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BCPで地震後に屋内消火栓の高架水槽から漏水していたらそのまま使ってよいのか|所定圧力と復旧判断を解説

屋内消火栓の高架水槽配管から漏水しているアイキャッチ

地震のあと、屋上にある屋内消火栓設備の高架水槽から水が漏れている。
水位がまだ残っていても、そのまま使えるのか、施設を止めるべきか迷う場面があります。
BCPでは高架水槽方式の屋内消火栓設備を使用保留にし、漏水範囲と所定の圧力を専門点検してから復旧を判断します

少しの漏れなら使えますか。

漏水した時点で使用を保留します

水位だけ戻せば復旧ですか。

所定の圧力と配管系統も確認します

この記事の結論
  • 高架水槽から漏水していたら屋内消火栓設備を使用保留にします
  • 施設担当者だけで増し締めや給水をして復旧扱いにしません
  • 水槽から立上り配管と消火栓箱まで一系統で確認します
  • 復旧までは巡回や火気制限などの代替措置を続けます
  • 漏水停止と所定の圧力を管理下試験で確認して復旧を決めます

高架水槽の漏水発見から使用保留と範囲確認と専門点検と管理下試験へ進む四工程の横長インフォグラフィック

地震後に屋内消火栓の高架水槽から漏水していたら使ってよいのか

屋上の高架水槽と赤い消防用配管の接続部から漏水している横長アイソメ図

高架水槽や接続配管から漏水していたら、残水量だけで使用可と判断しません
地震による変形や接続部の損傷が残り、放水時に水位や圧力を維持できない可能性があります。

総務省消防庁の屋内消火栓設備の点検基準は、高架水槽方式について、変形、損傷、腐食、漏水等がなく、所定の圧力が得られることを確認事項にしています。
漏水が見つかった状態は、外観と圧力の確認を終えるまで正常とは扱いません

消防法第十七条は消防用設備等を技術上の基準に従って設置し維持することを定め、同法第十七条の三の三は定期点検と結果報告を定めています。
水が残っていることと設備が維持基準を満たすことは別です。

漏水で床面が滑りやすい場合や、架台や周辺部材に変形がある場合は立入範囲を区切ります。
火災が発生しているときは点検より通報と避難を優先してください。

水槽に水が残っていても止めるんですね。

圧力を保てるかまで確認します

どの高架水槽と配管系統を確認対象にするのか

屋上の高架水槽から赤い立上り配管と各階の屋内消火栓箱へつながる横長アイソメ図

確認対象は、漏れているフランジや継手だけではありません。
高架水槽本体、架台、接続部、弁類、立上り配管、屋内消火栓箱までを一系統として確認します

  • 高架水槽本体の変形、損傷、腐食
  • 給水口、吐出口、フランジ、継手の漏水
  • 架台、固定部、基礎のずれや傾き
  • 弁の開閉位置と表示
  • 立上り配管と支持部の変形や漏れ
  • 屋内消火栓箱とホース接続部の状態
  • 平常時の水位と圧力に対する変化

完成図書と系統図を使い、漏水した水槽がどの防護区域へ給水するかを特定します
同じ建物に水槽や系統が複数ある場合は、設備番号を取り違えないようにします。

床の水たまりが別の配管や排水口から回り込むこともあります。
水たまりの位置だけで漏水箇所を断定せず、上流から接続部を追います

地震後は架台や配管支持部が動き、時間がたってから漏れが増えることがあります。
発見時刻と漏れ方の変化を系統ごとに記録してください。

漏れている継手だけ見ればええんですか。

消火栓箱まで系統で追います

漏水発見から使用保留と専門点検までどう進めるのか

えんじ色の上着と黒い長ズボンの担当者が漏水した高架水槽の周囲を立入制限する横長アイソメ図

発見、立入制限、使用保留、記録、連絡、代替措置、専門点検の順で進めます

  1. 滑りや落下の危険がある範囲を立入制限する
  2. 対象系統を使用保留にして発見時刻を記録する
  3. 水位、漏水量、漏水箇所、架台の状態を離れて確認する
  4. 防火管理者、設備担当者、保守事業者へ連絡する
  5. 巡回や火気制限などの代替措置を始める
  6. 専門業者が水槽、配管、支持部を点検する
  7. 漏水停止と所定の圧力を管理下試験で確認する

専門業者へは、地震の時刻、平常時の水位、漏水の場所と量、弁の位置、架台や配管の変形、影響する防護区域を伝えます。
原因を残すため施設担当者だけで増し締めや弁操作をしません

