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性風俗関連特殊営業の店舗はなぜ(2)項ハに区分されるのか|ソープランドやラブホテルが対象外になる理由も解説

個室型の店舗はなぜ(2)項ハに区分されるのかのアイキャッチ画像

個室で客に接触する店舗も、かつては一般の事務所と同じ(15)項として扱われていました。
しかし総務省消防庁は、こうした店舗を令別表第一(2)項ハに位置付け、特定防火対象物に含めることとしました。
背景にあるのは、個室での接客・薄暗い照明・不特定多数の利用者という、逃げ遅れにつながる要素です。
通知が示したのは店舗形態を持つ営業だけが対象になるという線引きです。

うちのビルに個室型のマッサージ店が入っていて、消防用設備の指導内容が急に厳しくなったんです。
何が変わったんですか。

おそらく、その店舗が令別表第一(2)項ハに区分されたからです。
個室で客に接触する業態は特定防火対象物として扱われます

うちのテナントがその条件に当たるのかどうかも、正直わかりません。

そこから確認しましょう。
対象になる営業形態と、対象外になる除外類型を、通知の内容で順に見ていきます。

この記事の結論
  • 個室で客に接触する店舗は、かつての(15)項事務所扱いから令別表第一(2)項ハへ格上げされました
  • (2)項ハに該当するのは、風営法第2条第5項の性風俗関連特殊営業のうち店舗型性風俗特殊営業と店舗型電話異性紹介営業の2類型だけです
  • ソープランドは(9)項イ、ストリップ劇場は(1)項イ、ラブホテルは(5)項イ、アダルトショップは(4)項、テレフォンクラブと個室ビデオは(2)項ニへ、それぞれ別の項として区分されます
  • 該当するかどうかは公安委員会への届出の有無ではなく、実際の営業形態で判断されます
  • 複合用途ビルでは名称だけで判定せず、営業形態・サービス内容を総合的に見る必要があります

個室で客に応対する店舗が令別表第一(2)項ハに区分される流れを示した図解

性風俗関連特殊営業はなぜ(15)項の事務所扱いから格上げされたのか

一般的な事務所建物と、個室が並び入口に警報のマークが付いた店舗建物を比較したイメージ
個室で客に接触する性風俗関連特殊営業は、かつて令別表第一に個別の該当項がなく、一般の(15)項事務所として扱われていました。
しかし総務省消防庁は、この扱いを見直すことになりました。
令別表第一の改正に伴う消防法令の運用について(平成14年8月2日消防予第227号・消防安第35号) 従前、いわゆる風俗店のうち飲食を伴わず、蒸気浴場等にも該当しないような営業形態のいわゆる性風俗施設については、令別表第一(1)項から(10)項までに掲げる用途に該当しないことから、一般の事務所と同じ令別表第一(15)項として取り扱われていた。性風俗施設の多くは個室において客に接触する役務を提供しており、店舗内の照明は一般的に薄暗く、利用者が不特定多数の者である等、火災時には逃げ遅れによる人命危険がきわめて高いことから、現行の令別表第一(2)項に掲げる用途として位置付け、特定防火対象物に含めることとしたものである。
照明と個室構造が判断の決め手でした
理由の立て方が明快です。用途を区分する基準は名称ではなく、逃げ遅れのリスクそのものに置かれています。
個室にいったん入ってしまえば、火災の発生に気づくのが遅れます。照明が薄暗ければ、避難口を探すのにも時間がかかります。
そこに不特定多数の利用者という条件が重なり、名称や届出の種類にかかわらず特定防火対象物として扱う理由になりました。
建物側でまず確認すべきは、テナントの契約書に書かれた業種名ではなく、実際にどのような客室構造で営業しているかです。

