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消火設備の配管はなぜ合成樹脂製でも使えるのか|対象設備と告示が定める試験基準を解説

消火設備の配管は合成樹脂製でも使えるのかを示すアイキャッチ画像

屋内消火栓設備やスプリンクラー設備の配管というと、金属管を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし消防法施行規則の改正によって、条件を満たせば合成樹脂製の管も使えるようになっています。
どの設備のどの部分になら使えるのか、どんな試験に合格した製品なのかを知らないまま現場に立つと、思わぬ見落としにつながります。
この記事では、消防法施行規則と消防庁告示が定める合成樹脂製の管及び管継手の基準を、対象設備と試験項目に分けて解説します。

うちのビルの消火設備の配管は、全部金属でやり直さないといけないと思っていました。

条件を満たせば合成樹脂製の管も使えます。
まずは対象になる設備から確認しましょう。

どの設備の配管になら合成樹脂を使ってもいいんですか。

屋内消火栓設備やスプリンクラー設備など、水系の設備に限られています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 気密性・強度・耐食性・耐候性・耐熱性の基準に適合した合成樹脂製の管なら、消防用設備等の配管に使えます
  • 対象は屋内消火栓設備・屋外消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備の水系5設備に限られます
  • 屋外に露出する部分は耐候性試験、熱を受けるおそれがある部分は標準耐熱性試験に合格したものを使います
  • 消火剤に浸潤剤や不凍液を加える設備は、耐薬品性試験への適合も必要です
  • 連結送水管・連結散水設備など消火活動上必要な施設の配管は対象外なので、設備ごとに確認します

消火設備の配管は告示に適合した合成樹脂製でも使えることを示した図解

屋内消火栓設備の配管はなぜ合成樹脂製でもよいことになったのか

金属管と合成樹脂管が並んで置かれているイメージ
以前は消防用設備等の配管というと金属管が基準でした。
規則の改正によって、一定の性能を満たす合成樹脂製の管も認められるようになっています。
消防法施行規則第十二条第一項第六号ニ 配管には、次の(イ)又は(ロ)に掲げるものを使用すること。(ロ)気密性、強度、耐食性、耐候性及び耐熱性を有するものとして消防庁長官が定める基準に適合する合成樹脂製の管
金属管と同等以上の性能が確認された合成樹脂製の管だけが認められます。
条文が求めているのは素材そのものの指定ではなく、気密性・強度・耐食性・耐候性・耐熱性という5つの性能です。
これらの性能を個別に証明するのではなく、消防庁長官が定める基準=告示に適合していることで確認します。
具体的な基準は平成十三年の消防庁告示第十九号「合成樹脂製の管及び管継手の基準」に定められています。
まずはどの設備の配管に使えるのかを見ていきます。

金属じゃなくてもいいなら、軽くて施工しやすそうですね。

そのとおりです。ただし告示の基準に適合した製品に限られます。
次は対象になる設備を確認しましょう。

どの消火設備の配管に合成樹脂製の管を使えるのか

配管が屋内消火栓やスプリンクラーなど複数の設備につながっているイメージ
合成樹脂製の管が使えるのは、水を使う消火設備の配管に限られています。
告示は対象になる設備を、施行規則の条項を挙げて具体的に定めています。
合成樹脂製の管及び管継手の基準(平成十三年三月三十日消防庁告示第十九号) 消防法施行規則第十二条第一項第六号ニ(ロ)及びホ(ロ)、第十四条第一項第十号、第十六条第三項第二号の二、第十八条第四項第八号並びに第二十二条第八号の規定に基づき、合成樹脂製の管及び管継手の基準を次のとおり定める
対象は屋内消火栓設備・屋外消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備の5つです。
条文の号数でいうと、第十二条第六号(屋内消火栓設備)、第十四条第十号(スプリンクラー設備)、第十六条第三項第二号の二(水噴霧消火設備)、第十八条第四項第八号(泡消火設備)、第二十二条第八号(屋外消火栓設備)にそれぞれ規定されています。
どれも初期消火や本格消火のために、配管の中に常に水や消火剤が満たされている点が共通しています。
この5設備以外の配管には、この告示の基準はそのまま当てはまりません。
次は、実際にどんな試験に合格した管なのかを見ていきます。

うちはスプリンクラーと屋内消火栓の両方があります。どちらも対象になるんですね。

はい、どちらも対象です。
ただし配管の場所によって求められる試験の種類が変わります。

合成樹脂製の管はどんな試験に合格しなければならないのか

配管に圧力計を取り付けて試験している様子
どの対象設備の配管にも、共通して求められる基本の試験があります。
そのうえで、配管が置かれる場所や条件によって追加の試験が求められます。
合成樹脂製の管及び管継手の基準 第三 管等の性能 二 消火剤(水に浸潤剤、不凍液等を添加したものを含む。)を用いる消火設備の配管に係るものにあっては、耐薬品性試験に合格するものであること。三 屋外に露出して設けられるもの(紫外線に暴露された場合の防護措置を講じているものを除く。)にあっては、耐候性試験に合格するものであること。四 火災時に熱を受けるおそれがある部分に設けられるものにあっては、標準耐熱性試験に合格するものであること。
基本の試験だけで10種類、条件が重なるとさらに増えます。
共通して求められるのは、漏れ試験・耐圧試験・破壊試験・水撃圧試験・曲げ試験・引張強度試験・押しつぶし試験・衝撃試験・長期静水圧試験・繰り返し温度試験の10種類です。
これに加えて、消火剤に浸潤剤や不凍液を加える設備なら耐薬品性試験、屋外に露出する部分なら耐候性試験が必要になります。
熱を受けるおそれがある部分は標準耐熱性試験が原則ですが、条件によっては軽い試験で足りる例外もあります。
どんな組み合わせの試験に合格した製品かは、次で見る落とし穴と合わせて確認するとわかりやすくなります。

