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危険物を注入し詰め替える一般取扱所はなぜ空地を2つに分けて確保するのか|開放型建築物の条件もあわせて解説

タンクローリーが建物脇の固定された注入設備にホースをつないで危険物を注入している写真

危険物を専ら車両に固定されたタンクへ注入する一般取扱所にも、専用の特例基準が定められています。
対象になるのは、車両タンクへの注入と容器への詰め替えを併せて行う施設もふくまれます。
建物は開放型にできますが、その代わりに空地の確保のしかたに独特のルールがあります。
この記事では、危険物の規制に関する規則が定めるタンク車注入・容器詰替専用の一般取扱所の基準を条文にそって整理します。

うちはタンクローリーへの注入だけなんですが、この基準も関係あるんですか。

はい、容器への詰め替えを併せて行う場合も対象になります。
まずは施設の区分から確認しましょう。

建物を開放型にできると聞いたんですが、本当ですか。

はい、条文上は壁を2方省ける造りが認められています。
条文にそって順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 危険物を専ら車両に固定されたタンクへ注入する一般取扱所には、専用の位置・構造・設備の基準が定められています
  • 対象は車両タンクへの注入を専らとする施設で、容器への詰め替えを併せて行う施設も含まれます
  • 建物は壁を2方省いた開放型にできます(ガラスは網入ガラスに限ります)
  • タンク車用の空地と容器詰め替え用の空地は、別々の場所に確保する必要があります
  • いずれの空地にも漏れた危険物が浸透しない舗装と蒸気の滞留防止措置が必要です

タンク車への注入だけを行う一般取扱所の基準を示す四段のインフォグラフィック、対象施設の確認・開放型の建築物を造る・注入用の空地を確保・詰替用の空地は別にという手順を示す

タンク車への注入だけを行う一般取扱所とは何を指すのか

建物の出入口の脇でタンクローリーが固定された注入用の配管にホースをつないでいるイメージ
一般取扱所にはさまざまな区分があり、車両タンクへの注入もそのひとつです。
まずは対象になる施設の条件を条文で確認します。
危険物の規制に関する規則第二十八条の五十四第四号 令第十九条第二項第四号に掲げる一般取扱所 専ら車両に固定されたタンクに液体の危険物(アルキルアルミニウム等、アセトアルデヒド等及びヒドロキシルアミン等を除く。この号において同じ。)を注入する一般取扱所(当該取扱所において併せて液体の危険物を容器に詰め替える取扱所を含む。
車両に固定されたタンクへ液体の危険物を注入する施設が対象です。
同じ施設で容器への詰め替えを併せて行う場合も、この特例に含まれます。
対象外になる危険物は、アルキルアルミニウム等・アセトアルデヒド等・ヒドロキシルアミン等の3種類です。
他の一般取扱所の特例にある「指定数量の倍数が三十未満」のような絞り込みが、この号の要件には書かれていません。
まずは自社の施設がタンク車への注入を専らとする施設かどうかを確認します。

液体の危険物ならなんでも対象になるんですか。

いいえ、アルキルアルミニウム等など3種類は対象外です。
個別に確認してください。

壁を2方省いても認められる開放型の建築物の条件は何か

壁を二方省いた開放型の建物に防火戸と網入りガラスの窓があるイメージ
対象になる施設だと分かったら、次は建物側の基準を確認します。
ここは開放型の建物を選べる基準です。
危険物の規制に関する規則第二十八条の五十八第二項第一号 建築物を設ける場合にあつては、当該建築物は、壁、柱、床、はり及び屋根を耐火構造とし、又は不燃材料で造るとともに、窓及び出入口に防火設備を設けること。
同項第二号 前号の建築物の窓又は出入口にガラスを設ける場合は、網入ガラスとすること。
同項第三号 第一号の建築物の二方以上は、通風のため壁を設けないこと。
壁・柱・床・はり・屋根を耐火構造にするか、不燃材料で造ることが基本の要件です。
窓や出入口には防火設備を設け、ガラスを使う場合は網入ガラスにします。
そのうえで、建物の二方以上は通風のため壁を設けない開放型にすることが認められています。
壁を省いた分、危険物の蒸気がこもりにくい構造になる点がこの基準のねらいです。
図面上でまず「壁を省いている方向」と「窓・出入口の防火設備」を確認します。

壁を2方も省いて、火災のときに大丈夫なんですか。

あくまで通風のためという条件付きです。
残りの壁と屋根は耐火構造か不燃材料にする必要があります。

タンク車のための空地はどれだけの広さが必要か

区画線で示された空地の中に固定された注入設備とタンクローリーが収まっているイメージ
建物の基準を確認したら、次はタンク車のための空地を確認します。
ここは注入設備の周囲に関する基準です。
危険物の規制に関する規則第二十八条の五十八第二項第四号 一般取扱所には、危険物を車両に固定されたタンクに注入するための設備(危険物を移送する配管を除く。)の周囲に、タンクを固定した車両が当該空地からはみ出さず、かつ、当該タンクに危険物を安全かつ円滑に注入することができる広さを有する空地を保有すること。
注入設備の周囲には、タンク車が空地からはみ出さない広さの空地を保有します。
広さの基準は具体的な数値ではなく、車両がはみ出さず安全に注入できる広さという形で定められています。
実際に使う車両のサイズに合わせて、はみ出しが無いかを図面と現地の両方で確認します。
この空地は、危険物を移送する配管の部分には適用されません。
次の見出しで確認する容器詰め替え用の空地とは、別の場所に確保する点に注意します。

