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点検で使う試験器にも校正周期はあるのか|加熱試験器から炎感知器用作動試験器まで7種の仕組みを解説

点検の試験器に校正周期は本当にあるのか

消防設備の点検で使う加熱試験器や加ガス試験器は、いつも同じ性能で測れているのでしょうか。
測定に使う器具そのものが狂っていれば、感知器が正常でも異常でも同じ結果が出てしまいます。
実は消防庁の通知によって、試験器の種類ごとに校正の周期まで定められています。
本記事では、試験器の種類と校正周期、実務で見落としやすい点を通知にもとづいて解説します

点検業者さんが感知器に器具を当てて確認しているのを見ますが、あの器具自体は大丈夫なんでしょうか。

良いところに気づかれましたね、試験器そのものにも校正の基準が定められています。

器具の種類によって、周期も変わったりするんでしょうか。

はい、種類ごとに変わります
この記事で順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消防用設備等の点検で使う試験器具等は、校正によって性能を維持するよう消防庁の通知で定められています
  • 対象になるのは加熱試験器・メーターリレー試験器・加煙試験器など、自動火災報知設備とガス漏れ火災警報設備に係る7種類の試験器です
  • 校正の周期は器具の種類ごとに違い、10年のものもあれば3年のものもあります
  • 現在使用している試験器も、通知の施行日からおおむね同じ周期以内に校正することとされています
  • 校正の型式や年月日は、試験結果報告書や点検票の所定欄に記載するよう指導されています

試験器にも校正周期があることを示す図解

点検で使う試験器にはなぜ校正が必要なのか

試験器を感知器に近づけて点検する技術者のイメージ
加熱試験器や加ガス試験器は、感知器が正常に反応するかどうかを確かめるための器具です。
この器具そのものの性能が落ちていたら、点検の結果は意味を持たなくなります。
消防用設備等の試験等に係る試験器具等の取扱いについて(昭和62年1月13日消防予第6号) 消防用設備等の試験、検査、点検において測定、試験及び検査に使用する器具(以下「試験器具等」という。)は、消防用設備等の機能の適否を判定する上で重要な役割を果たすものである。従って、試験器具等が正確な計量の用に供することができるものであることを、校正によって常に確認し、適正に維持する必要がある
試験器の校正は、点検結果そのものの信頼性を支える仕組みです。
感知器の点検結果が「正常」でも「異常」でも、その判定は試験器の測定精度に頼っています。
測定がずれていれば、実際には作動しない感知器を「正常」と見誤るおそれも出てきます。
この通知は自動火災報知設備とガス漏れ火災警報設備に係る試験器を対象に、基準と校正の周期を定めています。
まずはどんな試験器が対象になっているのかを、次の見出しで確認します。

試験器がずれていたら、感知器の異常を見逃すこともあるってことですね。

そのとおりです、測定側の精度が点検全体の土台になっています。

点検の現場ではどんな試験器がこの通知の対象になっているのか

種類の異なる複数の試験器具が並ぶ棚のイメージ
一口に試験器といっても、感知器の種類ごとに使う器具は違います。
通知では対象になる試験器を7種類、名指しで列挙しています。
同通知 自動火災報知設備及びガス漏れ火災警報設備に係る試験器具等のうち、次に掲げる試験器具等(以下「試験器」という。)の基準を別添1から別添7までのとおり定めたので、試験等を実施する場合にあっては、これらの基準に適合する試験器を用いるものであること。 (1)加熱試験器(差動式スポット型感知器及び定温式スポット型感知器用) (2)メーターリレー試験器(差動式分布型感知器(熱電対式)用) (3)加煙試験器(イオン化式スポット型感知器及び光電式スポット型感知器用) (4)煙感知器用感度試験器(イオン化式スポット型感知器及び光電式スポット型感知器用) (5)減光フィルター(光電式分離型感知器用) (6)加ガス試験器(ガス漏れ検知器用) (7)炎感知器用作動試験器(紫外線式スポット型感知器及び赤外線式スポット型感知器用)
対象の試験器は、感知器の作動原理ごとに使い分けられています。
熱を感知する感知器には加熱試験器やメーターリレー試験器、煙を感知する感知器には加煙試験器や煙感知器用感度試験器を使います。
炎を感知する感知器やガス漏れ検知器にも、それぞれ専用の試験器が割り当てられています。
どの試験器にも、別添で構造や性能の基準が個別に定められています。
現場で使われている器具が、この7種類のどれに当たるかをまず把握しておくことが出発点です。

うちの建物、光電式の煙感知器なので、加煙試験器か感度試験器のどちらかが使われているんですね。

そうです、感知器の型式によってどちらを使うかが決まります。

試験器の校正周期はどのように決まっているのか

試験器に校正タグが付き周期を確認するイメージ
試験器は基準に適合しているだけでなく、その性能が保たれているかを定期的に確かめる必要があります。
通知は、器具の種類ごとに校正を行う周期まで表で示しています。
同通知 試験器は、その性能が確保されているか否かについて定期に校正を行うものであること。この場合における校正を行う時期については、各種目ごとに次の表に示すとおりとし、校正を行う場合の基準は、別添8に定めるとおりとすること。 試験器の区分/校正時期 加熱試験器及び加煙試験器/10年 メーターリレー試験器/5年 煙感知器用感度試験器/3年 減光フィルター/5年 加ガス試験器/3年 炎感知器用作動試験器/10年
校正の周期は、器具ごとに10年から3年までばらつきがあります。
比較的単純な構造の加熱試験器や炎感知器用作動試験器は10年と長めですが、煙感知器用感度試験器や加ガス試験器は3年と短めに設定されています。
同じ「試験器」という括りでも、周期を一律に扱ってはいけません。
校正を行う際の具体的な基準は別添8に定められており、(一財)日本消防設備安全センターが試験を実施しています。
所有している試験器がどの区分に当たるかで、次に校正を確認すべき時期が変わってきます。

