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製造所等の変更工事はどこまで許可なしでできるのか|軽微な変更として扱われる範囲の見分け方を解説

製造所等の変更工事はどこまで許可なしでできるのかを解説する記事のアイキャッチ画像

製造所や給油取扱所などの「製造所等」では、タンクの取替や配管の補修といった維持管理の工事が日常的に発生します。
工事のたびに消防法第11条の変更許可が必要なのか、それとも許可なしで進められるのか、現場で判断に迷う場面は少なくありません。
実は「軽微な変更工事」として許可を要しない範囲は、消防庁の通知で細かく整理されています。
本記事では、令和6年3月に改正された通知をもとに、許可なしで進められる工事とそうでない工事の見分け方を解説します。

タンクの弁を交換するだけでも、消防署に許可を取らないといけないんでしょうか。
正直、工事のたびに手続きが必要なのか毎回迷います。

工事の内容によります。
軽微な変更工事」に当たれば、許可なしで進められる場合もありますよ。

軽微かどうかは、どうやって見分ければいいんですか。
うちは給油取扱所とタンクの両方を管理しているので気になります。

判断のポイントは4つあります。
この記事でまとめて解説します!

この記事の結論
  • 消防法第11条の変更許可が不要な「軽微な変更工事」は、消防庁通知の別添表で判定できる
  • 令和6年3月18日の消防危第48号改正で、移送取扱所の範囲見直しと電子メールでの資料提出が明確になった
  • 判断の基準は品名・数量、位置、防火・強度、可燃性蒸気の滞留範囲の4要件
  • 「△」の工事は資料提出を要する軽微な変更工事として、着工前の確認が必要になる
  • 予防規程がある施設は、軽微な変更でも書類・図面への記録を残す義務がある

製造所等の変更工事の許可要否を見分ける4ステップの図解

変更工事の許可要否はなぜ通知で整理されたのか

消防庁の通知文書と危険物施設の外観のイラスト
危険物施設の維持管理では、日々さまざまな変更工事が発生します。
その許可の要否をめぐる運用は、長年ひとつの古い通知に頼ってきました。
消防危第48号(令和6年3月18日)による改正後の消防危第49号「製造所等において行われる変更工事に係る取扱いについて」 「軽微な変更工事」とは、変更許可を要しない変更工事であることを明確にするとともに、121号通知における「資料の提出を要しない軽微な変更工事」及び「資料の提出を要する軽微な変更工事」の趣旨を明確にした。
今回の改正の狙いは一言で言えば線引きの明確化です
昭和61年から使われてきた旧通知(121号通知)は、「資料の提出を要しない軽微な変更工事」と「資料の提出を要する軽微な変更工事」の違いがあいまいで、現場ごとに解釈が割れがちでした。
令和6年3月18日の消防危第48号は、この121号通知を全面的に整理し直し、あわせて移送取扱所で軽微な変更として扱ってよい範囲の見直しと、資料提出の方法として電子メールの活用を明確にしました。
つまり工事のたびに「これは許可がいるのか」と悩まずに済むよう、判断のものさしそのものを新しくしたのが今回の通知です。
以下では、この新しい判断のものさしを順番に見ていきます。

古い通知の何が分かりにくかったんですか。
うちの担当者もいつも迷っていました。

「資料の提出が必要かどうか」の境目が曖昧だったんです。
今回の改正でそこが整理されました。

どの設備の変更工事が対象になるのか

危険物施設のタンクと配管の設備のイラスト
対象になるのは、消防法第11条の許可を受けた製造所・貯蔵所・取扱所、いわゆる「製造所等」全般です。
ただし施設の中でも、工事の場所によって扱いが変わります。
製造所等を構成する部分のうち危険物以外の物質を貯蔵し、又は取り扱う部分(非対象設備)については、位置の基準並びに消火設備及び警報設備の基準以外の基準の適用はないので、非対象設備のみの変更が行われる場合において位置又は消火設備若しくは警報設備に変更を生じないものについては、変更の許可を要しない。
変更許可が必要かどうかは、まず対象設備か非対象設備かで分かれます
危険物を貯蔵・取扱いする対象設備は、位置・構造・設備のすべての基準がかかってきます。
一方、事務所や休憩室のように危険物を扱わない非対象設備だけを工事する場合は、位置や消火設備・警報設備に変更が生じない限り許可は不要です。
対象設備と非対象設備の両方にまたがる工事は、基準との関係を個別に判断する必要があります。
自分の工事がどちらに当たるかを最初に切り分けることが、判断の出発点になります。

うちはタンクとオフィス棟が両方ありますが、オフィス棟だけ直すなら平気ですか。
消火設備の位置は変えない予定です。

それなら許可は不要です。
非対象設備だけの工事なら、消火・警報設備に変更がない限り大丈夫ですよ。

軽微な変更工事はどう判断するのか

変更工事の判定フローとチェックリストのイラスト
軽微な変更工事に当たるかどうかは、4つの要件で判断します。
通知の別添には、施設・設備ごとに「○」「△」「/」の記号で一覧表が示されています。
消防危第48号による改正後の消防危第49号 変更工事が、保安上の問題を生じさせないものであると判断するための要件は、一般的には少なくとも次の要件を満たす必要がある。ア 変更工事に伴い、製造所等の許可に係る危険物の品名、数量又は指定数量の倍数の変更がないこと。イ 変更工事に伴い、位置に係る技術上の基準に変更がないこと。ウ 変更工事に伴い、建築物又は工作物の技術上の基準のうち、防火上又は強度上の理由から必要とされる基準に変更がないこと。エ 変更工事に伴い、通常の使用状態において、可燃性蒸気又は可燃性微粉の滞留するおそれのある範囲の変更がないこと
覚え方はシンプルで、品名・位置・防火強度・滞留範囲の4つが変わらなければ軽微です
別添の表では「」が資料の提出も不要な軽微な変更工事、「」が事前に資料等で確認を要する変更工事を示します。
たとえば建築物の防火上重要でない間仕切り壁や、屋外貯蔵所のラック式の棚などは、条件付きで軽微な変更工事として扱われます。
「/」は通常想定されない変更工事という意味で、個別に消防機関へ相談する必要があります。
表に載っていない工事でも、この4要件に照らして判断してよいとされています。

