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二酸化炭素の消火器はどこにでも置いてよいのか|消防法施行令が定める適応性と地階や無窓階での設置禁止を解説

電気室の配電盤の横に置かれた二酸化炭素の消火器

電気室や機械室に、肩の部分だけ緑色に塗られた消火器が置かれていることがあります。
中身は二酸化炭素で、電気設備の火災に適応するものとされている消火器です。
ところが消防法施行令は、この消火器について置いてはならない場所をわざわざ定めています。
この記事では適応性の決まり方から置けない場所の測り方までを整理します。

電気室に肩が緑色の消火器が置いてあります。

それは二酸化炭素を放射する消火器です。
電気設備の火災に適応するものとされています。

置いてはいけない部屋があると言われて驚きました。

禁止される場所は用途と部屋の条件で決まります。
どちらも図面と現場で確かめられるので順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消火器具は令別表第二で適応するものとされる種類を選んで設置します。(消防法施行令第10条第2項第1号)
  • 二酸化炭素とハロゲン化物を放射する消火器は地下街と準地下街に設置できません。(同号ただし書)
  • 換気について有効な開口部が床面積の30分の1以下で、かつ床面積が20平方メートル以下の地階と無窓階と居室にも設置できません。(消防法施行規則第11条第2項)
  • ハロゲン化物のうちブロモトリフルオロメタンはこの禁止から除かれます。(同条第1項)
  • 二酸化炭素を放射する消火器は建築物その他の工作物には適応するものとされていません。(令別表第二)

二酸化炭素の消火器を置けない場所を用途と階と開口部と広さで確かめる手順の図解

消火器の適応性とはなにを指すのか

建物と配電盤とドラム缶の前にそれぞれ消火器が置かれている図
消火器はどれも同じように見えますが、消せる火災の種類は中の薬剤によって違います。
消防法施行令はその違いを適応性と呼び、対象物の区分ごとにどの消火器具が使えるかを別表で示しています。
消防法施行令第10条第2項第1号 前項各号に掲げる防火対象物又はその部分には、防火対象物の用途、構造若しくは規模又は消火器具の種類若しくは性能に応じ、総務省令で定めるところにより、別表第二においてその消火に適応するものとされる消火器具を設置すること
選ぶ基準は表にあります。
令別表第二は対象物の区分を建築物その他の工作物と電気設備と危険物と指定可燃物に分け、消火器具の種類ごとに適応するものへ丸印を付けています。
二酸化炭素を放射する消火器とハロゲン化物を放射する消火器は、電気設備の欄には丸印が付いていますが、建築物その他の工作物の欄には付いていません。
りん酸塩類等を使用する消火粉末を放射する消火器は、その両方の欄に丸印が付いています。
自分の建物の消火器がどの欄を守るために置かれているのか、まずは薬剤の種類から確かめてください。

消火器はどれも同じものだと思っていました。

令別表第二が対象物の区分ごとに適応するものを決めています。
自分の建物にどの区分があるかを先に見てください。

二酸化炭素の消火器を置けない建物はどこか

地下街の通路に置かれた消火器に禁止のしるしが付いている図
適応性で選んだあとに、もう一段の縛りがかかります。
消防法施行令第10条第2項第1号のただし書は、二酸化炭素とハロゲン化物を放射する消火器について、置いてはならない場所を名指しで挙げています。
消防法施行令第10条第2項第1号ただし書 ただし、二酸化炭素又はハロゲン化物(総務省令で定めるものを除く。)を放射する消火器は、別表第一(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物並びに総務省令で定める地階、無窓階その他の場所に設置してはならない
用途だけで決まる場所があります。
令別表第一(16の2)項は地下街、(16の3)項は建築物の地階で連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたもの、いわゆる準地下街です。
このふたつは面積や開口部を測るまでもなく、その防火対象物であること自体で設置してはならないとされています。
残りの地階と無窓階その他の場所については、条文が総務省令に投げているので次の見出しで見ます。
自分の建物が地下道に面した地階を持っているなら、そこはこのただし書の前段に当たらないかをまず確かめてください。

うちのビルの地階は地下道に面しています。

その場合は準地下街に当たるかどうかの判定が先になります。
判定は所轄消防署に確かめておくと確実です。

地階や無窓階ではなにを測って判断するのか

同じ形の消火器が並び片方だけ置けることを示した図
ただし書が総務省令に委ねた部分は、消防法施行規則第11条に書かれています。
ここで初めて具体的な数字が出てきて、測って判断する場所が決まります。
消防法施行規則第11条第1項 令第10条第2項第1号ただし書の総務省令で定めるハロゲン化物は、ブロモトリフルオロメタンとする。
2 令第10条第2項第1号ただし書の総務省令で定める地階、無窓階その他の場所は、換気について有効な開口部の面積が床面積の30分の1以下で、かつ、当該床面積が20平方メートル以下の地階、無窓階又は居室(建築基準法第2条第4号に規定する居室をいう。以下同じ。)とする。
ふたつの条件がそろったときだけです。
換気について有効な開口部の面積が床面積の30分の1以下であることと、その床面積が20平方メートル以下であることの両方に当てはまる場所が対象になります。
片方だけしか当てはまらない部屋は、この項の場所には該当しません。
対象になるのは地階と無窓階に限らず、建築基準法第2条第4号の居室も含まれるので、地上階の小さな部屋でも当てはまることがあります。
図面から開口部の面積と床面積を拾い、その部屋が両方の条件を満たすかどうかを書き出しておいてください。

