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旅館やホテルの営業許可はなぜ消防の通知書が必要になるのか|風俗営業まで含む三つの許可制度を解説

旅館やホテルはなぜ消防の通知書が必要なのか

㈱防災屋のもとには、旅館業の許可を取ろうとしているオーナーから「消防署に証明書をもらってくれと言われたが、何の書類か分からない」という相談が来ることがあります。
旅館業法・国際観光ホテル整備法・風俗営業法のいずれで許可や届出を進めていても、行き着く先は同じ「消防法令適合通知書」です。
ところがこの通知書、どの法律の手続きに使うかで申請理由の区分が変わり、表示マーク(適マーク)の有無まで絡んできます。
区分を取り違えると、立入検査からやり直しになりかねません。

消防署の証明書って、旅館業の許可とどう関係するんですか。

旅館業法だけでなく、風俗営業法の許可でも同じ書類が求められます。
順番に見ていきましょう。

ラブホテルの許可でも消防の証明書がいるんですか。

はい、風俗営業法第3条の許可区分も対象に含まれています。

この記事の結論
  • 旅館業法・国際観光ホテル整備法・風俗営業法のいずれで許可や登録、変更届出を行う場合も、消防機関が交付する「消防法令適合通知書」を添付する運用になっています
  • 通知書の交付申請はア〜カの6区分から理由を選んで行います。
  • 消防機関は立入検査を行って適合状況を確認し、適合していれば通知書を交付し、適合していなければ交付できない理由を回答します
  • 表示基準適合通知書(適マーク)を交付されている施設は、その表示有効期間内なら通知書の再調査を省略できます。
  • 旅行関係者からの照会には、表示マークの交付状況などを別の様式で回答する仕組みが用意されています

旅館業法国際観光ホテル整備法風俗営業法の三つの法律で申請し消防機関へ申請して立入検査で確認し通知書を交付するという流れを示し消防法令適合通知書は三つの許可制度をつなぐ書類であると結論づける図解

旅館やホテルの営業許可はなぜ消防の通知書を求められるようになったのか

旅館やホテルの営業許可はなぜ消防の通知書を求められるようになったのか
この仕組みのもとになる「了解事項」自体は昭和56年の古い枠組みですが、その運用ルールは表示制度の創設にあわせて書き直されています。
現在の運用は、平成26年3月7日付の消防庁予防課長通知にもとづいています。
防火対象物に係る表示制度の実施に伴う「旅館ホテル防火安全対策連絡協議会における了解事項」の運用について(消防庁予防課長・平成26年3月7日付消防予第60号) 「防火対象物に係る表示制度の実施について」(平成25年10月31日付け消防予第418号消防庁次長通知)により、ホテル・旅館等に対する表示制度の運用が開始されることを踏まえ、了解事項の運用に係る387号通知を廃止し、下記のとおり運用することとした
表示制度の創設が、古い運用を書き換えるきっかけでした。
この了解事項自体は昭和56年の消防予第21号にさかのぼる古い枠組みですが、平成25年10月31日に表示制度(適マーク)が創設されたことで、通知書の交付ルールも書き直す必要が生じました。
以前の運用(平成18年消防予第387号)は暫定的な適マーク制度を前提にしていたため、正式な表示制度にあわせて廃止され、この60号通知に置き換わっています。
背景を知っておくと、なぜ通知書と表示マークが同じ枠組みで語られるのか、このあとの内容が理解しやすくなります。

うちは適マークをもう持っているんですが、それでも通知書は別に要るんですか。

適マークの表示有効期間内なら、あらためての調査は省略されます。

どんな許可や届出のときにこの通知書が必要になるのか

どんな許可や届出のときにこの通知書が必要になるのか
通知書が必要になる場面は、旅館業法・国際観光ホテル整備法・風俗営業法にわたる6区分に整理されています。
自分の手続きがどの区分に当たるかを先に確認しておくと、申請書の記入で迷いません。
防火対象物に係る表示制度の実施に伴う「旅館ホテル防火安全対策連絡協議会における了解事項」の運用について(消防庁予防課長・平成26年3月7日付消防予第60号) 通知書の交付申請は次のア〜カの選択肢から申請理由区分を選択すること。ア 旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条の規定による営業の許可 イ 旅館業法施行規則(昭和23年厚生省令第28号)第4条の規定による施設又は設備の変更届出 ウ 国際観光ホテル整備法(昭和24年法律第279号)第3条又は第18条第1項の規定による登録 エ 同法第7条第1項又は第18条第2項において準用する第7条第1項の規定による施設に関する登録事項の変更の届出 オ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第3条規定による営業許可 カ 同法第9条規定による構造又は設備の変更等の承認、届出
旅館業法第三条第一項 旅館業を営もうとする者は、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市長又は区長)の許可を受けなければならない。
6区分のうち2区分は風俗営業法です。
旅館業法がらみが2区分(営業許可・変更届出)、国際観光ホテル整備法がらみが2区分(登録・変更届出)、そして風俗営業法がらみも2区分(営業許可・構造設備の変更)含まれています。
いわゆるラブホテル等の風俗営業許可でも、消防法令適合通知書の対象になる点は見落とされがちです。
自分の申請がどの区分に当たるかは、許可を出す行政窓口(保健所・観光庁の登録実施機関・公安委員会)に確認すればすぐに分かります。