うちのテナント一覧を見ても、業種名だけでは(2)項ハに当たるかどうか分かりません。

名称では判断できません。
個室での接客と照明の暗さが判断材料になります

(2)項ハに該当するのはどの営業形態か

個室が並ぶ店舗建物と、電話の受話器のマークが付いた店舗建物にそれぞれチェックマークが付いたイメージ
風営法が定める性風俗関連特殊営業には、いくつもの類型があります。
そのうち(2)項ハが拾うのは、ごく一部です。
令別表第一の改正に伴う消防法令の運用について(平成14年8月2日消防予第227号・消防安第35号) 風営法第2条第5項に規定する「性風俗関連特殊営業」とは、店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業及び無店舗型電話異性紹介営業のいずれかに該当するものをいう。このうち令別表第一(2)項ハに規定する「性風俗関連特殊営業を営む店舗」とは、店舗形態を有する性風俗関連特殊営業のことをいい、店舗形態を有しない性風俗関連特殊営業は含まれないものであり、原則として店舗型性風俗特殊営業及び店舗型電話異性紹介営業がこれに該当するものである。
消防法施行令別表第一(2)項ハ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業を営む店舗(ニ並びに(1)項イ、(4)項、(5)項イ及び(9)項イに掲げる防火対象物の用途に供されているものを除く。)その他これに類するものとして総務省令で定めるもの
対象になるのは店舗を構えた2類型だけです
風営法が定める性風俗関連特殊営業は全部で5類型ありますが、(2)項ハが拾うのはそのうち店舗を持つものだけです。
無店舗型や映像送信型のように、決まった店舗を構えずに営業する形態は対象外になります。
つまり物理的な建物・区画があるかどうかが最初の分かれ目になるということです。
テナントが実店舗を構えているなら、次に見るのはその店舗が具体的にどちらの類型に当たるかです。

無店舗で営業しているデリバリー型のお店は対象にならないんですか。

はい、対象外です。
店舗を構えているかどうかが最初の判定基準になります。

ソープランドやラブホテルはなぜ(2)項ハの対象外になるのか

浴場や劇場や宿泊施設や物販店など5種類の建物がそれぞれ別の区分先へ振り分けられる様子を示したイメージ
店舗形態を持つ性風俗関連特殊営業でも、すでに令別表第一の別の項に名前が挙がっているものは(2)項ハに含まれません。
その代表例が、ソープランドやラブホテルです。
令別表第一の改正に伴う消防法令の運用について(平成14年8月2日消防予第227号・消防安第35号) 店舗形態を有する性風俗関連特殊営業のうち、ソープランド(令別表第一(9)項イ)、ストリップ劇場(令別表第一(1)項イ)、ラブホテル及びモーテル(令別表第一(5)項イ)、アダルトショップ(令別表第一(4)項)、テレフォンクラブ及び個室ビデオ(令別表第一(2)項ニ)等、令別表第一に掲げる各用途のうち前掲括弧書き内に掲げるものに分類されているものについては、令別表第一(2)項ハとして取り扱わないものであること。
名前が似ていても行き先は5通りに分かれます
浴場業の形をとるソープランドは(9)項イ、興行場の形をとるストリップ劇場は(1)項イに区分されます。
宿泊の形をとるラブホテル・モーテルは(5)項イ、物品販売の形をとるアダルトショップは(4)項です。
電話や個室での映像視聴を営業の中心に置くテレフォンクラブ・個室ビデオは(2)項ニへ分類されます。
どれも(2)項ハには当たらないので、建物のテナント一覧でこれらの名称を見つけたら、まず区分先を確認してください。

名前だけ見るとどれも(2)項ハに入りそうな気がします。

その直感がいちばん危ないところです。
営業の実態でそれぞれ別の項に振り分けられます

複合用途ビルで見落としやすいのはどこか

3階建ての複合用途ビルの各階を虫眼鏡で確認している様子を示したイメージ
用途区分の判定でよく混同されるのが、風営法上の風俗営業と性風俗関連特殊営業、そして届出の有無です。
どちらも(2)項ハの該当性そのものとは別の話になります。
令別表第一の改正に伴う消防法令の運用について(平成14年8月2日消防予第227号・消防安第35号) キャバレー(令別表第一(2)項イ)、待合(令別表第一(3)項イ)等の風営法第2条第1項に規定する風俗営業に該当するものは、そもそも令別表第一(2)項ハには当たらないこと。性風俗関連特殊営業を営む場合は営業所の所在地を管轄する公安委員会に届出をする必要があるが、当該防火対象物が令別表第一(2)項ハに該当するための要件は、あくまでも営業形態であり、必ずしも当該届出を要件とするものではないこと。
似た名前の風俗営業と混同しないことが最初の落とし穴です
キャバレー待合は風営法上の風俗営業であって、性風俗関連特殊営業ではありません。それぞれ(2)項イ・(3)項イとして別に区分され、(2)項ハには当たりません。
もう一つの落とし穴は届出です。公安委員会への届出があるかどうかは(2)項ハの該当性とは連動しません。
届出をしていなくても実態が該当すれば(2)項ハですし、逆に別の業種として届出していても実態次第では該当することがあります。
複合用途ビルでは、テナントごとに「風俗営業」なのか「性風俗関連特殊営業」なのかをまず切り分けて確認してください。

