避難器具は階ごとに必要な個数が決まっていて収容人員が増えるほど数も増えます。
ところが建物どうしが渡り廊下でつながっているだけでその個数を引けることがあります。
根拠は消防法施行規則第26条第3項で渡り廊下1本につき2個を引いてよいと書かれています。
この記事では消防法施行令と消防法施行規則の条文だけを見て渡り廊下による個数の減の条件を整理します
うちは工場の本館と別館が渡り廊下でつながっているんです。
避難器具の数に関係したりしますか。
関係します。
消防法施行規則第26条第3項が渡り廊下の数に二を乗じた数を引いてよいと定めています。
渡り廊下ならどんなものでもよいわけではないですよね。
うちのは物置がわりに使ってしまっているんですが。
そこが分かれ目です。
条文は渡り廊下に三つの要件を課していて用途もそのひとつです。
- 避難器具の個数は消防法施行令第25条第2項第1号本文が収容人員に応じて決めている
- 消防法施行規則第26条第3項は渡り廊下の数に二を乗じた数を必要な個数から引いてよいと定めている
- 使えるのは特定主要構造部を耐火構造とした防火対象物に限られる
- 渡り廊下の側にも構造と両端の防火戸と用途という三つの要件がそろっていなければならない
- 引いた数が一に満たないときはその階に避難器具を設置しないことができる
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目次
避難器具の個数はどのように決まるのか

条文は階ごとの収容人員を見て必要な個数を積み上げる形で書かれています。
基準となる人数は用途によって異なり百人ごとに一個を足す階と二百人ごとに一個を足す階と三百人ごとに一個を足す階に分かれています。
この本文で出した数が引き算の元になる数であり渡り廊下の話はそのあとに出てきます。
そして同じ号のただし書が総務省令で定めるところにより個数を減らせると書いて消防法施行規則へ話を渡しています。
自分の階の収容人員を先に出しておくと減らせる余地があるかどうかがすぐ分かります
先に元の数を出さないと引き算ができないんですね。
収容人員から確かめてみます。
そのとおりです。
収容人員の算定は消防用設備等の点検票にも出てくるので手元の書類から拾えます。
どんな渡り廊下なら個数を減らせるのか

建物の側の条件と渡り廊下の側の条件を分けて並べています。
柱書が特定主要構造部を耐火構造としたものと書いているので木造や一般の準耐火構造の建物ではこの項に乗れません。
そのうえで渡り廊下の側に三つの要件が並びます。
第一号が渡り廊下自体の構造で耐火構造か鉄骨造のどちらかであること第二号が両端の出入口の防火戸であること第三号が用途の限定です。
渡り廊下が何本あってもこの三つを満たさない一本は数に入りませんので図面と現物の両方を見比べてください
建物が耐火構造でなければそもそも入口に立てないということですか。
そこを見落としていました。
そこが最初の関門です。
建築確認の副本や検査済証で構造を確かめてから先へ進んでください。
渡り廊下が1本あると何個引けるのか

そして引いた結果がゼロになったときの扱いまで条文に書いてあります。
第3項は渡り廊下の数に二を乗じた数と書いているので二本あれば四個ということになります。
そして第3項の末尾は前項後段の規定を準用すると書いていてその前項後段が上の引用部分です。
つまり引き算の結果が一に満たなくなればその階には避難器具を設置しないことができます。
必要な数が2個の階に要件を満たす渡り廊下が1本架かっていれば計算上はゼロになるということです
つまり渡り廊下1本で2個ぶんの働きをするということですね。
思っていたより大きい数です。
大きいからこそ要件も細かいのです。
引ける数を出したら計算の過程を書き残して所轄消防署に見せられるようにしておいてください。
実務で見落としやすいのはどこか

そして両端の戸の種類にも条文がはっきりと線を引いています。
第三号は避難と通行と運搬以外の用途に供しないことと書いているので段ボールや什器を並べた渡り廊下は要件を満たしません。
両端の戸も普通の防火戸では足りず特定防火設備である必要がありさらに自動閉鎖装置付きであることが求められます。
そのうえで第二号は防火シャッターを除くと括弧書きで明記しているのでシャッターで代用することはできません。
月に一度でよいので渡り廊下を歩いて物が置かれていないかと戸が閉まるかを見て記録に残してください
建てたときは要件を満たしていても使い方で外れてしまうんですね。
すぐに片づけます。
片づけたら写真を残しておくと次の点検で役に立ちます。
戸の前に物を置かない旨を消防計画にも書き足しておくと確実です。
明日からなにを確認すればよいのか

そもそもその階が避難器具の対象になっているかどうかです。
避難階と十一階以上の階は柱書で除かれているので減らす検討そのものが要りません。
そのうえで図面を開いて渡り廊下がどの階に架かっているかを数え三つの要件をひとつずつ当てていきます。
条文が減らせると書いていても実際に何個でよいかを決めるのは所轄消防署ですので計算の根拠をそろえて相談してください。
渡り廊下の写真と建物の構造がわかる書類を持って行くと話が一度で済みます
まず対象の階かを見てから渡り廊下を数えるという順番ですね。
図面を出してきます。
その順番が確実です。
順番を逆にすると対象外の階を延々と検討することになります。
よくある質問
まとめ
渡り廊下の三つの要件がはっきりしました。
まずは物をどけて図面を数えます。
数え方や要件の当てはめで迷ったら㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第25条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第26条
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





