ホテルや病院に自動火災報知設備やスプリンクラーを新しく取り付けても、それだけで使い始めてよいわけではありません。
「工事が終わったのだから、もう大丈夫だろう」と考えてしまうかもしれません。
実は一定の防火対象物では、設置後に消防の検査を受けることが法律で義務づけられています。
この記事では、消防法第17条の3の2が定める設置後の届出・検査の仕組みと、検査を拒むと第44条でどう罰せられるかを、実際の条文にもとづいて解説します。
うちのホテルにスプリンクラーを新しく付けてもらいました。
これでもう工事は完了ですよね。
設置しただけでは終わりません。
対象の建物では消防の検査を受ける必要があります。
検査を受けないとどうなるんですか。
検査を拒んだり妨げたりすると、消防法第44条により罰せられることがあります。
- 特定の防火対象物で消防用設備等を設置したときは、消防長又は消防署長の検査を受けなければなりません(消防法第17条の3の2)
- 対象になるのは旅館・ホテル・入院施設のある病院や福祉施設・地下街など施行令第35条が定める防火対象物です
- 届出は工事完了の日から4日以内に行わなければなりません(消防法施行規則第31条の3)
- 基準に適合していれば、消防長等から検査済証が交付されます
- 検査を拒み、妨げ、又は忌避すると30万円以下の罰金又は拘留に処せられます(消防法第44条第4号)
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目次
消防用設備等を設置したらなぜ検査を受けなければならないのか

一定の防火対象物では、設置後に消防の検査を受けることが法律上の義務です。
第17条第1項の基準に従って設置した消防用設備等でも、対象になる防火対象物では消防長又は消防署長の検査を受けて初めて手続が終わります。
検査の対象になるのは、次の章で説明する特定防火対象物その他政令で定めるものに限られます。
簡易消火用具や非常警報器具だけを設置した場合は、この検査の対象から除かれています。
「工事業者に任せたから大丈夫」ではなく、届出の主体は防火対象物の関係者であることを押さえておきましょう。
設置さえすれば、あとは業者任せでいいと思っていました。
検査を受ける主体は防火対象物の関係者、つまりオーナー側になります。
どんな防火対象物が届出と検査の対象になるのか

規模の小さい建物や、簡易な設備しかない建物は対象から外れることもあります。
旅館・ホテル、入院・入所できる病院や福祉施設、地下街など施行令別表第一の一定の用途は、規模を問わず検査の対象です。
その他の多くの用途も、延べ面積が300平方メートル以上になれば対象に加わります。
一方で、簡易消火用具(消火器等)や非常警報器具だけしか設置していない場合は、検査そのものが不要です。
自分の建物がどの区分にあたるかは、所轄消防署に確認すると確実です。
うちは延べ面積200平方メートルくらいの小さな飲食店ですが、対象になりますか。
その規模ならば対象外のことが多いですが、用途と面積は必ず消防署で確認してください。
届出はいつまでに何を出せばよいのか

届出には期限と、添付する書類が決まっています。
届出書には平面図や配管・配線の系統図、消防用設備等試験結果報告書を添えて、消防長又は消防署長へ提出します。
届出を受けた消防長又は消防署長は、遅滞なく設備が技術上の基準に適合しているかどうかを検査します。
基準に適合していると認められれば、検査済証が交付されます。
工事のスケジュールを組む段階から、4日以内という期限を織り込んでおくと慌てずに済みます。
届出の書類は、着工前ではなく工事が終わってから出すんですね。
はい、工事完了後4日以内が期限です。
早めに書類を準備しておきましょう。
検査を拒んだり妨げたりするとどうなるのか

消防法は、この検査を拒否した場合の罰則も定めています。
第17条の3の2が定める検査を拒否した場合、消防法第44条第4号により30万円以下の罰金又は拘留に処せられます。
検査を受けさせないよう妨害する行為や、理由なく日程を先延ばしにし続けて事実上検査させない行為も、妨げ・忌避にあたり得ます。
届出さえ済ませれば検査そのものを断れる、というわけではありません。
検査を受け入れて基準を満たしていることを確認してもらうほうが、結果的に手間も少なく済みます。
検査の日程が忙しくて、何度も断ってしまっています。
理由なく検査を拒み続けると検査の忌避とみなされることがあります。
早めに日程を調整しましょう。
明日から設置後の届出でなにを確認すればよいのか

次の点を確認しておきましょう。 期限と書類は、工事が終わる前から準備できます。
以下のポイントを、工事の完了予定にあわせて確認しておきましょう。
- 消防用設備等の工事完了日をあらかじめ工事業者と共有しているか
- 届出書とあわせて提出する平面図・配管配線の系統図・試験結果報告書を準備しているか
- 工事完了日から4日以内に届出できる体制になっているか
- 検査の日程を消防署と調整し、担当者が立ち会えるようにしているか
- 交付された検査済証を、次の点検や増改築のときにすぐ確認できる場所に保管しているか
次の改修工事から、完了予定日を先に消防署へ伝えておきます。
それがいいですね。
早めの共有が、届出漏れを防ぐ一番の対策です。
よくある質問
まとめ
設置したら検査まで、という流れがようやく腑に落ちました。
届出書類の準備は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条の3の2(消防用設備等の設置後の届出・検査)
- 消防法第44条第4号(罰則)
- 消防法施行令第35条(検査を受けなければならない防火対象物等)
- 消防法施行規則第31条の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





