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特殊消防用設備等の認定はどんなときに取り消されるのか|設備等設置維持計画に従わない場合の実務対応を解説

特殊消防用設備等の制御盤がある防災センターの室内

「うちのビルには特殊消防用設備等が入っているから、消防用設備の基準はもう満たしている」と考えている管理権原者の方は少なくありません。
しかしこの扱いは、総務大臣の認定を受けている間に限って認められるものです。
消防法第17条の2の3は、一定の場合に総務大臣がその認定の効力を失わせることができると定めています。
認定が取り消されると、通常の消防用設備等の設置基準があらためて適用されることになります。

うちのビルには特殊消防用設備等が入っているので、消防用設備の基準はもう満たしていますよね。

実はその扱いは、総務大臣の認定を受けている間だけ認められるものなんです。

認定が取り消されることもあるんですか。

はい、消防法第17条の2の3が定める場合には認定の効力が失われることがあります。

この記事の結論
  • 特殊消防用設備等の認定は総務大臣が一定の場合に効力を失わせることができる
  • 不正な手段で認定や承認を受けたことが判明した場合は取り消される
  • 設備等設置維持計画のとおりに設置・維持されていない場合も取り消される
  • 設備や計画を変更するときは総務大臣の承認を受けなければならない
  • 認定が取り消されると、通常の消防用設備等の設置基準があらためて適用される

特殊消防用設備等の認定から設備等設置維持計画の維持変更の承認そして取消しまでの流れを示す図解

特殊消防用設備等の認定はどんなときに取り消されるのか

認定証書と特殊消防用設備等の制御盤
特殊消防用設備等は、通常の消防用設備等に代えて使うことを総務大臣に認定してもらった設備です。
その認定は永久に有効なわけではなく、一定の場合に効力を失うことがあります。
(消防法 第17条の2の3第1項) 総務大臣は、第十七条第三項の規定による認定を受けた特殊消防用設備等について、次の各号のいずれかに該当するときは、当該認定の効力を失わせることができる。
一 偽りその他不正な手段により当該認定又は次項の承認を受けたことが判明したとき。
二 設備等設置維持計画に従つて設置され、又は維持されていないと認めるとき。
認定の取消しには2つの事由が定められています。
1つは、偽りその他不正な手段で認定や承認を受けたことが判明した場合です。
もう1つは、設備等設置維持計画のとおりに設置・維持されていないと認められる場合です。
つまり、いったん認定を受けたあとも、計画どおりの維持管理を続けなければならないということです。
次の章で、それぞれの事由がどんな行為を指すのかを詳しく見ていきましょう。

認定が取り消されるなんて、正直考えたことがありませんでした。

多くの方がそうです。
事由は2つだけなので、まず内容を押さえましょう。

どんな行為が認定取消しの原因になるのか

不備のある書類と一部が開いた設備
先ほどの2つの事由を、もう少し具体的に見てみましょう。
どちらも認定を受けた後の行動が問われる点は共通しています。
(消防法 第17条の2の3第1項) 一 偽りその他不正な手段により当該認定又は次項の承認を受けたことが判明したとき。
二 設備等設置維持計画に従つて設置され、又は維持されていないと認めるとき。
(同法 第17条第3項) (略)当該関係者が総務省令で定めるところにより作成する特殊消防用設備等の設置及び維持に関する計画(以下「設備等設置維持計画」という。)に従つて設置し、及び維持するものとして、総務大臣の認定を受けたものを用いる場合には、(略)前二項の規定は、適用しない。
2号の事由は、日々の維持管理のあり方がそのまま問われます。
偽りによる取得は書類の段階の問題ですが、維持計画違反は設置後の運用の問題です。
設備の一部が故障したまま放置されていたり、計画に書かれていない改造が行われていたりすると、この事由に当たる可能性があります。
特殊消防用設備等は総務大臣の認定という前提があるからこそ、通常の基準の適用が除外されているのです。
その前提が崩れれば、認定も維持できなくなります。

うちは計画どおりに直してもらっているので、少し安心しました。

その調子です。
計画との食い違いを放置しないことが一番の予防策ですね。

設備を変更するときはどんな手続きが必要か

申請書と承認印そして届出用紙
設備等設置維持計画は、一度作ったら終わりというものではありません。
設備や計画を変更したくなったときの手続きも定められています。
(消防法 第17条の2の3第2項) 第十七条第三項の規定による認定を受けた者は、当該認定に係る特殊消防用設備等又は設備等設置維持計画を変更しようとするときは、総務大臣の承認を受けなければならない。ただし、総務省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
(同条第4項) 第十七条第三項の規定による認定を受けた者は、第二項ただし書の総務省令で定める軽微な変更をしたときは、総務省令で定めるところにより、その旨を消防長又は消防署長に届け出なければならない。
変更は原則として総務大臣の承認が必要です。
これは新規の認定と同じくらい重い手続きで、勝手に設備や計画を変えることはできません。
ただし総務省令で定める軽微な変更にあたる場合は、承認までは不要です。
その代わり、軽微な変更をしたときは消防長または消防署長への届出が必要になります。
どちらに当たるか迷ったときは、変更の前に確認しておくと安心です。

