誘導灯が光っているのは見慣れていても、その明るさ自体に細かい基準があることは案外知られていません。
停電したら暗くなって当然と思われがちですが、実は常用電源と非常電源とで守るべき明るさの数値は最初から別に決められています。
避難口誘導灯と通路誘導灯でも、光り方そのものの基準が違います。
消防庁の告示をたどると、誘導灯の明るさを決めている条文と、見落としやすい電源ごとの違いが見えてきます。
うちの誘導灯、避難口用と廊下用で見た目が違うだけかと思っていました。
明るさの基準まで違うんですか。
はい、形も明るさの基準もそれぞれ別に決まっています。
まずは何を根拠に決まっているかから確認しましょう。
停電したら誘導灯も暗くなりますよね。
それって基準違反じゃないんですか。
実は非常電源のときは基準そのものが下がります。
順番に見ていきましょう。
- 誘導灯の明るさの基準は、消防法施行規則の委任を受けた消防庁告示で定められています
- 避難口誘導灯と通路誘導灯では、緑色部分と白色部分の輝度の比が入れ替わります
- 表示面の平均輝度は、常用電源のほうが非常電源より高い数値で決められています
- 誘導灯は常時点灯が原則ですが、無人時などは感知器連動で消灯・減光してよい例外があります
- 老朽化で明るさが落ちていないか、点検で実際に確認しておく必要があります
▼

目次
誘導灯の表示面はなぜ明るさまで基準で決まっているのか

ただ光っていればよいわけではなく、明るさそのものにも基準があります。
この委任を受けて定められているのが、誘導灯及び誘導標識の基準という消防庁告示です。
告示では表示面の輝度や輝度対比、平均輝度の数値まで具体的に定められています。
見た目の色や形だけでなく、明るさそのものが技術基準の対象になっている点がポイントです。
見た目のデザインの話じゃなくて、明るさも法令の基準なんですね。
はい、数値まで決まっている技術基準です。
具体的にどう違うか見てみましょう。
避難口誘導灯と通路誘導灯で基準はどう変わるのか

形によって、明るさのムラをどこまで許すかという基準も変わります。
避難口誘導灯は緑色部分の比率が9以下、白色部分が7以下と定められています。
通路誘導灯はこれが逆で、緑色部分が7以下、白色部分が9以下です。
これは避難口と通路とで、人の目が反応しやすい明るさのムラの許容範囲が違うために分けられている数値です。
表示面が縦長の誘導灯では計算方法自体が変わり、白色部分と緑色部分の輝度対比が0.65以上という別の基準になります。
同じ緑と白の組み合わせでも、避難口用と通路用で数字が逆なんですね。
はい、形と種類の組み合わせで基準が変わります。
次は実際の明るさの数値を見てみましょう。
表示面の明るさは具体的にどんな数値で決まっているのか

電源が常用電源か非常電源かによっても、必要な明るさは変わります。
たとえば避難口誘導灯のA級は、常用電源なら350以上800未満ですが、非常電源では100以上300未満まで下がります。
これは電池の消耗を抑えながら、非常時でも避難口を識別できる最低限の明るさを確保するための数値です。
通路誘導灯も同様に、常用電源のほうが非常電源より高い区分になっています。
数値は等級によって細かく分かれているため、設置されている誘導灯がどの等級かをあわせて確認する必要があります。
常用電源のときのほうが明るくないといけないんですね。
はい、非常電源の基準はもともと低めに設定されています。
ここが実務でよく誤解される点です。
誘導灯は常にその明るさで点灯していなければならないのか

では誘導灯は文字どおり24時間ずっと、その明るさで点灯していなければならないのでしょうか。
省エネのために誘導灯を間欠点灯にする工事は、この例外の条件を満たして初めて認められるものです。
逆に条件を満たさないまま誘導灯を消したり暗くしたりすると、常時点灯の原則違反になります。
感知器の作動と連動していない誘導灯を、電気代の節約のためだけに消してしまう運用は認められません。
改修や省エネ工事を検討するときは、この条件を満たしているかどうかを事前に確認しておく必要があります。
電気代を減らしたくて誘導灯を消していた時期があったかもしれません。
それは条件を満たしていないと基準違反になります。
心当たりがあれば早めに確認してください。
明日からなにを確認すればよいのか

自分の建物の誘導灯について、次の順番で見直してみてください。
まず設置されている誘導灯が避難口用か通路用か、正方形か縦長かを確認し、A級・B級・C級のどの等級かを把握します。
次に、点検のときに常用電源と非常電源の両方で明るさが基準どおりに確認されているかを点検記録で確かめます。
消灯・減光する設定がある場合は、感知器との連動や利用形態の条件を満たしているかを確認します。
表示面が黄ばんでいたり暗く感じたりする古い誘導灯は、交換の目安として点検業者に相談してください。
等級と電源、点灯の条件まで確認すればよいんですね。
はい、その3点を押さえれば見通しが立ちます。
点検のときにあわせて確認してみてください。
よくある質問
まとめ
誘導灯の明るさにも細かい基準があるとよく分かりました。
まずは設置されている誘導灯の等級から確認してみます。
等級・電源・点灯条件の3点を押さえれば大丈夫です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第28条の2
- 消防法施行規則第28条の3
- 誘導灯及び誘導標識の基準(平成11年3月17日消防庁告示第2号)
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