試験の種類が多くて驚きました。全部自分で確認しないといけないんですか。

個別の証明は要りません。告示の基準に適合した製品として作られています。
現場では管等に付いている表示を確認すれば足ります。

実務で見落としやすいのはどこか

連結送水管の送水口に対象外を示すマークが付いているイメージ
対象になる5設備の一覧に入っていない配管には、この告示の特例は及びません。
熱を受ける部分の試験にも、見落としやすい例外があります。
合成樹脂製の管及び管継手の基準 第三 管等の性能 四 (略)ただし、スプリンクラー設備であって湿式の流水検知装置が設けられているものの管等が天井部分に設置される場合において、火災時に熱を受けるおそれがある部分が自動式の消火設備の有効範囲内にあるときは、当該管等が軽易耐熱性試験に合格することをもって足りるものであること。
連結送水管や連結散水設備の配管は、この告示の対象に入っていません。
告示が挙げているのは施行規則第十二条・第十四条・第十六条・第十八条・第二十二条の5か条だけで、連結送水管・連結散水設備を定める条項は含まれていません。
これらは消火活動上必要な施設に区分され、対象の5設備とは扱いが異なります。
また熱を受ける部分でも、湿式スプリンクラーの天井部分で自動消火設備の有効範囲内なら、標準耐熱性試験より軽い軽易耐熱性試験で足りる例外があります。
どちらも対象かどうか・どの試験かを条文の号数まで戻って確認しないと見誤りやすいところです。

うちには連結送水管もあります。あれも合成樹脂製にできると思っていました。

連結送水管はこの告示の対象外です。
設備ごとに条文を確認する必要があります。

明日からなにを確認すればよいのか

配管に付いた表示ラベルをチェックリストと照らし合わせている様子
合成樹脂製の管かどうかは、配管そのものに付いている表示で確認できます。
表示すべき事項は告示で具体的に定められています。
合成樹脂製の管及び管継手の基準 第二十二 表示 管等には、次の各号に掲げる事項を見やすい箇所に容易に消えないように表示するものとする。一 製造者名又は商標 二 製造年 三 最高使用圧力 四 等価管長 五 最大支持間隔 六 気密試験、長期静水圧試験、標準耐熱性試験又は軽易耐熱性試験に合格しているものにあっては、その旨 七 消火剤を用いることができるものにあっては、用いることができる消火剤の種類 八 高難燃ノンハロゲン性を有する管等にあっては、その旨
まずは配管に付いている表示を確認することから始めます。
製造者名・製造年・最高使用圧力・最大支持間隔のほか、どの試験に合格した製品かも表示事項に含まれています。
改修や増設で配管をつなぎ直す業者に依頼するときは、使用する管等が対象設備設置場所の条件に合った試験区分のものかを確認します。
既存の配管が合成樹脂製かどうかわからないときは、表示を目視するか、施工時の図書・検査記録を確認します。
迷ったときは所轄消防署か施工業者に確認するのが確実です。

次の点検のときに、配管の表示を見てみます。

それが確実です。
わからないことがあれば、いつでもご相談ください。

よくある質問

Q既存の建物の配管が合成樹脂製かどうかはどこで確認できますか?
A管等には製造者名や最高使用圧力などの表示事項を見やすい箇所に消えないように表示することが告示で定められています。まずはこの表示を確認します。
Q連結送水管の配管も合成樹脂製にできますか?
Aできません。合成樹脂製の管の基準が適用されるのは屋内消火栓設備・屋外消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備の配管に限られ、連結送水管や連結散水設備は対象に含まれていません。
Q屋外に露出する部分と屋内の部分で、要求される試験は同じですか?
A同じではありません。屋外に露出する部分には耐候性試験への適合が追加で必要です。紫外線に暴露された場合の防護措置が講じられているものは除かれます。
Q高難燃ノンハロゲン性をうたう製品には何が求められますか?
A高難燃性試験・発煙濃度試験・燃焼時発生ガス試験の3つすべてに合格したものだけが、高難燃ノンハロゲン性を有する管等として表示できます。

まとめ

平成十三年の規則改正で、合成樹脂製の管も消防用設備等の配管に使えるようになりました
対象は屋内消火栓設備・屋外消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備の水系5設備に限られます
配管には漏れ試験・耐圧試験・破壊試験など共通の性能試験への適合が求められます
屋外に露出する部分は耐候性試験への適合が必要です
熱を受けるおそれがある部分は標準耐熱性試験(条件により軽易耐熱性試験)への適合が必要です
連結送水管や連結散水設備の配管はこの告示の対象外なので、既存設備ごとに確認します
管等には製造者名・最高使用圧力などの表示事項があるので、現地で確認できます

配管の材料にも、ちゃんと基準があるんですね!
今度の点検のときに表示を確認してみます!

気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第十二条、第十四条、第十六条、第十八条、第二十二条
  • 合成樹脂製の管及び管継手の基準(平成十三年三月三十日消防庁告示第十九号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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