リフォームや解体の現場で、火花が飛ぶ作業を見かけたことはないでしょうか。
ガス溶接やグラインダー、アスファルトの溶解といった作業は、溶接作業等としてまとめて火災予防条例に基準が定められています。
立入検査でも実際にチェックされる項目のひとつです。
可燃物の近くで行ってはならないという原則と、行う場合に講じるべき措置を、条文から確認します。
今リフォーム工事中なんですが、業者さんがグラインダーを使っていて火花が飛んでいるのが気になります。
これって消防的に大丈夫なんでしょうか。
その火花を出す作業は溶接作業等と呼ばれ、火災予防条例に基準があります。
まず大原則は可燃物の近くでやらないことです。
近くに段ボールや養生シートが積んであったんですが、それはまずいですか。
はい、可燃性の物品のそばでの作業は条例で禁止されています。
条文を順番に見ていきましょう。
- 溶接作業等(ガス・電気溶接、自動車解体の溶断、グラインダー、トーチランプ加熱、アスファルト溶解、鋲打作業)は、可燃性の物品の附近で行ってはならないとされています
- 自動車の解体作業では、溶断前に燃料等の可燃性物品を除去し消火用具を準備することが必要です
- 火花の飛散や接炎による火災を防ぐため、湿砂の散布・散水・不燃材料による遮熱などの措置が求められます
- 令別表第1の防火対象物だけでなく、その用途に供するため工事中の建築物その他の工作物も対象に含まれます
- 作業現場では、火災予防上安全な場所に設けた吸殻容器のある場所以外での喫煙が禁止されています
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目次
工事現場の溶接作業になぜ消防の基準があるのか

こうした作業は、火災予防条例でまとめて呼び方が決まっています。
火花や高温を伴う作業は、まとめて溶接作業等と呼ばれています。
条文が挙げているのは、ガスや電気による溶接、自動車解体にともなう溶断、グラインダーの火花、トーチランプの加熱、アスファルトの溶解、鋲打作業の6種類です。
これらに共通するのは、火花や高温を発生させる点です。
だからこそ、可燃性の物品のそばで行うこと自体が条例で禁止されています。
自分の建物で今どんな作業が行われているか、まず種類を確認するところから始めます。
うちは今、外壁の補修でグラインダーを使っています。
これも溶接作業等に入るんでしょうか。
はい、グラインダーによる火花を発する作業も溶接作業等のひとつです。
周りに燃えやすい物がないか、まず確認しましょう。
どんな作業が溶接作業等に含まれるのか

なかでも自動車の解体作業には、もうひとつ別の決まりが上乗せされています。
自動車を解体する際の溶断作業は、溶接作業等の中でも特に燃料という危険物が近くにある作業です。
条文は、溶断作業を行う前に燃料等の可燃性物品を除去し、消火用具を準備することを求めています。
除去した燃料をそのまま放置してよいわけではなく、適切な管理まで義務づけられています。
つまり、作業の順番そのものが基準になっているということです。
解体業者に依頼するときは、この手順どおりに進めているかを確認しておくと安心です。
自動車以外の解体、たとえば厨房機器を外すときも同じ考え方でしょうか。
条文が名指ししているのは自動車の解体作業ですが、燃料や可燃物を先に取り除くという考え方はどんな解体作業にも共通します。
火花や粉じんの爆発をどう防ぐのか

その場合に条例が求めているのは、火花への具体的な対策です。
条文が挙げているのは、湿砂の散布、散水、不燃材料による遮熱、可燃性物品の除去、作業後の点検という五つの手段です。
どれか一つを選べばよいというより、現場の状況に応じて組み合わせることが前提になっています。
特に見落としやすいのが作業後の点検で、作業を終えた直後だけでなく、火種が残っていないかを時間を置いて確かめる意味を含みます。
「その他火災予防上必要な措置」という表現もあり、現場ごとに追加の対策が求められることもあります。
準備した道具と手順を、作業前に一度声に出して確認しておくと抜け漏れが減ります。
湿った砂を用意しておくだけでも意味があるんですね。
はい、火花が飛ぶ範囲に湿砂や不燃シートを置いておくだけで対策になります。
バケツ一杯の水を近くに置くのも有効です。
工事中の建物も規制の対象になるのか

建築中や改修中の建物にも、別の要件で基準が及びます。
条文は、令別表第1の防火対象物((18)項から(20)項までを除く)だけでなく、これらの用途に供するため工事中の建築物その他の工作物も対象に含めています。
つまり、まだ営業を始めていないテナント工事や建て替え中の建物であっても、可燃性の蒸気やガスを著しく発生する作業、爆発性や可燃性の粉じんを著しく発生する作業を行うときは同じ基準がかかります。
求められる措置は、換気または除じん、火気の制限、消火用具の準備、作業後の点検です。
工事現場では発注者と施工業者の担当が分かれがちで、誰がこの基準を守るのかがあいまいになりやすい点に注意が必要です。
契約や打ち合わせの段階で、火災予防上の措置をどちらが担うのかを決めておきます。
今度テナントの内装工事を頼むんですが、まだ開店前なので関係ないと思っていました。
いいえ、工事中の建築物その他の工作物も対象に含まれます。
開店前でも施工業者と一緒に対策を確認してください。
明日から現場で何を確認すればよいのか

作業現場では、吸える場所そのものが限定されています。
条文が求めているのは、火災予防上安全な場所に吸殻容器を設けることと、その場所以外では喫煙しないことの二点です。
可燃物や溶接作業等の周辺で一服してしまうと、それまでの対策が意味を持たなくなります。
明日から現場でできることは多くありません。喫煙所と吸殻容器の位置を決め、それ以外での喫煙を禁止だと周知することです。
あわせて、湿砂やバケツといった今日の記事で出てきた道具が実際に現場にあるかも見ておきます。
立入検査で聞かれても答えられるように、誰が何を確認したかを簡単な記録に残しておくと安心です。
喫煙所を一つ決めて、そこにしか灰皿を置かないようにします。
それだけで随分変わります。
次は立入検査で聞かれたときの準備をしましょう。
よくある質問
まとめ
溶接作業等にもちゃんと条文の基準があると分かって安心しました。
工事や改修の予定があるときは、業者さんと一緒に対策を確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第9条(火を使用する設備等の位置、構造及び管理並びに火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は市町村条例で定める旨の規定)
- 火災予防条例(例)第28条(作業中の防火管理)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





