石油コンビナート等の構内では、消防法と高圧ガス保安法と石油コンビナート等災害防止法が同時にかかります。
それぞれが消火用の設備を求めるので、加圧ポンプを共用したくなります。
共用は認められますが、能力の決め方は決まっています。
求められるのはそれぞれの最大放水量を合算した給水能力です。
単一の火災を想定して、最大となる施設に合わせる方式ではだめでしょうか。
回答は(1)の方法により算定すべきであるとしています。
それぞれの法令が必要とする最大放水量を合算した給水能力が必要です。
凍結防止に循環ポンプを付けた場合も、検査手数料の対象になるのでしょうか。
法第15条第2項の設置には該当せず、よって検査及び手数料の対象とならないとされました。
- 加圧ポンプを他の法令の消火用設備と共用する場合、それぞれの法令が必要とする最大放水量を合算した給水能力が必要です
- 寒冷の度の著しい地域に該当しない地域での循環ポンプによる凍結防止対策は、流速が確保でき消火ポンプ駆動時にも支障がなければ認められます
- その循環ポンプには予備動力設備を付置するよう指導されたいとされました
- 循環ポンプは法第15条第2項の設置に該当せず、検査及び手数料の対象となりません
- 消火用屋外給水施設の共同設置は、能力と起動操作部と維持管理の責任の所在について要件に適合すれば差し支えありません
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目次
共用する加圧ポンプの能力はどう決めるか

問いは2つの算定方式を並べて、どちらによるべきかを尋ねています。
1つは3つの法令の最大放水量を合算する方式。もう1つは単一火災を想定して、最大となる施設に対する放水能力に石油コンビナート等災害防止法ぶんを足す方式です。
(1) 消防法、高圧ガス取締法及び石油コンビナート等災害防止法の規定により、それぞれ必要とする最大放水量を合算した給水能力を有することが必要である。
(2) 最大タンク又は最大プラントにおける単一火災を想定し、……放水量が最大となる施設に対する放水能力に、石油コンビナート等災害防止法の規定により必要とされる放水能力を合算した放水能力による放水に必要な水を供給できるものであればよい。
厳しいほうが選ばれました。単一火災を想定する方式は認められません。
理由は書かれていませんが、考え方は読み取れます。単一火災を前提にすると、同時に別の場所で災害が起きたときに水が足りなくなります。共用は容量を減らす手段ではありません。
前の記事で見た予備動力設備の兼用も同じでした。他の施設に必要な容量と屋外給水施設の容量を同時に満足する場合に限って認められています。
共用の判断はいつも同じ形をしています。設備を1つにまとめてよいが、能力は足し算のままにする。
設計の段階では、3つの法令それぞれの必要量を並べて書き出し、合計してからポンプを選ぶことになります。
合算する方式によるのですね。
法令ごとの最大量を足します。
必要な能力を、計算して確かめてください。
循環ポンプで凍結防止をしてよいか

その地域に該当しないところでも、既設の消火用屋外給水施設に凍結防止対策をしたい事業所があります。
方法として循環ポンプを設置したい、という照会です。
また、認められる場合には、検査手数料の対象となるか。
認められましたが、条件が具体的です。
1つ目は、凍結を防止できる流速が確保できること。ただ回っていればよいのではなく、凍らない速さが要ります。
2つ目は、消火ポンプ駆動時にも当該施設の機能に支障をきたさないこと。いざ消火に使うとき、循環ポンプが邪魔をしてはいけません。
そしてなお書きで、予備動力設備を付置するよう指導されたいとされています。停電で止まれば凍ってしまうからです。
前の記事で見た凍結防止の4つの方法のうち、管内水を常時循環させておくものがこれに当たります。動かし続ける方法を選ぶ以上、動き続けられる裏づけが要るということです。
条件つきで認められるのですね。
2つの条件があります。
採用する方式を、事前に相談してください。
循環ポンプは検査手数料の対象になるか

理由は条文の当てはめです。法第15条第2項の設置に該当しない。だから検査もなく、手数料も発生しません。
なぜ該当しないのか。循環ポンプは水を消火のために送る設備ではなく、配管を凍らせないための付帯設備だからです。特定防災施設等そのものを新しく設けたわけではありません。
前の記事で見た自然水利の話と比べると、扱いの分かれ目がはっきりします。自然水利は消火栓等の代替なので手数料がかかります。防災施設の役目を担うものは数えられ、支える設備は数えられません。
ただし前段の条件は残ります。手数料はかからなくても、流速と機能への支障は自分で確かめる必要があります。
付帯の設備は、対象にならないのですね。
条文の当てはめです。
設備の性格を、区分して整理してください。
複数の事業所で共同設置できるか

