置と表示灯が必要なのか

排出のための措置と、表示灯です。
排出の措置は、換気設備などで気体を安全な場所へ逃がす仕組みです。
表示灯は隣の部屋の出入口付近の見やすい場所に設け、防護区画との間にある出入口には設けません。
点検では、表示灯が防護区画側の起動と連動して点灯するかどうかを確認します。
自分の建物でこの表示灯がどこに設置されているかは、設備図面で確認できます。
表示灯はどこにあるか探したことがなかったです。
隣の部屋の出入口付近を見てみてください。
点検のときに合わせて確認しましょう。
隣の部屋の音響警報装置は防護区画とどう違うのか

中身は少し違います。
第17号の例によるとされているため、手動又は自動の起動と連動して鳴り始め、放射前に途中で遮断されない点は防護区画側の警報と共通です。
見落としやすいのは、防護区画側の警報だけを点検して、隣接する部分の警報を点検対象から外してしまうことです。
一つの起動操作で、防護区画側と隣接部分側の両方が正しく鳴るかを確認する必要があります。
点検計画に、隣接する部分の警報装置が漏れていないかを見直しておくとよいでしょう。
点検表に隣の部屋の警報が入っていないかもしれません。
点検対象の見直しをおすすめします。
一度点検業者に確認してみましょう。
隣接する部分では明日からなにを確認すればよいのか

3つのポイントに整理します。 確認は三つのポイントに整理できます。
まず、防護区画と隣の部屋を区画する壁等に開口部があるかどうかです。
次に、開口部があれば自動閉鎖装置などで流入を防げる構造になっているかです。
最後に、隣の部屋の排出措置・表示灯・音響警報装置が点検計画に含まれているかです。
点検業者と一緒に図面を見ながら確認すると、抜け漏れを防げます。
図面を見ながら確認してみます。
開口部と点検計画を一緒に確認しましょう。
点検のたびに見直すと安心です。
よくある質問
まとめ
隣の部屋の備えがよく分かりました!
開口部の確認や点検計画の見直しはまとめてお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第19条第5項第19号の2(防護区画に隣接する部分の保安措置)
- 消防法施行規則第19条第5項第17号(音響警報装置の基準)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