開口部と広さの両方を見るのですね。

そのとおりで片方だけでは対象になりません。
図面で開口部の面積と床面積を拾っておいてください。

実務で見落としやすいのはどこか

窓のない小さな部屋と窓のある部屋にそれぞれ消火器が置かれている図
置いてよいかどうかの判断は、消火器の性能ではなく置く場所の条件で決まります。
見落としが起きるのは、性能のよさだけを理由に置き場所を決めてしまったときです。
消防法施行規則第9条第1号 消火器具は、床面からの高さが1.5メートル以下の箇所に設けること
第3号 消火器には、地震による震動等による転倒を防止するための適当な措置を講じること。(略)
第4号 消火器具を設置した箇所には、消火器にあつては「消火器」と(略)表示した標識を見やすい位置に設けること
適応することと置けることは別です。
電気設備の火災に適応するからという理由だけで選ぶと、その部屋が規則第11条第2項の条件に当てはまっていたときに置けない消火器を置くことになります。
もうひとつの見落としは、二酸化炭素を放射する消火器が建築物その他の工作物には適応するものとされていない点です。
木や紙が燃える火災に備える消火器具は別に必要で、それだけを置いても令第10条第1項の設置義務を満たしたことにはなりません。
あわせて規則第9条の標識と高さと転倒防止の措置も、立入検査で外から見える部分なので同時に確かめてください。

電気室に置いてあるから安心だと思っていました。

電気設備に適応することと置いてよいことは別の話です。
部屋の条件を先に確かめてください。

明日からなにを確認すればよいのか

点検表を持つ人と標識の付いた消火器と壁の標識が並ぶ図
確かめる順番は、消火器の薬剤から入って部屋の条件へ進むのが早道です。
薬剤の種類は本体のラベルに書かれているので、現場に立ったその場で見分けられます。
消防法施行令第10条第2項第2号 消火器具は、通行又は避難に支障がなく、かつ、使用に際して容易に持ち出すことができる箇所に設置すること
ラベルから始めてください。
まず本体のラベルで薬剤の種類を読み、二酸化炭素かハロゲン化物が入っているものだけを拾い出します。
次にその消火器が置かれている場所が地下街か準地下街に当たらないかを用途で確かめます。
そのうえで、置かれている部屋の換気について有効な開口部の面積と床面積を図面で拾い、両方の条件に当てはまるかを判定します。
最後に規則第9条と令第10条第2項第2号にそって、標識と高さと持ち出しやすさまで見ておけば立入検査での指摘を先回りできます。

ラベルを見るところから始めればよいのですね。

ラベルなら足を運んだその場で確かめられます。
あわせて標識と設置の高さも見ておいてください。

よくある質問

Q電気室には二酸化炭素の消火器を置いてはいけないのですか?
A令別表第二では二酸化炭素を放射する消火器は電気設備に適応するものとされています。置けなくなるのは、その部屋が地下街や準地下街にあるとき、または換気について有効な開口部の面積が床面積の30分の1以下でかつ床面積が20平方メートル以下の地階や無窓階や居室であるときです。
Q二酸化炭素の消火器だけを置いておけば足りますか?
A令別表第二で二酸化炭素を放射する消火器は建築物その他の工作物の欄に適応するものとされていません。木や紙が燃える火災に備える消火器具は別に必要になります。
Qハロゲン化物の消火器はすべて置けないのですか?
A規則第11条第1項が、ただし書の総務省令で定めるハロゲン化物をブロモトリフルオロメタンとしています。ただし書はこれを除いたうえで設置してはならないと定めているので、ブロモトリフルオロメタンを放射する消火器はこの禁止の対象から外れます。
Q換気に有効な開口部が広ければ置いてよいのですか?
A規則第11条第2項は開口部の面積が床面積の30分の1以下であることと、床面積が20平方メートル以下であることをかつでつないでいます。開口部が床面積の30分の1を超えていれば、その場所は同項に該当しません。

まとめ

消火器具は令別表第二で適応するものとされる種類を選んで設置します。
二酸化炭素を放射する消火器は電気設備には適応しますが建築物その他の工作物には適応しません。
地下街と準地下街は用途そのもので設置が禁止されます。
地階と無窓階と居室は開口部と床面積の両方を測って判定します。
開口部が床面積の30分の1以下でかつ床面積が20平方メートル以下のときに該当します。
ハロゲン化物のうちブロモトリフルオロメタンはこの禁止から除かれます。
薬剤の種類と部屋の条件と標識を同じ日に確かめます。

明日さっそく電気室からラベルを見て回ります。

置けない場所に置いていないかを先に確かめてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第17条第1項
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第10条第1項・第2項・別表第一・別表第二
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第9条・第11条
  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第4号

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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