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水道につないだスプリンクラー設備にもポンプは要るのか|特定施設水道連結型で読み替わる2メートルと20リットル毎分の基準を解説

水道につないだスプリンクラー設備にポンプは要るのかを解説する記事のアイキャッチ

小規模な福祉施設や病院に入るスプリンクラー設備には、水道の水管をそのままつないだ型があります。
屋上の貯水槽もポンプ室も見当たらないので、書類を見ても本当にこれで足りているのか判断しにくい設備です。
消防法施行令と消防法施行規則は、この型のために加圧送水装置の数値を別に定め直しています。
読み替えの中身を知っておくと自分の建物の設備がどの基準で組まれているかを追えるようになります

うちの施設のスプリンクラーには貯水槽もポンプ室もありません。
これで本当に消防法の設備になっているのでしょうか。

水道の水管をそのまま水源につなぐ型があります。
令はこれを特定施設水道連結型スプリンクラー設備と呼んでいます。

水道をつないだだけで消火に足りる水圧が出るのでしょうか。
ポンプが無いぶん心配になります。

ポンプが要る場合と要らない場合の両方が規則に書かれています。
読み替えられた数値まで順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 特定施設水道連結型スプリンクラー設備は水道の水管を水源につなぎ水量を貯留するための施設を持たない設備です。定義は消防法施行令第12条第2項第三号の二にあります。
  • 設置できるのは令第12条第1項第一号と第九号の防火対象物で、基準面積が1,000平方メートル未満のものに限られます。
  • 加圧送水装置を設けるときは、消防法施行規則第14条第1項第十一号の二が同項第十一号を準用したうえで読み替えます。
  • 読み替わる数値は落差と圧力と吐出量と全揚程の四か所です。10mが2メートルに、0.1MPaが0.02MPaに、六十リットル毎分が二十リットル毎分になります。
  • 壁と天井の室内に面する部分の仕上げが準不燃材料以外だと、その値はさらに5メートル・0.05MPa・三十五リットル毎分になります。

水道につないだスプリンクラー設備で加圧送水装置の基準が読み替わることを示した図解

水道につないだスプリンクラー設備とはどんな設備なのか

屋上に貯水槽を載せた建物と水道の水管を直接引き込む建物を並べたイラスト
スプリンクラー設備といえば、屋上の水槽や地下のポンプ室が思い浮かびます。
ところが小規模な福祉施設では、その二つがどこにも見当たらないことがあります。
消防法施行令第12条第2項第三号の二 特定施設水道連結型スプリンクラー設備(スプリンクラー設備のうち、その水源として、水道の用に供する水管を当該スプリンクラー設備に連結したものであつて、次号に規定する水量を貯留するための施設を有しないものをいう。以下この項において同じ。)は、(略)
水源が水道そのものです
令が定義に置いている要素は二つあります。
一つは水源として水道の用に供する水管を設備に連結していること、もう一つは水量を貯留するための施設を有しないことです。
つまり貯水槽が無いこと自体が定義の一部になっていて、後付けで省略しているわけではありません。
令第12条第2項第四号も、水源の貯留施設を設ける義務の対象からこの型を明文で外しています。
自分の建物の設備がこの型かどうかは、点検結果報告書の設備の種別と、水源が貯水槽なのか水道なのかで見分けられます。