漏水箇所の近くに電気設備がある場合は、感電や短絡の危険も確認します。
安全な接近経路がないときは撮影や水受けの設置も中止してください。

処置後は水槽の外観、接続部の漏れ、弁の状態、配管系統、屋内消火栓設備に必要な圧力を管理下で確認します。
漏水が止まっただけで復旧完了にしません

設備停止が長引く場合は消防計画に沿って警戒を強め、必要に応じて所轄消防署へ相談します。

とりあえず増し締めしてええですか。

変形範囲を見てから専門処置です

水位だけ戻せば復旧したと思うと何を見落とすのか

漏水が続く高架水槽へ水を足す誤対応を禁止マークで示す横長アイソメ図

水を足して水位を戻しても、漏水経路や損傷は残ります。
補給量で漏水を隠すと、放水時に所定の圧力を確保できないおそれがあります

  • 水槽本体や接続口の亀裂が広がっている
  • フランジやパッキンの損傷が残っている
  • 架台やアンカーがずれて荷重が偏っている
  • 弁の開閉位置が地震前と変わっている
  • 立上り配管や支持部でも漏水している
  • 水位はあるが必要な圧力が得られない
  • 別系統の水槽を見て復旧扱いにしている

水位回復と設備機能の回復は別の確認です
外観上の漏れが止まっても、圧力をかけたときだけ再発する場合があります。

水槽本体に変形がある場合は、満水にすることで架台や基礎への負担が増えます。
補給や排水の要否は構造と設備を確認した専門家が決めます

一部の消火栓箱で水が出ても、系統の末端や上層階まで条件を満たすとは限りません。
完成図書と点検要領に沿った範囲で機能を確認します。

復旧記録には、漏水箇所、交換部品、弁操作、補給量、圧力確認、承認者を残します。
次の地震で同じ損傷を見逃さない情報にします

満水なら安心というわけではないんですね。

漏水と圧力を分けて確認します

明日から高架水槽方式の異常にどう備えるのか

高架水槽と系統図と弁札と点検記録をそろえる横長アイソメ図

異常時に初めて水槽や弁の位置を調べると、使用保留と代替措置が遅れます。
平常時に高架水槽、弁、立上り配管、消火栓箱、防護区域、連絡先を一枚の系統図へまとめます

  1. 高架水槽と配管へ設備番号を付ける
  2. 水槽から消火栓箱までの系統図を更新する
  3. 平常時の水位と圧力を点検記録へ残す
  4. 弁の通常位置と操作権限を決める
  5. 使用保留中の代替措置を消防計画へ反映する
  6. 専門点検と復旧承認の連絡先をそろえる
  7. 訓練で立入制限から復旧判断まで確認する

平常時の外観、水位、圧力が分かれば、地震後の変化を早く共有できます

点検記録には、水槽本体、接続部、架台、弁、配管支持部、圧力確認の結果を設備番号と一緒に残します。
口頭だけの引継ぎにせず図面と現場の表示を一致させます。

消防法第十七条の三の三に基づく点検結果と、地震後のBCP記録を関連付けます。
法定点検の履歴を漏水原因の切分けと再発防止へつなげます

訓練では、屋上へ安全に近づける条件、設備へ触れずに確認する範囲、連絡先、代替措置を確かめます。
担当者が不在でも同じ手順で使用保留を判断できる状態を目指します

平常時の水位と圧力を残します。

設備番号と系統図もそろえましょう

よくある質問

Q漏れているフランジを施設担当者が増し締めしてよいですか?
A地震で配管や架台まで動いている可能性があります。発見時の状態を記録し、専門業者が安全な処置範囲を決めるまで操作しません
Q水位が元に戻れば復旧と判断できますか?
A水位だけでは足りません。漏水停止、変形や損傷の有無、所定の圧力、配管系統の状態を確認します。
Q漏水を止めるため水槽の水を抜いてよいですか?
A排水や弁操作で防護範囲が変わります。設備構成を確認した専門業者の手順に従います
Q復旧まで施設は営業できますか?
A設備の防護範囲、停止時間、代替措置、施設用途で判断が変わります。消防計画に沿って所轄消防署へ相談してください。

まとめ

漏水した高架水槽の系統を使用保留にします
滑りや落下の危険がある範囲を立入制限します
水槽から消火栓箱まで一系統で確認します
施設担当者だけで増し締めや弁操作をしません
復旧まで代替措置を続けます
管理下試験で漏水停止と所定の圧力を確認します
平常時の水位と圧力を記録します

系統図と平常値をそろえます

漏水は圧力まで確認する合図です
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。屋内消火栓設備の高架水槽から漏水が見つかった場合は、施設担当者が自己判断で増し締め、補給、排水、試運転をせず、水槽と配管系統と所定の圧力を専門業者へ確認してください。水槽や架台の変形、床面の冠水、電気設備への影響などがある場合は安全な距離を取り、施設の緊急手順に従ってください。個別の点検、代替措置、試運転、復旧判断は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。

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