粉末消火設備の配管というと、屋内消火栓やスプリンクラー設備と同じ基準で作られていると思われがちです。
ところが消防法施行規則第21条第七号を読むと、配管の材料からバルブ類、配管の曲がり方まで、ほとんどがこの設備だけの独自ルールで書かれています。
唯一の例外が管継手で、ここだけ屋内消火栓設備と同じ基準を借りています。
この記事では独自ルールと借りているルールの境目を条文から整理します。
駐車場の粉末消火設備の配管も、屋内消火栓と同じ基準で作られているのでしょうか。
いいえ、ほとんど違います。
粉末消火設備は加圧ガスで消火剤を押し出す仕組みなので、配管の条件も別に定められているんです。
ということは、条文もまったく別に読まないといけないのですか。
一か所だけ屋内消火栓の基準を借りている部分があります。
今日はどこが独自でどこが借り物か、順番に見ていきましょう。
- 粉末消火設備の配管基準は消防法施行規則第21条第七号イからチまでに独自に定められている
- 鋼管を用いる配管は日本産業規格に適合し亜鉛メッキ等の防食処理を施したものを用いる
- 蓄圧式のうち圧力が高い区分はスケジュール40以上の鋼管を使わなければならない
- 管継手だけは第十二条第一項第六号ホ(イ)の規定の例により設ける
- 貯蔵容器等から配管の屈曲部までの距離は管径の20倍以上、落差は50メートル以下とすること
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目次
粉末消火設備の配管はなぜ屋内消火栓と別に基準があるのか

粉末消火設備は水を使わず、加圧ガスで消火剤を押し出す仕組みです。
屋外消火栓設備のように第十二条第一項第六号をそのまま準用する設備が多い中で、粉末消火設備はほとんどの項目を自前で書いています。
理由は単純で、配管の中を流れるのが水ではなく加圧された窒素ガスや二酸化炭素と粉末消火剤だからです。
専用とすることを求める点は屋内消火栓と共通ですが、その先の材料や耐圧の考え方は水系設備とは別に組み立てられています。
まずは配管そのものの材料規定から確認していきます。
水を使わないだけで、配管の基準がここまで別になるとは思いませんでした。
中身がまったく違う流体なので当然といえば当然です。
次は具体的な配管材料の規格を見ていきましょう。
鋼管と銅管で配管の規格はどう分かれるのか

どちらも水道用の配管とは違う独自の規格です。
粉末消火剤や加圧ガスによる腐食を防ぐためで、一般配管用の鋼管をそのまま使うことはできません。
さらに蓄圧式のうち2.5メガパスカルを超え4.2メガパスカル以下という高圧帯では、より厚みのあるスケジュール40以上の鋼管が求められます。
銅管を選ぶ場合は日本産業規格H三三〇〇のタフピッチ銅に適合し、最高使用圧力の1.5倍以上の水圧に耐える強度が必要です。
配管材料を選ぶ段階から、水系設備とは違う圧力管理の発想が入っていることがわかります。
圧力の高さによって鋼管の規格まで変わるとは知りませんでした。
蓄圧式は容器内の圧力そのものが高いので、そのぶん配管も厚くする必要があります。
次は唯一の例外である管継手を見てみましょう。
管継手だけ屋内消火栓の基準を借りているのはなぜか

ここだけ屋内消火栓設備と同じ条文が呼び出されます。
フランジ継手やねじ込み式継手の材質を日本産業規格ごとに定めた表は、配管の中身が水であっても粉末消火剤であっても同じ金属継手を使う以上は共通して使えます。
一方で配管そのものの材質・耐圧・屈曲の条件は、流れる中身と圧力のかけ方が違うためそれぞれの設備で個別に書く必要があります。
つまり「継手の材質表」という共通部品の規格だけを借りて、それ以外は自前で組み立てているのがこの号の構造です。
屋外消火栓設備のように配管全体をまるごと準用する設備と比べると、借りている範囲が極端に狭い点が特徴です。
管継手だけ別の条文を見に行く理由が、材質表が共通だからというのは意外でした。
継手は部品としての規格なので、設備をまたいで共通化しやすいんです。
次はバルブ類と配管の形そのものの基準を見ていきましょう。
バルブ類や配管の屈曲部にはどんな制限があるのか

ここも屋内消火栓とは別に、粉末消火設備専用の条件が並びます。
配管の曲がり角についても、貯蔵容器等から屈曲部までの距離を管径の20倍以上離すという条件があります。
これは加圧ガスで押し出された粉末消火剤とガスが、曲がり角で急に分離してしまうのを防ぐための距離です。
落差は50メートル以下までと定められ、複数の噴射ヘッドが同時に放射する場合は放射圧力をそろえることも求められます。
どれも「粉末とガスを均一に運び切る」という、水系設備には無い課題に対応した条件です。
屈曲部までの距離まで決まっているとは、配管図を見ただけでは気づけません。
設計段階の配管ルートまで関わる基準なので、見落としやすい部分です。
最後に確認の進め方を整理しましょう。
点検や改修の前に何を確認すればよいのか

最後に確認の進め方を整理します。
竣工図書で使用配管が鋼管か銅管かを確認し、鋼管であれば亜鉛メッキ等の防食処理と、蓄圧式の圧力区分に応じたスケジュールが図面どおりかを見ます。
管継手については、日本産業規格に適合する金属製の継手が使われているかを確認してください。
配管が曲がる箇所は、貯蔵容器等からの距離や落差が基準内に収まっているかを設計図面と現地の両方で確認する価値があります。
改修工事で配管の一部だけを交換する場合も、この材質・継手・屈曲の三点は必ず引き継いで確認してください。
まずは配管の材質から竣工図書で確認してみます。
図面の記載と現地の配管が一致しているかも合わせてご確認ください。
不明な点があればご相談ください。
よくある質問
まとめ
管継手だけ屋内消火栓の基準を借りていたとよくわかりました。
竣工図書を確認してみます。
その配管基準の確認から、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第21条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