貯水槽が無いのは工事の手抜きだと思っていました。

令の定義のほうが貯留施設を持たないものと書いています。
まずは点検結果報告書で設備の種別をご覧ください。

どの建物のどの部分に設けることができるのか

低い小規模な施設と高層の建物を並べ高層側に禁止の印を付けたイラスト
水道につなぐ型は、どのスプリンクラー設備の代わりにも使えるわけではありません。
令が建物の種類と広さの両方で対象を絞っています。
消防法施行令第12条第2項第三号の二 特定施設水道連結型スプリンクラー設備(略)は、前項第一号及び第九号に掲げる防火対象物又はその部分のうち、防火上有効な措置が講じられた構造を有するものとして総務省令で定める部分以外の部分の床面積の合計が千平方メートル未満のものに限り、設置することができること。
用途と広さの二段で絞られています
用途のほうは令第12条第1項第一号と第九号です。
第一号は令別表第一(6)項イ(1)及び(2)、同表(6)項ロ(1)及び(3)、同表(6)項ロ(2)(4)及び(5)(介助がなければ避難できない者を主として入所させるもの以外は延べ面積が275平方メートル以上のものに限る)で、病院と社会福祉施設の系統です。
第九号は同表(16の2)項の部分のうち、同表(6)項イ(1)若しくは(2)又はロの用途に供されるものです。
広さのほうは、防火上有効な措置が講じられた構造を有する部分を除いた床面積の合計が1,000平方メートル未満であることです。
除かれる部分は消防法施行規則第13条の5の二が定めており、この合計面積は規則第12条の二が基準面積と呼んでいる面積と同じものです。

延べ面積ではなく基準面積で見るのですね。

令の書き方は総務省令で定める部分以外の部分の床面積の合計です。
増築や用途変更で境目を越えていないか図面でご確認ください。

加圧送水装置に求められる数値はどこが読み替わるのか

低い位置の水槽と立ち上がりの配管と天井のスプリンクラーヘッドを並べたイラスト
加圧送水装置を設ける場合の基準は、一般のスプリンクラー設備と同じ条文を借りています。
借りたうえで、四つの数値だけを別の値に置き換えるという書き方です。
消防法施行規則第14条第1項第十一号の二 特定施設水道連結型スプリンクラー設備に設ける加圧送水装置は、第十二条第一項第七号イ(ロ)、ロ(ロ)及び(ハ)、ハ(ニ)から(ヘ)まで、ニ並びにトの規定の例によるほか、前号イからホまでの規定を準用する。この場合において、同号イ中「10m」とあるのは「2m(略)」と、同号ロ中「0.1MPa」とあるのは「0.02MPa(略)」と、(略)「六十リットル毎分」とあるのは「二十リットル毎分(略)」と、同ハ(ロ)中「10m」とあるのは「2m(略)」と読み替えるものとする。
置き換わる数値は落差と圧力と吐出量と全揚程の四か所です
前号すなわち規則第14条第1項第十一号のイは高架水槽の落差をH=h1+10m、ロは圧力水槽の圧力をP=p1+p2+0.1MPa、ハ(ロ)はポンプの全揚程をH=h1+h2+10mと定めています。
この式の末尾に足す10mが2メートルに、0.1MPaが0.02MPaに置き換わります。
ハ(イ)のポンプの吐出量はヘッドの個数に一定の量を掛けて求めますが、閉鎖型のうち小区画型ヘッドを用いる場合の六十リットル毎分が二十リットル毎分に置き換わります。
ただしどの読み替えにも括弧書きが付いていて、壁及び天井(天井のない場合は屋根)の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料以外の材料でした場合は、5メートル・0.05MPa・三十五リットル毎分という第二の値になります。
自分の建物がどちらの値で計算されているかは、内装の仕上げ材の仕様書と設備の設計書を並べれば追えます。

内装の材料でポンプの大きさまで変わるのですか。

読み替えの括弧書きが仕上げの材料で二段構えになっています。
内装を張り替えるときは設備の側にも影響が出ないか先にご相談ください。

加圧送水装置そのものを設けなくてよいことはあるのか

水道メーターとポンプの無い架台と天井のスプリンクラーヘッドを並べたイラスト
読み替えの話は、ポンプや水槽を設けることが前提になっています。
ところが令には、その加圧送水装置を置かない道も書かれています。
消防法施行令第12条第2項第六号 スプリンクラー設備(総務省令で定める特定施設水道連結型スプリンクラー設備を除く。)には、点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に、水源に連結する加圧送水装置を設けること。 消防法施行規則第13条の6第3項 令第12条第2項第六号の総務省令で定める特定施設水道連結型スプリンクラー設備は、加圧送水装置を設けなくても前項第二号又は第四号に規定する性能を有する特定施設水道連結型スプリンクラー設備とする。
水道の圧力だけで性能が出るならポンプは要りません
令第12条第2項第六号は加圧送水装置を設けよと命じたうえで、括弧書きで総務省令が定める特定施設水道連結型スプリンクラー設備を除いています。
その総務省令が規則第13条の6第3項で、加圧送水装置を設けなくても性能が出るものと定義しています。
ここでいう性能は同条第2項第二号と第四号のことで、小区画型ヘッドなら放水圧力が0.02MPa以上かつ放水量が15リットル毎分以上、仕上げが準不燃材料以外なら0.05MPa以上かつ30リットル毎分以上とされています。
省けるものは加圧送水装置だけではなく、送水口と非常電源は令第12条第2項第七号ただし書で、流水検知装置は規則第14条第1項第四号の二ただし書で、呼水装置は同項第五号ただし書で、それぞれ設けないことができるとされています。
一般のスプリンクラー設備の点検の感覚のまま図面を見ると、無いはずのものを探してしまうので気をつけてください。

