建物を建てるときは建築確認を受けますが、その手前で消防が関わる場面があります。
消防法は消防長又は消防署長の同意を得なければ確認をすることができないと定めています。
ただし住宅については、この同意がいらなくなるただし書が置かれています。
この記事では消防法第7条ただし書と消防法施行令第1条が定める例外の範囲を条文から読み解きます。
自宅の一階を店舗にして建て替えようと考えています。
消防の同意という話を聞いたのですが、住宅でも必要になるのでしょうか。
住宅なら同意がいらない場合がありますが、一戸建てでも外れることがあります。
消防法第7条のただし書と消防法施行令第1条が線を引いています。
外れる線があるのですね。
どこからが同意のいる建物になるのかを知りたいです。
順番に見ていきましょう。
まず同意がだれとだれの間の手続きなのかを確かめます。
- 消防法第7条第1項は消防長又は消防署長の同意を得なければ確認をすることができないと定めています
- 同意を求める側は建築主ではなく確認等をする行政庁や指定確認検査機関です
- 防火地域及び準防火地域以外の区域内における住宅はただし書で同意の対象から外れます
- 長屋と共同住宅はただし書の住宅から除かれているので同意が必要です
- 一戸建てでも住宅以外の部分が延べ面積の二分の一以上か50平方メートル超なら同意が必要です
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目次
消防長の同意とはだれとだれの間の手続きなのか

条文を読むと、その相手はまったく別のところに置かれています。
条文が同意を得る側としているのは、許可や認可や確認をする権限を有する行政庁と、建築基準法に基づく確認を行う指定確認検査機関です。
建築主が消防署へ同意の申請を出すという形にはなっていません。
そして同意を得なければ確認そのものをすることができないと書かれているので、同意は確認の前提という位置づけになります。
建てる側から見ると、確認申請を出したあとに消防が計画を見る工程が挟まる、という順番です。
自分の計画がこの工程に乗るのかどうかを、設計を頼む段階で建築士に確かめておいてください。
消防署へ自分で出しに行くものだと思い込んでいました。
窓口は確認をする側です。
同意がいる計画かどうかを建築士に先に確かめてもらってください。
住宅を建てるときはいつでも同意がいらないのか

ただし書には条件が二つ書き込まれています。
ただし書は、確認に係る建築物が防火地域及び準防火地域以外の区域内における住宅である場合としています。
裏返すと、防火地域や準防火地域の中に建てる住宅はこの例外に乗りません。
さらに住宅であっても長屋と共同住宅は括弧書きで除かれています。
アパートや寮のような建物は、区域がどこであってもただし書の住宅には当たらないという読み方になります。
自分の敷地が防火地域か準防火地域かは市町村の都市計画で決まっているので、計画の一番はじめに調べてください。
同じ住宅でも建てる場所で変わるのですね。
アパートは最初から別扱いということでしょうか。
括弧書きで除かれているとおりです。
まずは都市計画の図面で区域を押さえてください。
店舗が入った一戸建てはどこから同意が必要になるのか

その中身を書いているのが消防法施行令の第1条です。
令が挙げているのは、一戸建ての住宅のうち住宅の用途以外の用途に供する部分の床面積の合計が一定の大きさに達したものです。
線は延べ面積の二分の一以上であるものと、50平方メートルを超えるものの二本が引かれています。
二本は「又は」でつながれているので、どちらか一方に当たればただし書の住宅から外れます。
店舗や事務所や工房を併せ持つ住宅では、割合と面積の両方を計算しておかなければ判断できません。
図面ができた段階で住宅以外の部分の床面積を拾い出し、延べ面積と並べて確かめてください。
つまり店舗が小さくても面積の線を越えれば同意がいるのですね。
条文はそう書き分けています。
割合と面積のどちらも計算して残しておいてください。
同意の返事はいつまでに来るのか

消防法は期限を条文の中で二つに分けて書いています。
条文は建築基準法第6条第1項第三号に係る場合を三日以内、その他の場合を七日以内としています。
第三号は、同項第一号と第二号のいずれにも当たらない建築物で、都市計画区域などの区域内にあるものです。
同意することができない事由があると認めるときも、消防長又は消防署長は同じ期限内にその事由を通知しなければなりません。
判断の対象になるのは、法律や命令や条例の規定のうち建築物の防火に関するものです。
着工の日から逆算して工程を組むときは、この期間が確認の手続の中に入ることを見込んでおいてください。
返事が来ないまま止まることはないのですね。
だめなときも期限の中で理由が届くと読めます。
条文はそう定めています。
工程表を引くときに日数を見込んでおいてください。
建てる前になにを確かめておけばよいのか

出発点になるのは、ただし書が最初に持ち出している区域の話です。
防火地域と準防火地域は、都市計画に定めることができる地域地区のひとつとして掲げられています。
敷地がどちらかに入っているかどうかは、市町村が公開している都市計画の図面で調べられます。
区域の外だとわかったら、住宅以外の用途に供する部分の床面積の合計を出し、延べ面積の二分の一と50平方メートルという二本の線と見比べてください。
増築で住宅以外の部分が増えると、いままで外れていた建物が線に触れることがあります。
当てはまるかどうかの最終的な判断は、計画の段階で所轄消防署にご確認ください。
区域を見てから面積を数える、という順番が覚えやすいです。
その順番で足ります。
調べた結果を図面に書き添えて残しておいてください。
よくある質問
まとめ
まず敷地の区域を見て、そのあと店舗部分の床面積を数えてみます。
その二つがそろえば話が早く進みます。
建てたあとの防火管理まで含めて㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第7条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第1条
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第6条
- 都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