周期がこんなに違うとは思いませんでした、点検業者に確認したほうがよさそうです。

そのとおりです、器具の種類ごとの周期を一度確認してもらうと安心です。

実務で見落としやすいのはどこか

校正の切れた古い試験器と記録用紙のイメージ
この通知は新しく作った試験器だけでなく、通知が出る前から使っていた試験器にも適用されます。
ここを見落とすと、古い試験器をそのまま使い続けてしまいます。
同通知 現に使用している試験器にあっては、本通知の施行日以降、おおむね前記の校正時期以内に校正を実施し、所要の性能等を有しているか否かについて確認を行うものであること。(略)当該試験器の型式、校正年月日等については、消防用設備等ごとの「消防用設備等試験結果報告書」の備考欄及び消防用設備等点検結果報告書に添付する「点検票」の所定の欄に記載するよう指導すること。
すでに使っている試験器も、校正から逃れられるわけではありません。
通知の施行日(別添1から別添6は昭和62年4月1日、別添7は平成5年2月1日)を起点に、それぞれの周期以内に校正を済ませることとされています。
校正の型式番号や年月日は、試験結果報告書の備考欄や点検票の所定欄に記載する扱いになっています。
逆にいえば、報告書にその記載が無ければ、試験器の校正が確認できていない状態のままだということです。
古い試験器を使い続けている現場ほど、この記載欄の有無を見落としがちです。

報告書に校正年月日の欄があるかどうか、今まで気にしたことがなかったです。

次に報告書を受け取ったら、ぜひ備考欄の記載を見てみてください。

点検を依頼する側は試験器について何を確認すればよいのか

試験器を安全センターへ校正に出す様子のイメージ
ここまでの内容を実務の順番に並べ直すと、依頼主として確認すべきことが見えてきます。
  • まず、点検業者が使う試験器が通知が定める7種類のどれに当たるかを確認します
  • 次に、その試験器の型式・製造年月・校正年月日が報告書や点検票に記載されているかを確認します
  • 校正が必要な時期に近い試験器は、製造業者への事前整備を依頼したうえで(一財)日本消防設備安全センターに校正を依頼するのが望ましい流れです
試験器の校正状況は、点検結果の信頼性を裏づける手がかりになります。
点検票に校正年月日の記載が無い場合は、業者に確認を取っておくと安心です。
建物側から一言確認するだけで、点検の質を底上げすることにつながります。

次の点検のときに、報告書の備考欄を確認してみます。

それが一番確実です、記載の有無を見るだけでも十分な確認になります。

よくある質問

Q試験器の校正はどこに依頼すればよいですか?
A通知では(一財)日本消防設備安全センターが試験器具等の校正を実施しています。校正の前に試験器の製造業者等へ整備を依頼しておくことが望ましいとされています。
Q校正が切れた試験器を使って点検してもよいのですか?
A通知は試験器を基準に適合するように維持することを求めています。校正の周期を過ぎた試験器では、測定結果が所要の性能を満たしているか確認できていない状態になるため、校正済みの試験器を使うことが前提です。
Qこの通知が対象にしていない試験器具もありますか?
Aはい。通知が示しているのは自動火災報知設備とガス漏れ火災警報設備に係る7種類の試験器に限られます。それ以外の試験器具等の取扱いは、別途の通知に委ねられています。
Q校正の記録は自分たちでも保管しておくべきですか?
A通知は型式や校正年月日を試験結果報告書や点検票の所定欄に記載するよう指導しています。建物側でも報告書を保管し、記載欄が埋まっているかを確認しておくと、次回の点検依頼の際に役立ちます。

まとめ

点検で使う試験器具等は、校正によって性能を維持することが消防庁の通知で定められている
対象になるのは加熱試験器・メーターリレー試験器・加煙試験器など全部で7種類である
校正の周期は器具ごとに異なり、10年のものから3年のものまで幅がある
通知の施行前から使っていた試験器も、おおむね同じ周期以内に校正することとされている
校正の型式や年月日は試験結果報告書や点検票の所定欄に記載される
校正の実施機関は(一財)日本消防設備安全センターである
建物側は報告書や点検票の記載欄を確認するだけでも点検の質を底上げできる

点検の報告書、次からは校正の欄まできちんと確認してみます。

試験器の校正状況の確認から報告書の見方まで、㈱防災屋でもご相談を承っています。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防用設備等の試験等に係る試験器具等の取扱いについて(昭和62年1月13日消防予第6号、最終改正 平成13年消防予第103号・消防危第53号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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