建物の外に送水口が見当たらないのを不備だと思っていました。

令のただし書がこの型を送水口の対象から外しています。
点検の記録に無い設備が出てきたら型式から確かめましょう。

明日からなにを確かめればよいのか

点検の記録を持つ人と水道メーターと制御盤を並べたイラスト
読み替えの計算そのものは設備業者の仕事です。
建物側が持つのは、どの型の設備が入っているのかを把握して維持する役目です。
消防法第17条第1項 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの関係者は、政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「消防用設備等」という。)について消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従つて、設置し、及び維持しなければならない
設置だけでなく維持まで関係者の義務です
まず点検結果報告書を開いて、スプリンクラー設備の種別が特定施設水道連結型になっているかを見てください。
次に加圧送水装置の欄を見て、ポンプや水槽が記載されているか、それとも記載自体が無いかを確かめます。
記載が無ければ水道の圧力だけで性能を満たす前提で組まれているので、水道の元栓や量水器まわりを閉めたままにしないことが維持の中身になります。
そして内装の仕上げを準不燃材料以外に張り替える計画があるときは、設計時の値が変わる可能性があるので、工事の前に所轄消防署と設備業者へ相談してください。

つまり水道の弁を触らせないことが日常の管理ですね。

水源が水道なので断水や弁の閉止がそのまま設備の停止になります。
まずは点検結果報告書の設備の種別からご確認ください。

よくある質問

Q水道につないだスプリンクラー設備には貯水槽が要らないのですか?
A令第12条第2項第四号は水源の貯留施設を設ける対象から特定施設水道連結型スプリンクラー設備を除いています。同項第三号の二の定義そのものが水量を貯留するための施設を有しないものとされています。
Q送水口も設けなくてよいのですか?
A令第12条第2項第七号はスプリンクラー設備に非常電源と送水口を附置することとしていますが、ただし書で特定施設水道連結型スプリンクラー設備についてはこの限りでないとしています。
Q内装の仕上げはどこの部分を見るのですか?
A規則の読み替えは壁及び天井(天井のない場合は屋根)の室内に面する部分の仕上げと書いています。回り縁や窓台その他これらに類する部分は除かれます。
Q呼水装置や流水検知装置も省けますか?
A規則第14条第1項第四号の二ただし書は流水検知装置を、同項第五号ただし書は呼水装置を、特定施設水道連結型スプリンクラー設備では設けないことができるとしています。

まとめ

特定施設水道連結型スプリンクラー設備は水道の水管を水源にし貯留施設を持たない設備です
定義は消防法施行令第12条第2項第三号の二にあります。
設置できるのは令第12条第1項第一号と第九号の防火対象物のうち基準面積が1,000平方メートル未満のものです。
加圧送水装置の基準は消防法施行規則第14条第1項第十一号の二が同項第十一号を準用して読み替えます。
読み替わる数値は落差と圧力と吐出量と全揚程の四か所です
壁と天井の室内に面する部分の仕上げが準不燃材料以外だと読み替え後の値がさらに変わります。
水道の圧力だけで性能が出る設備は加圧送水装置を設けないことができます

まずは点検結果報告書で設備の種別を確かめます。

種別が分かれば読むべき条文も決まります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第17条第1項
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第12条第1項第一号・第九号
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第12条第2項第三号の二・第四号・第六号・第七号
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第14条第1項第四号の二・第五号・第十一号・第十一号の二
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第13条の5の二・第13条の6第2項・第3項
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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