スプリンクラー設備の流水検知装置には、湿式と乾式と予作動式の三つの方式があります
どれを選ぶかは、設備を組む側が自由に決められるように見えます
ところが消防法施行規則は、ヘッドの種別と建物の種類を手がかりに、使える方式のほうへ制限をかけています
しかもその制限は、片方は一つに絞り込み片方は一つを外すという逆向きの書き方になっています。
点検結果報告書に湿式と書いてありましたが、意味を考えたことがありません。
その一語が設備の方式そのものを表しています。
配管に水が入っているかどうかがそこで決まります。
方式は建物ごとに決まっているものなのでしょうか。
全部が決め打ちではなく、二つの場面にだけ制限が置かれています。
それが小区画型ヘッドとラック式倉庫です。
- 流水検知装置の方式の制限は消防法施行規則第14条第1項第四号の二と第四号の三にあります。
- 小区画型ヘッドを用いる設備の流水検知装置は湿式のものとされ、一つに絞り込む書き方です。
- ラック式倉庫に設ける流水検知装置は予作動式以外のものとされ一つを外す書き方です。
- だからラック式倉庫では湿式も乾式も条文の上では残ります。
- 第四号の四は一次側に圧力計を、第四号の五は二次側の圧力低下で自動的に警報を発する装置を求めています。
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目次
スプリンクラー設備の流水検知装置とはどんな装置なのか

名前のとおり水が流れたことを自分で見つけて、信号か警報を出す役目を持っています。
規格省令は弁体を境にして、流入側を一次側、流出側を二次側と呼び分けています。
湿式は二次側まで水が入っており、乾式は二次側が加圧空気、予作動式は二次側が空気です。
そして開くきっかけも違い、湿式と乾式はヘッドが開いて二次側の圧力が下がったときですが、予作動式は感知部が作動したときに弁体が開きます。
点検結果報告書や設置届にこの三語のどれが書かれているかを見れば、自分の建物の配管に水が入っているかどうかまで分かります。
予作動式だけ開くきっかけが違うのですね。
ヘッドが開いただけでは弁体が開かない仕組みです。
感知部の作動が条件として加わります。
小区画型ヘッドを用いる設備の流水検知装置はどの方式になるのか

そのヘッドを使う設備には、方式のほうに一つだけ答えが決められています。
この号は選択肢を並べず、湿式という一つの方式へ絞り込む書き方をしています。
つまり小区画型ヘッドを用いる設備では、乾式も予作動式も条文の上では残りません。
そのうえでただし書きが一つ置かれており、特定施設水道連結型スプリンクラー設備であれば流水検知装置そのものを設けないことができるとされています。
小規模な社会福祉施設でこの型を採用している建物なら、方式を探しても見つからないことがあるので、まず設置届で型を確かめてください。
うちの施設は小区画型だと言われた覚えがあります。
それなら流水検知装置は湿式になるはずです。
報告書の記載と食い違っていたら業者に確かめてください。
ラック式倉庫の流水検知装置にはどんな制限があるのか

ここでは方式を一つに決めるのではなく、一つを外す形の制限が置かれています。
第四号の二が湿式へ絞り込んだのに対して、この号は予作動式以外とだけ書いています。
だからラック式倉庫の流水検知装置は、湿式でも乾式でも条文の上では成り立ちます。
ここでいうラック式倉庫は、消防法施行令第12条第1項第五号が定める棚又はこれに類するものを設け昇降機により収納物の搬送を行う装置を備えた倉庫のことです。
自分の建物が倉庫だからといって当てはまるとは限らないので、天井の高さと延べ面積を含む令の要件から確かめてください。
倉庫と名の付く建物が全部あてはまるわけではないのですね。
昇降機による搬送装置まで備えているかが分かれ目です。
手で出し入れする棚だけの倉庫は当てはまりません。
流水検知装置の一次側と二次側にはなにを設けるのか

規則は一次側と二次側で別々の号を立てています。
第四号の四は一次側とだけ書いており、二次側の圧力計をここで求めてはいません。
一方の第四号の五は、二次側に圧力の設定を必要とする設備に限って、圧力設定値より二次側の圧力が下がったら自動的に警報を発する装置を求めています。
この圧力設定値という語は規格省令第2条第六号に定義があり、使用圧力範囲における一次側の圧力に対応する二次側の圧力の設定値とされています。
つまり四号の四は全部の設備に効き、四号の五は二次側に圧力の設定が要る設備だけに効くので、自分の設備がどちらに当たるかを点検業者に聞いておくと話が早くなります。
弁のそばに丸い計器が二つ付いているのを見た気がします。
条文が求めているのは一次側の一つです。
ほかに付いているものは別の号や製品の仕様によります。
明日からなにを確かめればよいのか

それでも書類と現物で確かめられることが三つあります。
一つ目は点検結果報告書と設置届に書かれた方式で、湿式か乾式か予作動式かの三語のどれかが必ずあります。
二つ目はヘッドの種別で、小区画型ヘッドと書かれていれば方式は湿式のはずなので、報告書の中で二つの記載が食い違っていないかを見てください。
三つ目は現物で、弁の一次側に圧力計が付いているか、計器の面が汚れや結露で読めなくなっていないかは防火管理者の立場でも見に行けます。
食い違いや読めない計器を見つけたら、写真に残して設備業者と所轄消防署に伝えるところまでが明日からできることです。
報告書の一語と現物の計器なら、次の巡回で見て回れそうです。
読めない計器はそれだけで是正の対象になります。
気づいた箇所は写真に残して業者へ伝えてください。
よくある質問
まとめ
まずは報告書で方式を確かめて、弁の計器を見に行きます。
その二つが分かれば流水検知装置の話は業者と対等に進められます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第14条第1項第四号の二から第四号の五まで
- 流水検知装置の技術上の規格を定める省令(昭和58年自治省令第2号)第2条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第12条第1項第五号
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