うちの間仕切り壁を直したいんですが、軽微に当たりますか。
防火に関係ない普通の壁です。

防火上重要でない壁なら、条件付きで軽微に当たります。
他の壁の基準に影響しないかだけ確認してください。

実務で見落としやすいのはどこか

無許可のまま工事を進めてしまう落とし穴のイラスト
ここで気をつけたいのは、「軽微」と「無許可でよい」は同じではないという点です。
特に「△」の工事を「○」と思い込んで進めてしまう例が見受けられます。
消防危第48号による改正後の消防危第49号 別添に掲げられていない工事であっても、変更の程度がこれらの例の何れかと類似又は同等であると認められるものについては、2(1)アからエの判断基準を参考に、同じ取扱いをして差し支えないものである。
△の工事は着工前の確認が前提で、事後報告では済みません
「△」=確認を要する変更工事は、工事の内容を事前に資料等で確認してもらい、その結果として軽微と認められれば許可が不要になる、という順番です。
確認を飛ばして先に工事を終えてしまうと、後から無許可の変更工事として扱われるおそれがあります。
また、表に載っていない設備の工事だからといって自己判断で軽微と決めつけるのも危険で、判断に迷ったら所轄消防署へ相談するのが安全です。
「変更許可を要する工事」と「確認を要する変更工事」が同時に発生する場合は、変更許可の申請時にまとめて資料確認を受けられます。

ポンプの取替を先に終わらせてから、あとで消防署に聞こうと思ってました。
それだとまずいですか。

先に済ませるのは避けてください。
△に当たる工事は、着工前の確認が必要です。

明日からなにを確認すればよいのか

変更工事の記録簿に書き込む作業員のイラスト
最後に、実際の現場で今日から取れる手順を整理します。
特別な準備は要りません。手元の工事計画と通知の別添表を並べるだけで判断できます。
消防危第48号による改正後の消防危第49号 予防規程を定めなければならない製造所等において、「軽微な変更工事」を実施した場合は、製造所等の位置、構造及び設備を明示した書類又は図面に、実施日及び内容等を記録しておくこと。また、「資料の提出を要する軽微な変更工事」に関する資料の提出方法については、消防機関の窓口に提出する方法以外にも、電子メール等を活用して差し支えない
手順は書き出す・照らす・出す・残すの4つだけです
まず工事の内容を「増設・移設・改造・取替・補修・撤去」のどれに当たるか書き出します。
次に別添の表で自分の設備の行を探し、「○」「△」「/」のどれに当たるかを確認します。
「△」であれば所轄消防署へ資料を提出しますが、令和6年の改正で電子メールでの提出も明確に認められました。
予防規程がある施設は、軽微な変更でも実施日と内容を書類・図面に記録しておくことを忘れないでください。

資料の提出って、窓口に行かないといけないと思ってました。
メールでもいいんですか。

今回の改正でメール提出も明確になりました。
まずは所轄消防署に確認してみてください。

よくある質問

Q軽微な変更工事にあたる場合でも、消防署への届出は一切不要ですか?
Aいいえ。別添表で「○」(資料提出を要さない軽微な変更工事)にあたる場合は届出が不要ですが、「△」(確認を要する変更工事)にあたる場合は、着工前に資料等で消防機関の確認を受ける必要があります。
Q「軽微な変更工事」に該当するかどうかの資料は、どのように提出すればよいですか?
A従来の窓口への提出のほか、令和6年3月18日の消防危第48号による改正で、電子メール等を活用して提出することも明確に認められました。
Q対象設備と非対象設備の違いは何ですか?
A危険物を貯蔵・取扱いする部分が対象設備で、位置・構造・設備のすべての基準がかかります。危険物を扱わない事務所などの部分は非対象設備で、位置や消火設備・警報設備に変更が生じない限り変更許可は不要です。
Q別添の表に載っていない工事をする場合はどう判断すればよいですか?
A表に載っていない工事でも、変更の程度がいずれかの例と類似または同等と認められる場合は、品名・数量、位置、防火・強度、可燃性蒸気の滞留範囲という4つの判断基準を参考に、同じ取扱いをして差し支えないとされています。

まとめ

製造所等の変更工事は、まず消防法第11条の許可が必要かどうかを見極める
令和6年3月18日の消防危第48号は、平成14年の49号通知を整理し直した改正
対象設備と非対象設備の区別が、許可要否を分ける最初の分かれ目
軽微な変更工事の判断は、品名・数量、位置、防火・強度、可燃性蒸気の滞留範囲の4要件で行う
別添表の「○」は資料提出不要、「△」は着工前の確認が必要
令和6年の改正で、資料提出に電子メールも使えるようになった
予防規程がある施設は、軽微な変更でも書類・図面へ記録を残す

これで判断の道筋が見えました。
次に工事するときは、まず別添表を確認します!

それが一番の近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 「製造所等において行われる変更工事に係る取扱いについて」の一部改正について(令和6年3月18日 消防危第48号、消防庁危険物保安室長)
  • 「製造所等において行われる変更工事に係る取扱いについて」(平成14年3月29日 消防危第49号、令和6年3月改正後)
  • 消防法第11条第1項
  • 危険物の規制に関する規則第60条の2第1項第13号

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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