空地の広さは何メートルと決まっていないんですか。

はい、車両がはみ出さず安全に注入できる広さという基準です。
実際の車両で確認してください。

容器の詰め替え用の空地はタンク車用と分けて用意しないといけないのはなぜか

排水溝を備えた別の空地にドラム缶と詰め替え用の設備が並んでいるイメージ
容器へ危険物を詰め替える設備を置く場合は、もう一つ別の空地が必要になります。
ここが見落としやすいポイントです。
危険物の規制に関する規則第二十八条の五十八第二項第五号 一般取扱所に危険物を容器に詰め替えるための設備を設ける場合は、当該設備(危険物を移送する配管を除く。)の周囲に、容器を安全に置くことができ、かつ、当該容器に危険物を安全かつ円滑に詰め替えることができる広さを有する空地を前号の空地以外の場所に保有すること。
同項第六号 前二号の空地は、漏れた危険物が浸透しないための舗装をすること。
同項第七号 第四号及び第五号の空地には、漏れた危険物及び可燃性の蒸気が滞留せず、かつ、当該危険物その他の液体が当該空地以外の部分に流出しないように措置を講ずること。
容器詰め替え用の空地は、タンク車用の空地とは別の場所に確保しなければなりません。
条文には「前号の空地以外の場所に」と明記されており、一つの空地を兼用することはできません。
両方の空地とも、漏れた危険物が浸透しない舗装と、蒸気が滞留しないための措置が求められます。
「空地さえあればよい」と考えて一箇所にまとめてしまうと、この基準を満たせなくなります。
設計の段階から、注入用と詰め替え用の空地を別々に確保する前提で図面を引きます。

一つの広い空地にまとめてしまえば効率的だと思うんですが。

条文上は認められません
注入用と詰め替え用は、必ず別の場所に確保してください。

許可を取るまでに何を確認しておけばよいか

チェックリストのボードの右に小さな建物の模型と虫眼鏡が置かれているイメージ
最後に、実務で確認する順番を整理します。
一つずつ条文と図面を突き合わせながら進めます。
  • 設備が車両タンクへの注入を専らとしているかを確認する
  • 容器への詰め替えを併せて行うかどうかを整理する
  • 建物の壁・柱・床・はり・屋根を耐火構造か不燃材料にし、窓や出入口には防火設備を設ける
  • タンク車用の空地と容器詰め替え用の空地を、別の場所にそれぞれ確保する
  • 両方の空地に舗装蒸気の滞留防止措置を講じる
順番を守ると、建物の設計段階で空地を2か所に分ける必要があることを早めに把握できます。
迷ったときは、まず注入用と詰め替え用の設備を紙面上で分けて描くことが近道です。

図面を引く前に確認しておいたほうがいいことが多いですね。

はい、空地を2か所に分ける前提で早めに図面を引くのが近道です。
そこから設計が固まります。

よくある質問

Q車両タンクへの注入だけを行う一般取扱所とはどんな施設ですか?
A車両に固定されたタンクに液体の危険物を注入する一般取扱所で、同じ施設で容器への詰め替えを併せて行う場合も対象に含まれます。対象外になるのはアルキルアルミニウム等など3種類の危険物です。
Q建物は必ず耐火構造にしなければなりませんか?
A耐火構造にするか、不燃材料で造るかのどちらかを選べます。窓や出入口には防火設備を設け、ガラスは網入ガラスにします。
Q壁を省いた開放型の建物にできますか?
Aはい、建物の二方以上は通風のため壁を設けないことが認められています。残りの壁と屋根は耐火構造か不燃材料にする必要があります。
Qタンク車用と容器詰め替え用の空地は同じ場所でよいですか?
Aいいえ、別の場所に確保しなければなりません。条文に「前号の空地以外の場所に」と明記されています。

まとめ

危険物を専ら車両に固定されたタンクへ注入する一般取扱所には、専用の位置・構造・設備の基準が定められています
容器への詰め替えを併せて行う施設も、この特例の対象に含まれます
対象外になる危険物はアルキルアルミニウム等など3種類です
建物は耐火構造か不燃材料で造り、窓・出入口には防火設備を設けます
建物の二方以上は通風のため壁を設けない開放型にできます
タンク車用の空地と容器詰め替え用の空地は別の場所に確保します
両方の空地に舗装蒸気の滞留防止措置を講じます

タンク車と容器の両方を扱う施設でも、空地を分ければ対応できるんですね。
よく分かりました

まずは空地の配置から確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第十一条第一項・第五項
  • 危険物の規制に関する政令第十九条第一項・第二項第四号
  • 危険物の規制に関する規則第二十八条の五十四第四号・第二十八条の五十八

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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