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二酸化炭素消火設備の隣の部屋にも警報は要るのか|防護区画に隣接する部分の保安措置を解説

二酸化炭素消火設備の防護区画に隣接する部分の保安措置を表すアイキャッチ画像

二酸化炭素消火設備が作動すると、消火剤は火災を消し止める部屋(防護区画)の中で放出されるのが基本の考え方です。
ですが実際には、壁や床に開口部があると、隣の部屋にも気体が流れ込むおそれがあります。
条文は、この「隣の部屋」に対しても排出・表示・警報の措置を求めています。
防護区画の隣にいる人の安全をどう確保するのか、条文の要点から確かめます。

二酸化炭素消火設備の部屋の隣に、うちの休憩室があります。

実は隣の部屋にも条文上の備えが要ることがあります。
順番に確認していきましょう。

隣の部屋まで気にしたことはなかったです。

壁に開口部があるかどうかが分かれ目です。
そこから見ていきましょう。

この記事の結論
  • 防護区画と隣の部屋を区画する壁等に開口部があると、隣の部屋にも保安のための措置が必要になります。
  • 消火剤が流入するおそれがない場合や保安上の危険性がない場合は、この措置は不要です。
  • 隣の部屋には、消火剤を安全な場所に排出するための措置を講じます。
  • 隣の部屋の出入口付近には、防護区画内で消火剤が放出された旨を知らせる表示灯を設けます。
  • 隣の部屋にも、防護区画への放射を知らせる音響警報装置を設けます。

開口部があると隣の部屋にも排出と警報の備えが必要になることを示す図解

二酸化炭素消火設備の防護区画の隣にいる人にも危険は及ぶのか

二酸化炭素消火設備が作動した部屋から壁の開口部を通って隣の部屋に気体が流れ込むイメージ図
二酸化炭素消火設備は、火災を消し止める部屋(防護区画)の中で気体を放出することが前提になっています。
ところが壁や床に開口部があると、話は変わってきます。
消防法施行規則第19条第5項第19号の2 全域放出方式の不活性ガス消火設備(二酸化炭素を放射するものに限る。)を設置した防護区画と当該防護区画に隣接する部分(以下「防護区画に隣接する部分」という。)を区画する壁、柱、床又は天井に開口部が存する場合にあつては、防護区画に隣接する部分は、次のイからハまでに定めるところにより保安のための措置を講じること
壁等に開口部があると、隣の部屋にも保安のための措置が必要になります。
これは、二酸化炭素消火設備が作動した際に、放出された気体が開口部を通って隣の部屋(条文でいう「防護区画に隣接する部分」)に流れ込む可能性があるためです。
防護区画とは、消火設備が実際に消火剤を放出する部屋そのものを指します。
隣の部屋にいる人は、防護区画で何が起きているかを直接知る手段がなければ、危険に気づけません。
自分の建物のどこが防護区画で、どこが隣接する部分にあたるかは、設計図書で確認できます。

休憩室にいる人は気づけないですよね。

だからこそ隣の部屋への備えが条文で求められています。
次の号で詳しく見ていきます。

どんな開口部があれば保安措置をしなくてよいのか

密閉されたドアの壁と開いたままの出入口の壁を対比するイメージ図
隣の部屋への保安措置は、開口部があれば必ず必要というわけではありません。
条文にはただし書きがあります。
消防法施行規則第19条第5項第19号の2 ただし、防護区画において放出された消火剤が開口部から防護区画に隣接する部分に流入するおそれがない場合又は保安上の危険性がない場合にあつては、この限りでない
開口部があっても、流入のおそれや危険性がなければ保安措置は不要です。
たとえば開口部に自動閉鎖装置が設けられ、放出前に確実に閉まる構造であれば、気体は隣の部屋まで届きにくくなります。
一方で常時開いたままの出入口のような開口部は、この例外に当てはまりにくいと考えられます。
理由までは条文に書かれていませんが、閉鎖の構造や開口部の大きさによって流入のおそれが変わるため、一律の数値基準を置かなかったものと考えられます。
自分の建物の開口部がどちらの扱いになっているかは、設置届出の書類で確認できます。

