産業廃棄物処理施設を工業地域に建てたいという相談では、用途地域さえ合っていれば規模は自由だと思われがちです。
しかし建築基準法は、この施設についてだけ、対象地域を工業地域と工業専用地域に絞ったうえで、施設の種類ごとに異なる数値基準を定めています。
根拠は建築基準法施行令第百三十条の二の三第1項第3号で、同じ処理施設でも汚泥を扱うものと廃プラスチック類を扱うものとでは基準がまったく違います。
この記事では条文の数値を確認しながら、施設の種類ごとの基準の違いと見落としやすい落とし穴を整理します
工業地域に産業廃棄物処理施設を建てたいという相談が来ているんですが、用途地域が合っていれば規模は自由でしょうか。
いいえ、施設の種類ごとの規模の基準が政令で決まっています。
まず条文を確認しましょう。
種類によって基準が違うというのは、初めて聞きました。
はい、同じトン数でも施設によって扱いが変わります。
順番に見ていきましょう。
- 産業廃棄物処理施設を都市計画の決定なしで建てられる小規模の基準は、工業地域と工業専用地域に限られます
- 対象は建築基準法施行令第百三十条の二の二が定める産業廃棄物処理施設で、汚泥・廃油・廃酸廃アルカリ・廃プラスチック類など幅広い設備を含みます
- 基準は施設の種類ごとに違い、汚泥の天日乾燥施設は百二十立方メートルまで認められます
- 一方でポリ塩化ビフェニルに関わる焼却施設などは〇・二トンが上限で、扱う物質によって桁が大きく変わります
- 工業地域・工業専用地域の外にはこの小規模の例外自体が存在せず、規模を問わず許可か都市計画決定が必要です
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目次
産業廃棄物処理施設は工業地域ならどんな規模でも自由に建てられるのか

しかし建築基準法施行令は、この施設だけに専用の数値基準を設けています。
卸売市場やごみ処理施設のような業種横断の小規模基準とは別に、産業廃棄物処理施設だけを対象にした専用の規定です。
用途地域が同じ工業系でも、準工業地域や工業系以外の区域では、この規定に基づく例外は使えません。
次は、対象になる産業廃棄物処理施設の範囲を確認します。
工業地域に建てるなら、量に関係なく大丈夫だと思っていました。
いいえ、工業地域限定の専用基準があります。
次は対象施設を見てみましょう。
どんな産業廃棄物処理施設がこの規制の対象になるのか

まずはどんな設備がこの規制にかかるのかを確認します。
汚泥の脱水・乾燥・焼却施設、廃油の処理施設、廃酸や廃アルカリの中和施設、廃プラスチック類の破砕・焼却施設など、種類は多岐にわたります。
ただし工場などに附属し、その建物で生じた廃棄物だけを処理する自家処理設備は対象から除かれます。
次は、これらの施設ごとに定められている数値基準の違いを見ていきます。
思っていたより幅広い設備が対象なんですね。
はい、自家処理設備だけは除外されます。
次は数値基準の違いを見てみましょう。
小規模と認められる基準は施設の種類でどう変わるのか

条文が定める代表的な数値を見比べてみます。
汚泥の天日乾燥施設は百二十立方メートルまで認められる一方、廃プラスチック類の破砕施設は六トンが上限です。
ポリ塩化ビフェニルに関わる焼却施設などはさらに厳しく、〇・二トンという小さな数値が上限になっています。
施設の種類を取り違えると、実際にはとうに基準を超えているのに気づかないおそれがあります。
同じ処理施設なのに、これだけ基準が違うとは思いませんでした。
はい、扱う物質によって桁が変わります。
次は地域の落とし穴を見てみましょう。
工業地域の外でも小規模なら建てられるのか

条文を見比べると、この違いがはっきりわかります。
汚物処理場やごみ焼却場(同項第二号)には地域を限定する文言がありませんが、産業廃棄物処理施設(同項第三号)だけは対象地域が明記されています。
準工業地域や商業地域など、工業地域・工業専用地域以外に建てる場合は、規模を問わずこの例外を使えません。
その場合は都市計画の決定を受けるか、特定行政庁の許可を得る必要があります。
小さな設備なら、どこに建てても基準以下なら大丈夫だと思っていました。
いいえ、工業地域と工業専用地域の外ではこの例外自体が使えません。
次は確認の手順を整理しましょう。
建てる前に何を確認すればよいのか

- 敷地の用途地域が工業地域または工業専用地域かどうかを確認する(それ以外なら小規模の例外は使えない)
- 建てようとする設備が施行令が定める産業廃棄物処理施設のどの種類に当たるかを特定する
- 該当する種類の一日当たりの処理能力の基準値を条文の表で確認する
- 計画中の設備の処理能力が基準値を超えていないかを計算する
- 超える場合は都市計画の決定か特定行政庁への許可申請が必要になることを説明する
用途地域と処理能力の両方をチェックする必要があるんですね。
はい、施設の種類の特定が一番の鍵になります。
迷ったらよくある質問も参考にしてください。
よくある質問
まとめ
産業廃棄物処理施設は種類ごとの基準まで見ないといけないとよく分かりました!
はい、判断に迷ったら㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第51条
- 建築基準法施行令第百三十条の二の二
- 建築基準法施行令第百三十条の二の三
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