昭和59年12月21日付けの回答は、要件を4つ挙げて認めました。
1 消火用屋外給水施設の加圧ポンプの能力は、震災時等における同時発災を想定しても対処できる量の水を供給できるものであること。
2 加圧ポンプの起動操作部を各事業所内に設けること。
3 共同部分の維持管理について、責任の所在が明確にされていること。
4 その他の事項については、「消火用屋外給水施設の設置に関する運用指針について」(昭和52年10月6日付け 消防地第204号 地域防災課長通知)によること。
3つの実質的な要件が並んでいます。
1つ目は能力です。震災時等における同時発災を想定しても対処できる量。共同にすると1か所で済むように見えますが、地震では両方が同時に燃えます。前の項目の合算の考え方と同じです。
2つ目が運用の要です。加圧ポンプの起動操作部を各事業所内に設ける。相手の敷地まで行かないと起動できない状態では、共同の意味がありません。前の記事で見た起動装置を最低2か所に、という要件とも重なります。
3つ目は共同部分の維持管理について責任の所在が明確にされていること。誰が点検し、誰が直すのかを決めておきます。
共同設置は費用を分け合う話ですが、責任は分け合えません。決めておかないと、どちらも手を出さない部分ができます。
共同で設ける場合も、要件が並んでいるのですね。
同時の発災を想定します。
共同化の検討は、能力の計算から始めてください。
非常通報設備に一般加入電話を使えるか

ここに一般の加入電話や専用電話は含まれるのか。含まれる場合、届出に添える設置許可状の写や検査済証はどう扱うのか。
問2 ……「設置許可状の写」については、電電公社では特に交付していないとしているが、これについていかに取り扱うべきか。
問3 上記に関し検査済証はいかに取り扱うべきか。
答2 一般加入電話及び電電公社の回線を使用した専用電話については、非常通報設備設置届出書に当該設置許可状の写の添付を要しない。
答3 非常通報設備として一般加入電話の設置届出がなされた場合にあつても、検査をし、規定どおり検査済証は当然交付することとする。
3つの答えがそれぞれ違う方向を向いていて、読みごたえがあります。
答1は、要件を満たすなら該当すると認めたうえで、可能な限り専用電話または無線設備によるものを指導されたいと付け加えています。制度上は通るが、実務としてはもっと確実な手段を、という姿勢です。
答2は現実的な処理です。電電公社が設置許可状を交付していないのだから、添付を要しない。書類がない書類は求めません。
答3が興味深いところです。一般加入電話であっても、検査はするし検査済証も当然交付します。
簡易な手段を認めることと、手続を省くことは別だという整理です。前の項目の循環ポンプが検査の対象外だったのとは逆で、こちらは非常通報設備そのものなので検査の対象になります。
認めたうえで、より良い方法が勧められているのですね。
答えの方向が分かれます。
設備の選定は、将来の運用も考えて決めてください。
よくある質問
まとめ
- 共用する加圧ポンプの能力は3つの法令の最大放水量を合算して算定します
- 単一火災を想定する方式は認められませんでした
- 循環ポンプによる凍結防止は流速と消火ポンプ駆動時の支障がなければ認められます
- その循環ポンプには予備動力設備を付置するよう指導されました
- 循環ポンプは法第15条第2項の設置に該当せず検査及び手数料の対象になりません
- 共同設置は同時発災を想定した能力と各事業所内の起動操作部が要件です
- 一般加入電話も要件を満たせば非常通報設備に該当しますが検査済証は当然交付されます
設備は1つにまとめても、能力は足し算のままなのですね。
すっきりしました。
共同設置を検討するときは、維持管理の責任分担を先に文書にしてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 石油コンビナート等災害防止法の運用に係る資料の送付について(昭和59年12月21日 消防地第288号 消防庁地域防災課長から関係都道府県消防防災主管部長あて回答)
- 消火用屋外給水施設の設置に関する運用指針について(昭和52年10月6日付け 消防地第204号 消防庁地域防災課長通知)
- 石油コンビナート等災害防止法第15条第2項
- 石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令第10条第1項第2号ロ・第13条
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答には昭和50年代のものが含まれ、法令名や機関の名称等は当時のものです。個別の事案についての適用は、所轄消防署または自治体にご確認ください。