うちの扉は自動で閉まるタイプです。

それなら例外に当たる可能性があります。
設計図書で閉鎖装置の有無を確かめましょう。

隣の部屋にはどんな排出措置と表示灯が必要なのか

隣接する部屋に設置された排出用の換気設備と赤く点灯する表示灯のイメージ図
保安措置が必要になった場合、条文はまず2つの備えを挙げています。
排出のための措置と、表示灯です。
消防法施行規則第19条第5項第19号の2イ・ロ イ 消火剤を安全な場所に排出するための措置を講じること。ロ 防護区画に隣接する部分の出入口等(防護区画と防護区画に隣接する部分を区画する壁等に存する出入口等を除く。)の見やすい箇所に防護区画内で消火剤が放出された旨を表示する表示灯を設けること
隣の部屋には、気体を排出する措置と、放出を知らせる表示灯の両方を備えます。
排出の措置は、換気設備などで気体を安全な場所へ逃がす仕組みです。
表示灯は隣の部屋の出入口付近の見やすい場所に設け、防護区画との間にある出入口には設けません。
点検では、表示灯が防護区画側の起動と連動して点灯するかどうかを確認します。
自分の建物でこの表示灯がどこに設置されているかは、設備図面で確認できます。

表示灯はどこにあるか探したことがなかったです。

隣の部屋の出入口付近を見てみてください。
点検のときに合わせて確認しましょう。

隣の部屋の音響警報装置は防護区画とどう違うのか

隣り合う二つの部屋にそれぞれ設置された音響警報装置のイメージ図
防護区画には放出前に鳴る警報がありますが、隣の部屋にも別の警報が必要です。
中身は少し違います。
消防法施行規則第19条第5項第19号の2ハ 防護区画に隣接する部分には、消火剤が防護区画内に放射される旨を有効に報知することができる音響警報装置を第十七号の規定の例により設けること
隣の部屋の警報が知らせるのは、防護区画で消火剤が放射されるという事実です。
第17号の例によるとされているため、手動又は自動の起動と連動して鳴り始め、放射前に途中で遮断されない点は防護区画側の警報と共通です。
見落としやすいのは、防護区画側の警報だけを点検して、隣接する部分の警報を点検対象から外してしまうことです。
一つの起動操作で、防護区画側と隣接部分側の両方が正しく鳴るかを確認する必要があります。
点検計画に、隣接する部分の警報装置が漏れていないかを見直しておくとよいでしょう。

点検表に隣の部屋の警報が入っていないかもしれません。

点検対象の見直しをおすすめします。
一度点検業者に確認してみましょう。

隣接する部分では明日からなにを確認すればよいのか

点検員が隣接する部屋の表示灯と警報装置を確認しているイメージ図
ここまでの内容を、点検や確認の場面に落とし込みます。
3つのポイントに整理します。 確認は三つのポイントに整理できます。
まず、防護区画と隣の部屋を区画する壁等に開口部があるかどうかです。
次に、開口部があれば自動閉鎖装置などで流入を防げる構造になっているかです。
最後に、隣の部屋の排出措置・表示灯・音響警報装置が点検計画に含まれているかです。
点検業者と一緒に図面を見ながら確認すると、抜け漏れを防げます。

図面を見ながら確認してみます。

開口部と点検計画を一緒に確認しましょう。
点検のたびに見直すと安心です。

よくある質問

Q防護区画に隣接する部分には、どんな場合でも保安措置が必要ですか?
Aいいえ。消火剤が流入するおそれがない場合や保安上の危険性がない場合は、この措置は不要とされています。
Q隣の部屋の音響警報装置は、防護区画の警報と別に鳴らす必要がありますか?
A条文は第十七号の規定の例により設けるとしているため、防護区画側と同じ考え方の警報を隣の部屋にも設ける必要があります。
Q表示灯は防護区画と隣の部屋のどちらの出入口に設ければよいですか?
A隣の部屋の出入口に設けます。防護区画との間を区画する壁等にある出入口は対象から除かれています。
Q開口部に自動閉鎖装置があれば、必ず保安措置は不要になりますか?
A条文は流入のおそれや危険性の有無で判断するとしており、閉鎖装置の有無だけで自動的に決まるとは書かれていません。個別の状況に応じた判断になるため、所轄消防署に確認してください。

まとめ

防護区画と隣の部屋を区画する壁等に開口部があると、隣の部屋にも保安のための措置が必要です。
消火剤が流入するおそれがない場合や保安上の危険性がない場合は、この措置は不要です。
隣の部屋には、消火剤を安全な場所に排出するための措置を講じます。
隣の部屋の出入口付近には、防護区画内で消火剤が放出された旨を知らせる表示灯を設けます。
表示灯は防護区画と隣の部屋の間の出入口には設けません。
隣の部屋にも、第十七号の例による音響警報装置を設けます。
点検では、防護区画側だけでなく隣接する部分の表示灯・警報装置も確認します。

隣の部屋の備えがよく分かりました!

開口部の確認や点検計画の見直しはまとめてお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法施行規則第19条第5項第19号の2(防護区画に隣接する部分の保安措置)
  • 消防法施行規則第19条第5項第17号(音響警報装置の基準)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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