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特定建築物定期調査の管理用シャッターはどこを見るのか|スイッチから障害物感知装置まで5つの視点で解説

管理用シャッターの点検を行う調査員

特定建築物定期調査の任意調査項目には、管理用シャッターの維持保全状況に関する確認事項が含まれています。
防火シャッターは防火設備として防火設備検査員による定期検査の対象になりますが、日常的に開閉する管理用シャッターは特定建築物定期調査の中で調査員が状況を確認します。
消費者庁の公表によれば、電動シャッターの動作時に発生した死亡・重傷事故は平成13年から平成29年までの間に28件報告されており、その多くが挟まれや落下によるものでした。
本記事では、なぜこの項目を見るのか、どう判定するのか、実務で見落としやすい点を5つの視点で解説します

うちの倉庫の管理用シャッターは、防火シャッターと同じように点検すればいいのでしょうか。

実は防火シャッターとは別の視点で見ます。
駆動機構や障害物感知装置まで確認しましょう。

そういえば、シャッターに挟まれる事故があるとニュースで見たことがあります。

電池切れで感知装置が動かないこともあります。
5つの視点で順番に見ていきます。

この記事の結論
  • 管理用シャッターは防火シャッターとは別に、定期調査で本体・枠の劣化を確認する対象です。
  • 点検口の下部に物品や棚が置かれていないかも調査対象です。
  • 操作スイッチは児童等が容易に触れない位置にあるか、施錠等がされているかを確認します。
  • 駆動機構は日常点検の記録やメーカーの点検報告書の有無で判断します。
  • 障害物感知装置は実際の作動状況とあわせて電池切れの有無も確認します。

特定建築物定期調査で確認する管理用シャッターの5つの視点を示すインフォグラフィック

管理用シャッターの本体と枠はどこを見るのか

管理用シャッターの本体やガイドレールの劣化を確認する調査員
管理用シャッターは日常的に開閉されるため、部品の摩耗や変形が進みやすい設備です。
外観の劣化を見逃すと、いずれ動作不良や落下事故につながるおそれがあります。
管理用シャッターの本体や枠等について、どのような視点で劣化や損傷の有無を確認するか。
本体、枠、ガイドレールやローラーチェーン等に変形や錆等がないかを確認する。調査は目視等のほか、日常的な開閉・点検の記録やメーカー等による定期点検報告書等によって行う。
管理用シャッターの劣化は、開閉を繰り返すほど進みます
本体やガイドレールに変形があると、シャッターカーテンが正しく収まらず横ずれの原因になります。
ローラーチェーンや軸受け部分のは、駆動時の異常な負荷や部品の脱落につながるおそれがあります。
目視だけでなく、日常点検の記録やメーカーによる定期点検報告書が残っているかもあわせて確認します。
過去には横ずれをきっかけに巻取りシャフトが落下する事故も報告されており、丁寧な確認が欠かせません。

うちのシャッターもガイドレールが少し錆びている気がします。

点検口も含めて、錆や変形がないか確認しましょう。

点検口はなぜ点検しやすい状態が必要なのか

管理用シャッターの点検口の周囲に物品が置かれていないか確認する調査員
点検口はシャッターの内部機構を点検するための入口です。
まわりに物が置かれていると、いざ点検が必要になったときに支障が出ます。
点検口の維持保全状況は、どのような視点で確認するか。
点検口の下部に棚等が設けられていないかなど、点検口から点検が容易にできる状態になっているかを確認する
点検口は「あるだけ」では意味がありません
点検口の手前や下部に棚や物品が置かれていると、点検のたびに移動させる手間が生じます。
管理用シャッターの安全装置は駆動部の内部に組み込まれていることが多く、点検口からのアクセスが遅れると異常の発見も遅れます。
テナントの入れ替わりや倉庫内のレイアウト変更で、いつの間にか塞がれてしまうケースもあります。
調査では寸法を測るよりも、点検口を実際に開けられる状態かどうかを確認するほうが実務的です。

点検口の前に、台車を置きっぱなしにしていました。

点検口の前は常に空けておきましょう。
異常があってもすぐ気づけます。

操作スイッチの位置はなぜ重要なのか

管理用シャッターの操作スイッチが児童の手の届かない位置にあるか確認する調査員
操作スイッチは、押した瞬間にシャッターを動かせる装置です。
誰でも簡単に押せる位置にあることが、そのまま事故の入口になります。
スイッチ等の維持保全状況は、どのような視点で確認するか。
スイッチが児童等には容易に届かない位置に設置されているか、又はスイッチボックスに施錠等がされているかを確認する
操作スイッチは「押せる人」を限定できているかが判定基準です
過去には、養護施設で児童が手の届く位置にあったスイッチを押してシャッターが降下し、挟まれて死亡した事例も報告されています。
スイッチボックスに施錠されているか、児童の目線や手の届く高さに露出していないかを確認します。
不特定多数が出入りする施設ほど、意図しない操作のリスクは高くなります。
調査では設置高さの数値だけでなく、実際に子供の手が届くかどうかまで想像して確認することが重要です。