うちのビルにあるキャバレーも(2)項ハとして扱えばいいんですよね。

いいえ、キャバレーは風俗営業なので別区分です。
まず風俗営業か性風俗関連特殊営業かを切り分けてください

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストを持った担当者が建物を確認している様子を示したイメージ
ここまでの内容を踏まえると、確認の手順はシンプルになります。
名称に頼らず、実態を一つずつ確かめるだけです。
令別表第一の改正に伴う消防法令の運用について(平成14年8月2日消防予第227号・消防安第35号) 第3 留意事項 本通知中で挙げた具体例の中の多くは、用語の定義がなく、世間一般に通用している俗称を用いているため、用途の判定に当たっては名称のみで判定することなく、名称、営業形態、サービスの内容等の要件を総合的に判断して用途を判定する必要があることに留意されたい。
明日からできるのは名称に頼らない確認です
まずテナント一覧の業種名を、実際の営業形態と突き合わせてください。個室の有無、照明の明るさ、利用者の層をひとつずつ確かめます。
次に、公安委員会への届出の有無ではなく、サービスの内容そのものから判定します。
判断に迷う場合や、テナントの用途が変わったときは、名称を鵜呑みにせず所轄消防署へ相談してください。
この確認を賃貸借契約の更新やテナント入れ替えのたびに繰り返す仕組みにしておくと、区分の見落としを防げます。

テナントが入れ替わるたびに確認する、というのを社内のルールにしてみます。

それが一番確実な方法です。
名称ではなく実態で毎回確認してください

よくある質問

Q個室型のマッサージ店は必ず(2)項ハになりますか?
A営業形態が風営法上の性風俗関連特殊営業に該当し、かつ店舗形態を有する場合に(2)項ハとなります。単なる名称だけでは判断できず、個室での接客の実態を確認する必要があります。
Qソープランドやラブホテルも(2)項ハに含まれますか?
A含まれません。ソープランドは(9)項イ、ラブホテルは(5)項イなど、それぞれ別の項として取り扱うこととされています。
Q公安委員会への届出をしていない店舗は対象外になりますか?
Aなりません。(2)項ハに該当するための要件は営業形態そのものであり、届出の有無は要件とされていません。
Q無店舗型のデリバリー営業も対象になりますか?
Aなりません。(2)項ハが対象とするのは店舗形態を有する性風俗関連特殊営業に限られ、無店舗型は含まれません。

まとめ

個室で客に接触する店舗は令別表第一(15)項の事務所扱いから(2)項へ格上げされました
(2)項ハに該当するのは店舗型性風俗特殊営業と店舗型電話異性紹介営業の2類型だけです
ソープランド・ストリップ劇場・ラブホテル・アダルトショップ・テレフォンクラブ等はそれぞれ別の項に区分されます
キャバレーや待合は風俗営業であって性風俗関連特殊営業ではありません
公安委員会への届出の有無は(2)項ハの該当性を左右しません
判定は名称ではなく営業形態・サービスの内容で総合的に行います
テナントの入れ替わりのたびに実態を確認する仕組みにしておきましょう

名称ではなく実態で確認すればいいと分かりました。
すっきりしました!

対象になる2類型と、除外される5類型。
この線引きを覚えておけば大きく外しません
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 令別表第一の改正に伴う消防法令の運用について(平成14年8月2日消防予第227号・消防安第35号/改正:平成20年8月消防予第199号、平成22年9月消防予第423号)
  • 消防法施行令別表第一(2)項ハ・(1)項イ・(2)項イ・(2)項ニ・(3)項イ・(4)項・(5)項イ・(9)項イ
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項・第5項から第10項まで
  • 消防実務六法 通達編

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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