設備を少し直すだけでも、いちいち承認が必要なんですか。

軽微な変更なら届出で足りますが、線引きは事前に確認しましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

色あせた特殊設備と通常の消火器やスプリンクラーヘッド
ここまでの内容を踏まえて、実務で見落とされやすい点を確認しましょう。
特に見落とされがちなのが、認定が取り消された後に何が起こるかという点です。
(消防法 第17条第3項) (略)当該関係者が総務省令で定めるところにより作成する特殊消防用設備等の設置及び維持に関する計画(以下「設備等設置維持計画」という。)に従つて設置し、及び維持するものとして、総務大臣の認定を受けたものを用いる場合には、当該消防用設備等(それに代えて当該認定を受けた特殊消防用設備等が用いられるものに限る。)については、前二項の規定は、適用しない。
認定が効力を失うと、この適用除外そのものがなくなります。
つまり、特殊消防用設備等に代えていたはずの通常の消防用設備等の設置基準が、あらためて適用されることになります。
特殊消防用設備等はそのまま使えなくなるわけではありませんが、法律上は基準を満たしていない状態に戻ってしまいます。
気づかないまま放置すると、消防用設備等の設置義務違反として指摘を受けることにもなりかねません。
認定の維持は、設備そのものの維持と同じくらい重要だと考えておきましょう。

取り消された後まで考えたことはありませんでした。

通常の基準に戻ることまで含めて理解しておくと安心です。

明日からなにを確認すればよいか

チェックリストと維持管理の記録
ここまでの基準を、実際の確認作業に落とし込んでみましょう。
チェックすべき点は次の4つです。
  • 自分の建物に入っている特殊消防用設備等が設備等設置維持計画のとおりに維持されているかを確認する
  • 故障や不具合を放置していないかを点検記録で見返す
  • 設備や計画を変更する予定があるなら、承認が必要か軽微な変更かを事前に確認する
  • 軽微な変更をした場合は、消防長または消防署長への届出を済ませているかを確認する
今日からできることは意外と少なくありません。
まずは設備等設置維持計画の写しを取り出し、実際の設備の状態と照らし合わせてみましょう。
食い違いが見つかったら、放置せずに設備業者や所轄消防署へ相談することが大切です。
変更を予定しているなら、承認と届出のどちらが必要かを先に確認しておくと手戻りがありません。
認定はいつまでも安心して使える保証ではなく、維持し続けることで初めて効力を持ち続けるものです。

今日にでも計画の写しと設備の状態を照らし合わせてみます。

それが一番確実です。
早めの確認で認定の失効を防ぎましょう。

よくある質問

Q認定が取り消されたら、特殊消防用設備等はすぐに使えなくなりますか?
Aいいえ、設備自体が撤去されるわけではありません。ただし通常の消防用設備等の設置基準があらためて適用されるため、基準を満たすための対応が必要になります。
Q設備等設置維持計画からの軽微なずれでも取り消されますか?
A条文は「設備等設置維持計画に従つて設置され、又は維持されていないと認めるとき」としており、程度の判断は総務大臣に委ねられています。小さな食い違いでも早めに是正しておくことが望まれます。
Q設備を変更するたびに総務大臣の承認が必要ですか?
A原則として必要ですが、総務省令で定める軽微な変更にあたる場合は承認までは不要です。その代わり消防長または消防署長への届出が求められます。
Q認定の取消しは誰が判断しますか?
A総務大臣が消防法第17条の2の3に基づいて判断します。所轄消防署や都道府県知事が単独で取り消すことはできません。

まとめ

特殊消防用設備等の認定は総務大臣が一定の場合に効力を失わせることができる
取消事由は不正な手段による取得と設備等設置維持計画違反の2つである
設備等設置維持計画のとおりに維持されていないと取消しの対象になりうる
設備や計画を変更するときは総務大臣の承認が原則必要である
総務省令で定める軽微な変更は消防長または消防署長への届出で足りる
認定が取り消されると通常の消防用設備等の設置基準があらためて適用される
認定は一度受けて終わりではなく、維持し続けることで効力を保てるものである

今週中に設備等設置維持計画の写しを取り出して実際の設備と照らし合わせてみます!

それが一番確実です。
設置や点検でお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第17条・第17条の2の3

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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