建物の外壁の低い位置に、金属のふたが付いた口が並んでいることがあります。
どれも消防隊がポンプ車から水を送り込むための口ですが、つながっている設備は同じではありません。
取り違えて送水すれば、火災の起きていない場所に水が出て水損につながることもあります。
見分ける手がかりは口の形ではなく そばに付いている標識です
うちのビルの外壁に、同じような口がいくつも並んでいます。
どれがどれなのか正直わかっていません。
並んでいても、それぞれ別の設備の配管につながっています。
見分けるのは口の形ではなく、そばの標識です。
標識というのは、あの小さな金属の板のことですよね。
あそこに書く内容まで決まっているのですか。
設備ごとに書くことが違います。
そこが現場でどの口かを見分ける手がかりになります。
- 建物の外にある送水口は消防隊がポンプ車から水を送り込むための口で、つながる設備ごとに別のものです
- 連結送水管の送水口は双口形とし、消防ポンプ自動車が容易に接近することができる位置に設けます(令第29条第2項第3号)
- 連結散水設備の送水口には送水口である旨の標識に加えて送水区域と選択弁と送水口を明示した系統図を設けます(規則第30条の3第1項第4号ニ)
- スプリンクラー設備の送水口の標識には送水口である旨と送水圧力範囲を表示します(規則第14条第1項第6号ホ)
- いずれも見やすい箇所に設けることが条件なので、前に物を置いて隠さないことが建物側の仕事です
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目次
建物の外にある送水口はなにをするための口なのか

使うのは建物の人ではなく、駆けつけた消防隊です。
屋内消火栓設備やスプリンクラー設備が建物側の水源で動くのに対して、連結送水管は建物側に水源を持ちません。
消防隊がポンプ車を横づけして送水口にホースをつなぎ、上の階の放水口まで水を押し上げる仕組みです。
だから条文が求めているのは口の性能ではなく、ポンプ車が容易に接近することができる位置であることと、ホース接続口が双口形であることです。
送水口の前が駐車場や物置になっていれば、その時点で条文の求める状態から離れていきます。
建物の中の水を使うわけではないのですね。
ポンプ車から入れるとは知りませんでした。
連結送水管はまさにそのための配管です。
だから車が寄れる場所であることが条件になっています。
どの建物にどの送水口が付くのか

まずは自分の建物にどの設備が入っているかを押さえます。
連結送水管は上の階へ水を届けるための配管なので、階数と延べ面積で対象が決まります。
連結散水設備は煙がこもって消防隊が入りにくい地階へ散水するための設備なので、地階の床面積の合計で決まります。
決まり方が別なので、どちらも備えることになる建物では外壁に用途の違う送水口が並びます。
スプリンクラー設備が入っていれば、これに加えてスプリンクラー用の送水口も付きます。
消防用設備等の点検結果報告書の設備の欄を見れば、自分の建物にどれがあるかがすぐわかります。
うちは階数が多くて地階もあります。
だから口がいくつも並んでいるということですか。
その可能性が高いです。
点検結果報告書の設備の欄を見れば確実にわかります。
送水口の標識にはなにを書くことになっているのか

そして標識に書くことは設備ごとに違います。
連結送水管は見やすい箇所に標識を設けることが定められていて、書きぶりまでは規則に書かれていません。
連結散水設備は送水口である旨の標識に加えて、系統図を設けることまで求められています。
スプリンクラー設備は送水口である旨に送水圧力範囲を添えることになっています。
つまり系統図が添えてあれば連結散水設備、圧力の範囲が書いてあればスプリンクラー設備だと当たりを付けられます。
自分の建物の送水口を標識ごと写真に撮って、どれがどの設備の口かを控えておいてください。
系統図が付いていたら連結散水設備ということですね。
それなら現場でも見分けられそうです。
よい着眼点です。
標識が汚れて読めなくなっていたら、早めに直しておきましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

送水口そのものにも位置と数の決まりがあります。
どちらも地盤面から〇・五メートル以上一メートル以下で、しゃがみ込まずにホースをつなげる高さにそろえてあります。
連結散水設備だけは地盤面より下の箇所も認められているので、ふた付きのピットに収まっていることがあります。
また連結送水管の送水口は立管の数以上のホース接続口が要るので、増築で立管が増えたときは口の数が足りているかを見ます。
花壇の土を盛る工事や自転車置場の増設で、この高さやふたが埋もれてしまう例は実際にあります。
外構に手を入れる工事の前に、送水口の高さと前の空きが変わらないかを確かめてください。
地面より下にある送水口もあるのですか。
それは見落としていたかもしれません。
連結散水設備ではよくある形です。
ふたの上に物を置いていないかも合わせて確かめてください。
明日からなにを確認すればよいのか

見るのは前の空きと標識と高さです。
条文がポンプ車の接近を前提にしている以上、送水口の前の駐車や物置は設備の維持そのものの問題になります。
次に標識が読めるかを見ます。色あせや掲示物で隠れていれば、消防隊は現場でどの設備の口かを判断できません。
最後に地盤面からの高さです。外構の改修で地面が上がっていないか、ふた付きのものはふたが動くかを確かめます。
これを消防計画の自主点検の項目に書き加えておけば、担当者が代わっても同じ目で見られます。
自主点検の項目に入れておけば忘れずに済みますね。
次の訓練のときに一緒に見て回ります。
それが確実です。
判断に迷う送水口があれば写真を撮って所轄消防署に確かめてください。
よくある質問
まとめ
明日さっそく外を一周して、送水口の標識を写真に撮ってきます。
これで系統図が添えてあるかどうかも見分けられます。
ぜひそうしてください。
送水口の表示や維持でお困りのことがあれば、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条第1項(消防用設備等の設置及び維持)
- 消防法施行令第28条の2(連結散水設備に関する基準)
- 消防法施行令第29条(連結送水管に関する基準)
- 消防法施行規則第14条第1項第6号(スプリンクラー設備の送水口)
- 消防法施行規則第30条の3(連結散水設備に関する基準の細目)
- 消防法施行規則第31条(連結送水管に関する基準の細目)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





