油槽所を設置したのは甲だが、保管も受払も施設管理も防災も乙に委託している。
甲の従業員は現場に1人もおらず、緊急停止権も乙に帰属している。
それでも石油コンビナート等災害防止法上の特定事業者は甲です。
一方で防災管理者や防災要員には乙の従業員を充てられます。
実際に現場を回しているのは委託先です。
それでも当社が特定事業者になるのでしょうか。
回答は甲であるとしています。
ただし防災管理者の選任や防災要員への充当については、乙の従業員をもって充てることができるとされました。
事業所を他社に譲渡した場合、指定や届出はやり直しになるのでしょうか。
前段後段いずれも必要があるとされています。
指定も届出も改めて行う必要があります。
- 一切の業務を委託していても、特定事業者は油槽所を設置する甲です
- 防災管理者の選任も自衛防災組織の防災要員への充当も、受託側である乙の従業員をもって行えます
- 設置している者とは、当該事業所を所有し、又は借り受けて当該特定事業所に係る事業を経営する者です
- 第1種事業所となる日は、要件に該当することとなる貯蔵量等に対応する施設の設置に関し完成検査の手続きが終了した日です
- 事業所を譲渡した場合は、指定も届出も改めて行う必要があります
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目次
業務を丸ごと委託しても特定事業者は誰か

問われたのは、業務を全面的に委託している場合の特定事業者です。
A油槽所を設置する甲が、保管業務も受払業務も施設管理業務も防災業務も乙に委託し、甲の従業員はA油槽所に勤務していない。設備の緊急停止権その他の緊急措置権も一切乙に帰属することが契約上明らかになっている。
……特定事業者は、甲又は乙のいずれであるか。
これだけ委託していても、答えは甲です。
基準は、誰が現場を動かしているかではありません。誰がその事業所を設置しているかです。契約で緊急措置権が移っていても、法律上の名宛人は動きません。
石油コンビナート等災害防止法は、事業所という単位に義務をかけます。その事業所を設置した者が義務を負い、届出も指定も罰則もそこに向かいます。
運営を外に出すのは自由ですが、義務まで外に出すことはできません。委託契約を結ぶときに押さえておくべき出発点です。
委託していても、義務は委託した側に残るのですね。
設置している者で決まります。
契約の内容を、義務の所在と照らしてください。
防災管理者や防災要員に委託先の従業員を充てられるか

現場にいるのは乙の従業員だけです。その中から防災管理者を選任し、防災要員に充てられるのか。
問3 上記の場合、A油槽所に係る自衛防災組織の防災要員は、乙の従業員をもつて充てることができるか。
前の項目と読み合わせると、線の引き方が見えます。
義務を負う主体は動かせない。しかし義務を果たす担い手は選べる。この2つは別の話です。
防災管理者について条件が書かれています。その事業所においてその事業の実施を統括管理する者であること。乙の従業員であっても、現に統括管理しているならこの要件を満たします。
防災要員も同じです。乙の従業員をもって充てられます。
実務での意味は明快です。委託していても、防災管理者の氏名も防災要員の名簿も、届け出るのは甲です。人を出すのは乙で書類を出すのは甲になります。
担い手は外部でも構わないのですね。
主体と担い手は別です。
選任の名簿を、所属も含めて整理してください。
設置している者とはどういう者か

この設置しているという言葉が、具体的に何を意味するのか。
2つの要素が組み合わされています。
1つは物との関係です。所有しているか、借り受けているか。どちらでも構いません。
もう1つが事業との関係です。その特定事業所に係る事業を経営していること。
だから、土地建物を持っているだけで事業をしていない者は当たりません。逆に、借りていても事業を経営していれば当たります。
前の項目の甲は、この定義にきれいに当てはまります。油槽所を設置し、事業として油の受払を行っている。作業を委託しても、経営しているのは甲のままです。
所有か賃借に、経営が乗るという考え方なのですね。
2つの要素の組み合わせです。
自社の立場を、この観点で確かめてください。
第1種事業所になるのはいつからか

新設の場合、いつからその日が始まるのか。着工日か、完成日か、操業開始日か。
あわせて、法第20条の経過措置が適用されない場合はどうかが問われました。
2つの問いに同じ日が示されました。完成検査の手続きが終了した日です。
どの施設の完成検査かも限定されています。第1種事業所の要件に該当することとなる貯蔵量等に対応する施設。つまり、その施設ができたことで要件を超える、という当のものです。
着工でも操業開始でもありません。危険物を貯蔵できる状態が法的に整った日が基準になります。
実務では、この日から特定防災施設等の設置義務が動き出します。完成検査の予定が決まった時点で、防災設備側の準備を逆算しておく必要があります。
いつからかも、明確に示されているのですね。
完成検査の終了日です。
手続きの日程を、逆算して組んでください。
譲渡した場合と合同事業所の扱い

第2種事業所をA社からB社に譲渡した場合の手続。そして、複数の工場等が集まった合同事業所の扱いです。
問(合同事業所) 運用通達第1、2に基づき一の特定事業所は、法第3章各条の規定に基づく届出等に関し、一の特定事業所とみなしてよいか。また、法第16条に基づく自衛防災組織の設置基準はどうなるか。
答(合同事業所) 前段 お見込みのとおり。
後段 当該複数の工場等を合せて一の特定事業所とみなし自衛防災組織を設置することとなる。
譲渡の答えは短く、指定も届出もいずれも改めて必要です。
理由は前の項目までの流れから読めます。義務は事業所を設置している者に付きます。設置している者が変われば、その者について改めて指定し、その者から改めて届け出てもらう必要があります。設備は同じでも名宛人が変わるからです。
合同事業所は逆の方向です。複数の工場等が集まっている場合、届出等に関して一の特定事業所とみなします。そして自衛防災組織も、合せて一つとして設置します。
分けるところと合わせるところが、それぞれ示されています。判断の単位は物ではなく、義務を負う主体と事業所の輪郭で決まります。
譲渡すると、やり直しになるのですね。
設置している者が変わるためです。
譲渡の計画は、手続きの期間を見込んでください。
よくある質問
まとめ
- 一切の業務を委託していても特定事業者は設置する側です
- 防災管理者も防災要員も受託側の従業員をもって充てられます
- 設置している者とは所有し又は借り受けて事業を経営する者です
- 第1種事業所となる日は完成検査の手続きが終了した日です
- 特定防災施設等の設置義務が生じる日も同じ日です
- 譲渡した場合は指定も届出も改めて必要です
- 合同事業所は複数の工場等を合せて一の特定事業所とみなし自衛防災組織を設置します
運営は外に出せても、義務は外に出せないのですね。
すっきりしました。
委託契約を結ぶときは、届出の名義がどちらに残るかを先に確かめてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 石油コンビナート等災害防止法の運用に係る資料の送付について(昭和59年12月21日 消防地第288号 消防庁地域防災課長から関係都道府県消防防災主管部長あて回答)
- 石油コンビナート等災害防止法第2条第5号・第3章・第16条・第17条・第18条・第20条
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答には昭和50年代のものが含まれ、条番号や機関の名称等は当時のものです。個別の事案についての適用は、所轄消防署または自治体にご確認ください。




