準特定屋外タンク貯蔵所の基礎と地盤は、条文と告示だけを追っても具体的な数値にたどり着きにくい領域です。
地下水位との間隔をどこまで詰められるのか、締め固めの程度をどう示せばよいのか。
平成11年6月15日付けの消防危第58号は、こうした現場で数字が要る場面について運用の形で答えを並べています。
この記事で扱うのは、数値がそのまま可否を分ける論点です。
地下水位が浅い敷地です。
盛土基礎の上面と2メートル空けるのは難しいのですが。
そこは砕石層を設ける条件で緩められます。
ただし厚さと強度の両方に数値が付いているので、片方だけでは足りません。
強度の数値は、何で示せばよいのでしょうか。
平板載荷試験値です。
砕石と砂それぞれに目安が示されているので、試験の計画段階から押さえておくと手戻りがありません。
- 一体構造の鉄筋コンクリートリング基礎とは円周方向の鉄筋が連続した鉄筋コンクリート構造であり、ブロック構造は該当しないとされています
- 盛土基礎の上面と地下水位の間隔は2メートル以上が原則ですが、一定の砕石層を設ける場合は1メートル以上で足ります
- 計算沈下量の算定は側板下端部での沈下量を計算するとされています
- 良く締め固められた砕石と砂の強度は、平板載荷試験値がそれぞれ20kgf/c㎡程度と10kgf/c㎡程度とされています
- 液状化判定資料の照査で地盤の種別が不明な場合は200ガルと考えて差し支えないとされています
▼
目次
一体構造の鉄筋コンクリートリング基礎とは何を指すか

問題は「一体構造」という言葉です。
現場では既製のコンクリートブロックを円形に並べる工法もあり、それが該当するのかどうかで判断が割れます。
外から見て輪になっていても、鉄筋が途切れていれば一体構造とは呼べません。
ブロック構造は該当しないとされています。
リング基礎は、タンクの荷重で外側に開こうとする力を円周方向の鉄筋が引張で受け止める仕組みです。鉄筋が連続していなければその機能が働かない、という理屈が背景にあると読めます。
一体構造かどうかは、鉄筋の連続性で見るのですね。
形状ではありません。
採用する工法の詳細を、図面で確かめてください。
砕石層を設けた場合に地下水位との間隔を詰められる条件

地下水位の高い敷地では、この2メートルが計画の成否を決めます。
ここに緩和の運用が示されました。
砕石層の厚さが1メートル以上あること、そしてその砕石層の平板載荷試験値が20kgf/c㎡以上であること。
厚さと平板載荷試験値の両方が条件です。
厚く敷いただけでは足りず、締め固めの結果を試験値で示す必要があります。逆にいえば、試験の段取りを設計段階で織り込んでおけば、地下水位の制約を1メートル分ほどけることになります。
厚さと強度の両方がそろって、緩められるのですね。
片方だけでは足りません。
試験の計画に、両方の確認を入れてください。
計算沈下量はどこで算定し支持力はどの面で確認するか

タンクの中心か、基礎の縁か、それとも側板の位置か。
運用は算定位置を明示しています。
支持力のほうは、原則が基礎構造底面で、地盤改良を行った場合には改良底面も加わります。
置き換え工法を採る場合、確認する面が1つ増えると考えておく必要があります。
沈下量は、測る位置が決まっているのですね。
側板下端部で算定します。
計算の条件を、報告書に明記してください。
良く締め固められた砕石と砂の強度はどの程度か

文言だけでは、どこまで締め固めれば良く締め固めたことになるのかが分かりません。
運用はこれを試験値に置き換えました。
締め固めの程度が数値で示されています。
前の項目で出てきた砕石層の20kgf/c㎡以上という条件と同じ水準の数値が並んでいる点にも注目できます。
なお、こちらは「程度」という表現である一方、砕石層の緩和条件のほうは「以上」と書き分けられています。どちらの場面の数値なのかを取り違えないよう注意が要ります。
締め固めの程度も、数値で示されているのですね。
試験値に置き換えられています。
目標の数値を、施工の仕様に入れてください。
液状化判定資料の照査と地盤の種別が不明な場合

何と突き合わせればよいのか、そして手元に地盤の種別の情報がないときにどうするのか。
実務で効くのは後段でしょう。
地盤の種別が不明なら200ガルと考えます。
既設タンクや古い資料しか残っていない案件では、地盤の種別が確定できないことがあります。そこで作業が止まらないよう、置いてよい数値が示されているわけです。
地盤の種別が分からない場合の扱いもあるのですね。
数値が示されています。
資料が乏しい敷地は、その前提で検討してください。
よくある質問
まとめ
- 一体構造の鉄筋コンクリートリング基礎とは、円周方向の鉄筋が連続した鉄筋コンクリート構造をいい、ブロック構造は該当しません
- 盛土基礎の上面と地下水位の間隔は2メートル以上が原則です
- 厚さが1メートル以上かつ平板載荷試験値が20kgf/c㎡以上である砕石層を設ける場合は、その間隔は1メートル以上で足ります
- 緩和の条件は厚さと試験値の両方であり、片方だけでは満たしたことになりません
- 計算沈下量の算定は側板下端部での沈下量を計算します
- 支持力は基礎構造底面で確認し、置き換え等の地盤改良を行った場合には改良底面における支持力も確認します
- 良く締め固められた砕石と砂は、平板載荷試験値がそれぞれ20kgf/c㎡程度、10kgf/c㎡程度をいいます
- 液状化判定資料の想定震度は設計水平震度に相当するものと照らし、地盤の種別が不明な場合は200ガルと考えて差し支えありません
以上と程度で書き分けられているのですね。
すっきりしました。
緩和の条件は「以上」なので、そこは試験値で押さえておく必要があります。
㈱防災屋でも試験計画の組み立てからご相談を承っています。
参考・出典
- 危険物規制事務に関する執務資料(屋外タンク貯蔵所及び一般取扱所関係)の送付について〔抄〕(平成11年6月15日 消防危第58号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)別紙 屋外タンク貯蔵所関係 準特定屋外タンク貯蔵所関係 問2・問3・問4
- 準特定屋外タンク貯蔵所に係る技術基準等に関する運用について(平成11年3月30日付け消防危第27号)別紙3 準特定屋外タンク貯蔵所の適合確認計算書
- 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示第4条の22の2
- 危険物の規制に関する規則第20条の3の2第2項第2号ロ
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




