屋外タンク貯蔵所で側板や底部の補修工事をするとき、そのたびに水張試験を受け直す必要があるのか気になったことはないでしょうか。
実は工事の内容によっては、水張試験に関する基準の適用を除外できる特例が用意されています。
ただしこの特例は工事の種類ごとに細かく限定されており、しかも特定屋外タンク貯蔵所かどうかで対象になる工事の範囲まで変わります。
この記事では、水張試験を省略できる変更工事の範囲と、特定・非特定で対象が分かれる理由を順番に整理します。
うちのタンクでノズルの取付工事をするんですが、また水張試験を受け直さないといけないんでしょうか。
いいえ、工事の内容によっては水張試験を省略できる特例があります。
どんな工事でも省略できるわけじゃないんですよね。
はい、省略できる工事の種類は決まっています。
- 屋外タンク貯蔵所の変更工事のうち、タンク本体の工事が政令の定める九つの類型に限られる場合は、水張試験に関する基準の適用が除外されます。
- 対象になるのはノズル・マンホールの取付や溶接部の補修、屋根・浮き蓋の工事、側板や底部の軽微な補修工事です。
- 特定屋外タンク貯蔵所は九つの類型すべてが対象になりますが、特定屋外タンク貯蔵所以外は七つの類型に限られます。
- 特定屋外タンク貯蔵所以外では側板の重ね補修工事と底部の重ね補修工事の二つが対象から外れます。
- 自分の工事がどの類型に当たるか迷う場合は、所轄消防署に確認してください。
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目次
屋外タンク貯蔵所の水張試験はなぜ変更工事のたびに必要になるのか

出発点は屋外貯蔵タンクの構造基準です。
政令第十一条第一項第四号により、圧力タンク以外は水を満たす水張試験、圧力タンクは水圧試験で、それぞれ漏れや変形がないことを確認します。
この基準は新設のときだけでなく、タンクの構造や設備を変更する工事にも及びます。
つまり側板や底部を補修する工事をするたびに、原則としてもう一度水張試験を受け直す必要が出てきます。
とはいえ、すべての変更工事で毎回試験をやり直すのは現実的ではありません。
小さな補修工事でも毎回水を張り直すんですか。
原則はそうですが、工事の内容によって省略できる特例があります。
どんな変更工事なら水張試験を省略できるのか

根拠は政令が総務省令に委ねている条文です。
政令第十一条第六項により、側板や底板の取替え工事は対象から除かれ、それ以外の工事のうち総務省令で定めるものだけが特例の対象になります。
この委任を受けた規則第二十二条の四第一項は、タンク本体に関する工事を含む変更の工事で、そのタンク本体の工事が政令の定める号に限り行われるものを対象にすると定めています。
つまり配管や付属設備だけの工事ではなく、タンク本体そのものに手を入れる工事が対象になります。
次はその号の中身を具体的に見ていきます。
タンク本体に関わる工事だけが対象になるんですね。
はい、タンク本体の工事を含む変更工事が対象です。
具体的にはどんな工事が対象になるのか

どれも軽微な工事に限られています。
一号・二号はノズルやマンホールの取付と溶接部の補修、三号は屋根と浮き蓋の工事です。
四号から九号は側板と底部の補修工事で、重ね補修・肉盛り補修・溶接部の補修の三種類に分かれます。
肉盛り補修や底部の溶接部補修は「溶接部に対する熱影響が軽微なもの」という限定が付いており、無条件に対象になるわけではありません。
まずはこの九類型の全体像を押さえたうえで、次は対象になる範囲そのものが施設の区分で変わる点を見ます。
意外と細かく分かれているんですね。
はい、工事の種類ごとに号が決まっています。
特定屋外タンク貯蔵所と非特定でなぜ対象になる工事が違うのか

ここが見落としやすい落とし穴です。
柱書のかっこ書きにより、特定屋外タンク貯蔵所以外で対象になるのは第一号・第二号・第三号・第五号・第六号・第八号・第九号の七つの類型だけです。
つまり四号の側板の重ね補修工事と七号の底部の重ね補修工事は、特定屋外タンク貯蔵所以外では特例の対象になりません。
特定屋外タンク貯蔵所以外がこの二つの工事をする場合は、原則どおり水張試験を受け直す必要があります。
自分のタンクが特定屋外タンク貯蔵所に当たるかどうかを、まず確認してください。
うちは小さいタンクなんですが、重ね補修だと省略できないんですね。
はい、特定屋外タンク貯蔵所以外の重ね補修は対象外です。
明日から何を確認すればよいのか

まずは自分のタンクの区分を確認してください。 自分のタンクが特定屋外タンク貯蔵所に当たるかどうかを、指定数量の倍数等から確認してください。
予定している工事が規則第二十二条の四第一項の九類型のどれに当たるか、図面や工事内容と照らし合わせて確認してください。
特定屋外タンク貯蔵所以外の場合は、側板の重ね補修工事と底部の重ね補修工事が対象外になる点に特に注意してください。
該当するかどうか判断に迷う場合は、工事業者や所轄消防署に確認することをお勧めします。
まずは自分のタンクの区分を確認してみます。
それが一番確実です。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
水張試験を省略できる工事の範囲がよく分かりました。
早速確認します。
まずはタンクの区分と工事内容の確認から始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十一条(屋外タンク貯蔵所の基準)
- 危険物の規制に関する規則第二十二条の四(屋外タンク貯蔵所における軽微な変更の工事)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