スイッチの高さなんて、今まで気にしたことがありませんでした。

児童等の手が届く高さかどうか、一度確認してみてください。
施錠されているかもあわせて見ましょう。

駆動機構はどう維持されているか確認するのか

管理用シャッターの駆動機構の点検記録を管理者と確認する調査員
駆動機構は、シャッターを上げ下げする心臓部です。
外観からは異常が見えにくいため、記録による確認が中心になります。
駆動機構の状況は、どのような方法で確認するか。
日常的な開閉・点検の記録やメーカー等による定期点検報告等により確認する
駆動機構は分解せずに、記録で状態を推測します
モーターやスプロケット、駆動チェーンの異常は、動作音の変化や急速な降下として現れることがあります。
横ずれ防止部品のネジの緩みが駆動チェーンの脱落を招いた事故例も報告されています。
管理者に日頃の開閉状況を聞き取り、異音や引っかかりの有無を確認することも調査の一部です。
点検報告書が見当たらない場合は、直近の点検実施の有無を管理者に確認し、必要な対応を促します。

駆動機構の点検記録、どこにあるか分かりません。

まずは管理会社や設置業者に確認してみましょう。
異音があれば早めの連絡が安心です。

障害物感知装置はなぜ電池切れも見るのか

管理用シャッターの障害物感知装置の作動を確認する調査員
障害物感知装置は、挟まれ事故を防ぐための最後の安全装置です。
製品に組み込まれていても、電池が切れていれば機能しません。
障害物感知装置の作動の状況は、どのような視点で確認するか。
日常的な開閉・点検の記録、メーカー等による定期点検報告書等により確認する。なお、電池切れのおそれもあるため、管理者等にその状況も確認する
障害物感知装置は「付いている」だけでは安心できません
障害物感知装置は平成7年のPL法(製造物責任法)施行以降、製品への搭載が進んだ装置で、シャッターに接触した物や人を検知して停止させます。
電池切れのまま放置されていると、装置が付いていても実際には作動しません。
消費者庁の公表によれば、電動シャッターの動作時事故は平成13年から平成29年までに28件報告され、その多くが挟まれや落下によるものでした。
調査では作動記録の有無に加えて、管理者への聞き取りで電池の交換状況まで確認します。

感知装置の電池が切れているかどうかって、見た目で分かるものですか。

見た目では分かりません。
実際の作動確認と電池残量の確認が必要です。

よくある質問

Q管理用シャッターと防火シャッターは、点検の内容が違うのでしょうか?
Aはい。防火シャッターは防火設備検査員による定期検査の対象ですが、管理用シャッターは特定建築物定期調査の中で調査員が本体・スイッチ・駆動機構・障害物感知装置等の維持保全状況を確認します。
Q操作スイッチは、どのくらいの高さなら問題ないのでしょうか?
A明確な数値基準はありませんが、児童等が容易に手の届かない位置にあるか、またはスイッチボックスに施錠等がされているかを確認します。
Q障害物感知装置が付いていれば、それだけで安心できますか?
Aいいえ。装置が付いていても電池切れで作動しないおそれがあるため、日常点検の記録や管理者への聞き取りであわせて確認する必要があります。
Q点検口の手前に荷物を置いていた場合、どうすればよいのでしょうか?
A点検口から点検が容易にできる状態を保つ必要があるため、荷物を移動させ、点検口へのアクセスを確保しておくことが求められます。

まとめ

管理用シャッターは防火シャッターと異なり、調査員が定期調査の中で維持保全状況を確認する
本体、枠、ガイドレールやローラーチェーン等に変形や錆がないかを確認する
点検口の下部に棚等が置かれていないかなど、点検が容易にできる状態かを確認する
操作スイッチは児童等の手が届かない位置にあるか、施錠等がされているかを確認する
駆動機構は日常点検やメーカーの点検報告書の有無で状態を判断する
障害物感知装置は作動記録に加えて電池切れの有無まで確認する
電動シャッターの動作時事故は平成13年から29年までに28件報告されており、多くが挟まれや落下によるものだった

うちの倉庫のシャッターも、スイッチの位置から確認してみます!

管理用シャッターも日々の点検が事故を防ぐ第一歩です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第8条第1項(維持保全の努力義務)・第12条第1項(定期調査義務。e-Govで現行条文を確認)
  • 建築基準法施行規則第5条第2項(調査の項目・方法及び判定基準)
  • 消費者庁「電動シャッター動作時の事故に注意!」(平成30年10月26日公表)

※本記事は建築基準法及び同法施行規則、消費者庁の公表資料をもとに、管理用シャッターの維持保全状況に関する定期調査の一般的な着眼点を解説したものです。個別の建築物における調査項目や判定は、特定行政庁の定める内容及び現地の状況に応じて異なります。実際の調査・点検にあたっては、建築物調査員等の専門資格者にご確認ください。

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