うちは国際観光ホテル整備法の登録だけなんですが、それでも対象ですか。

はい、第3条または第18条第1項の登録も区分に含まれています。

消防機関は何を確認して通知書を交付するのか

消防機関は何を確認して通知書を交付するのか
申請から交付までの流れは、立入検査を挟んだ3段階です。
表示マークをすでに持っているかどうかで、この途中が変わります。
防火対象物に係る表示制度の実施に伴う「旅館ホテル防火安全対策連絡協議会における了解事項」の運用について(消防庁予防課長・平成26年3月7日付消防予第60号) 別記様式第1により通知書の交付申請があった場合には、消防機関は立入検査等の実施により、消防法令の適合状況について調査すること。なお、消防庁次長通知別添の防火基準適合表示要綱4に基づき、表示基準適合通知書及び表示マークが交付されている防火対象物から交付申請があった場合には、表示基準適合通知書に記載されている表示有効期間内に限り、消防法令に適合しているものとして取り扱うことができるものとする。
適マークがあれば、立入検査を省略できます。
原則は、申請を受けた消防機関が立入検査を実施し、消防法令に適合しているかどうかを確認したうえで通知書を交付する流れです。
ただし表示基準適合通知書(適マーク)を交付済みで、その表示有効期間内であれば、この立入検査を経ずに適合しているものとして扱ってもらえます。
適合していないと判断された場合は、通知書を交付できない旨とその理由が申請者へ回答されます。

適マークの有効期間が切れていたらどうなるんですか。

その場合は通常どおり、あらためて立入検査を受けることになります。

実務で見落としやすいのはどこか

実務で見落としやすいのはどこか
見落としやすいのは「旅行関係者からの照会」と「不交付の扱い」の2点です。
通知書は申請者本人だけでなく、外部からの照会にも関わってきます。
防火対象物に係る表示制度の実施に伴う「旅館ホテル防火安全対策連絡協議会における了解事項」の運用について(消防庁予防課長・平成26年3月7日付消防予第60号) 旅館、ホテルの防火安全に関することについて、旅行関係者(個人を除く。)から別記様式第3に基づく照会があった場合には、表示マークの交付状況等について、別記様式第4により回答すること。表示マークが交付されていない場合は、その理由(表示基準に適合しない、表示マークに係る交付申請がない、表示制度の対象外等)を記載すること。
表示マークが無くても、通知書自体は交付されることがあります。
表示マーク(適マーク)と消防法令適合通知書は別の制度なので、マークの交付申請をしていないだけで法令には適合している施設も珍しくありません。
そうした施設についても、旅行会社等からの照会に対して「マーク不交付の理由」を正確に伝える仕組みが用意されています。
旅行関係者からの照会対応は個人客は対象外で、旅行会社などの法人・団体からの照会に限られる点も見落としやすいところです。

マークをもらってない施設は、消防法令に違反しているってことですか。

違反とは限りません。
単に交付申請をしていないだけのこともあります。

明日からなにを確認すればよいのか

明日からなにを確認すればよいのか
最初の一歩は、自分の申請理由がア〜カのどれに当たるかを確認することです。
そこから先は、通知が示す手順どおりに進めば迷いません。
防火対象物に係る表示制度の実施に伴う「旅館ホテル防火安全対策連絡協議会における了解事項」の運用について(消防庁予防課長・平成26年3月7日付消防予第60号) 貴職におかれましては、下記事項に十分留意されるとともに、各都道府県にあっては、貴都道府県内の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対してもこの旨周知されるようお願いします
手順は3つに整理できます。
まず、自分の許可・登録・届出が旅館業法・国際観光ホテル整備法・風俗営業法のどの条文にもとづくものかを確認し、通知書交付申請書(別記様式第1)の申請理由区分を選びます。
次に、表示基準適合通知書(適マーク)を持っているかどうかを確認します。持っていて表示有効期間内であれば、立入検査を省略できる可能性があります。
最後に、所轄の消防署へ申請書を提出し、立入検査の日程調整を行います。都道府県ごとの連絡協議会の運用が異なることもあるため、細部は所轄消防署に確認してください。

うちの県の窓口がどこか分からないときは。

まずは所轄の消防署に聞いていただければ、担当部局へつないでもらえます。

よくある質問

Q消防法令適合通知書はどの許可でも必要ですか?
Aいいえ、旅館業法・国際観光ホテル整備法・風俗営業法にもとづく許可・登録・変更届出のア〜カの6区分に限られます。
Q適マークを持っていれば立入検査は一切不要ですか?
Aいいえ、表示有効期間内に限った扱いです。期限が切れていれば通常どおり調査を受けます。
Q風俗営業法の許可でも消防の証明書は必要ですか?
Aはい、第3条の営業許可と第9条の構造設備変更もこの通知書の対象に含まれています。
Q通知書が交付されないとどうなりますか?
A消防機関から交付できない旨とその理由が回答されます。理由を確認して是正すれば、再度申請できます。

まとめ

旅館業法・国際観光ホテル整備法・風俗営業法にもとづく許可・登録・届出は、消防機関が交付する「消防法令適合通知書」の対象になります
通知書の交付申請理由はア〜カの6区分に整理されています。
消防機関は原則として立入検査を行い、適合状況を確認したうえで交付します。
表示基準適合通知書(適マーク)の表示有効期間内であれば、立入検査を省略できます
旅行関係者(法人・団体に限る)からの照会には、別記様式第4で表示マークの交付状況を回答します。
マーク不交付でも、理由次第では消防法令には適合していることがあります
自分の手続きの区分と適マークの有無を、所轄消防署へ確認するのが最初の一歩です

適マークのことしか考えていませんでしたが、通知書は別に見ないといけないんですね。

まずは申請理由区分の確認からで大丈夫です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 防火対象物に係る表示制度の実施に伴う「旅館ホテル防火安全対策連絡協議会における了解事項」の運用について(消防庁予防課長・平成26年3月7日付消防予第60号)
  • 旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条
  • 旅館業法施行規則(昭和23年厚生省令第28号)第4条
  • 国際観光ホテル整備法(昭和24年法律第279号)第3条・第7条・第18条
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第3条・第9条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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