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誘導灯の明るさはなにで決まるのか|避難口と通路で変わる輝度対比と電源ごとの基準を解説

暗い廊下の先で緑色の誘導灯が光っている様子

誘導灯が光っているのは見慣れていても、その明るさ自体に細かい基準があることは案外知られていません
停電したら暗くなって当然と思われがちですが、実は常用電源と非常電源とで守るべき明るさの数値は最初から別に決められています。
避難口誘導灯と通路誘導灯でも、光り方そのものの基準が違います。
消防庁の告示をたどると、誘導灯の明るさを決めている条文と、見落としやすい電源ごとの違いが見えてきます。

うちの誘導灯、避難口用と廊下用で見た目が違うだけかと思っていました。
明るさの基準まで違うんですか。

はい、形も明るさの基準もそれぞれ別に決まっています
まずは何を根拠に決まっているかから確認しましょう。

停電したら誘導灯も暗くなりますよね。
それって基準違反じゃないんですか。

実は非常電源のときは基準そのものが下がります
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 誘導灯の明るさの基準は、消防法施行規則の委任を受けた消防庁告示で定められています
  • 避難口誘導灯と通路誘導灯では、緑色部分と白色部分の輝度の比が入れ替わります
  • 表示面の平均輝度は、常用電源のほうが非常電源より高い数値で決められています
  • 誘導灯は常時点灯が原則ですが、無人時などは感知器連動で消灯・減光してよい例外があります
  • 老朽化で明るさが落ちていないか、点検で実際に確認しておく必要があります

誘導灯の表示面の明るさが告示で決まっている仕組みと常用電源・非常電源で変わる基準を示した図解

誘導灯の表示面はなぜ明るさまで基準で決まっているのか

暗い煙のかかった廊下の先で緑色の誘導灯が光っているイメージ
誘導灯は火災で視界が悪くなった状況でも、避難口の位置を伝えるための設備です。
ただ光っていればよいわけではなく、明るさそのものにも基準があります。
消防法施行規則第28条の3第6項 誘導灯及び誘導標識は、消防庁長官が定める基準に適合するものでなければならない。
誘導灯の構造や明るさの細かい基準は、消防庁長官が定める告示に委ねられています
この委任を受けて定められているのが、誘導灯及び誘導標識の基準という消防庁告示です。
告示では表示面の輝度や輝度対比、平均輝度の数値まで具体的に定められています。
見た目の色や形だけでなく、明るさそのものが技術基準の対象になっている点がポイントです。

見た目のデザインの話じゃなくて、明るさも法令の基準なんですね。

はい、数値まで決まっている技術基準です
具体的にどう違うか見てみましょう。

避難口誘導灯と通路誘導灯で基準はどう変わるのか

正方形の誘導灯と縦長の誘導灯が並んでいるイメージ
誘導灯には表示面が正方形のものと、縦長の長方形のものがあります。
形によって、明るさのムラをどこまで許すかという基準も変わります。
誘導灯及び誘導標識の基準(平成11年3月17日消防庁告示第2号)第5 表示面の形状が正方形の誘導灯にあっては、常時点灯時における表示面の最大輝度と最小輝度との比が、避難口誘導灯にあっては表示面の緑色部分が9以下で、かつ、白色部分が7以下であること。通路誘導灯にあっては、表示面の緑色部分が7以下で、かつ、白色部分が9以下であること。(略)表示面の形状が縦寸法を短辺とする長方形の誘導灯にあっては、常時点灯時における表示面の白色部分と緑色部分が接する箇所の輝度対比が、0.65以上であること。
避難口誘導灯と通路誘導灯では、緑色部分と白色部分で許されるムラの比率が入れ替わります
避難口誘導灯は緑色部分の比率が9以下、白色部分が7以下と定められています。
通路誘導灯はこれが逆で、緑色部分が7以下、白色部分が9以下です。
これは避難口と通路とで、人の目が反応しやすい明るさのムラの許容範囲が違うために分けられている数値です。
表示面が縦長の誘導灯では計算方法自体が変わり、白色部分と緑色部分の輝度対比が0.65以上という別の基準になります。

同じ緑と白の組み合わせでも、避難口用と通路用で数字が逆なんですね。

はい、形と種類の組み合わせで基準が変わります
次は実際の明るさの数値を見てみましょう。

表示面の明るさは具体的にどんな数値で決まっているのか

通常電源につながる明るい誘導灯と電池につながる誘導灯が並ぶイメージ
誘導灯の等級(A級・B級・C級)ごとに、平均輝度の下限と上限も数値で決められています。
電源が常用電源か非常電源かによっても、必要な明るさは変わります。
誘導灯及び誘導標識の基準(平成11年3月17日消防庁告示第2号)第5 誘導灯の表示面は、電源の別及び誘導灯の区分に応じ、次の平均輝度(単位 カンデラ毎平方メートル)を有すること。常用電源 避難口誘導灯 A級 350以上800未満、B級 250以上800未満、C級 150以上800未満。通路誘導灯 A級 400以上1,000未満、B級 350以上1,000未満、C級 300以上1,000未満。非常電源 避難口誘導灯 100以上300未満。通路誘導灯 150以上400未満。
常用電源で点灯しているときの明るさは、非常電源に切り替わったときより高い数値で決められています
たとえば避難口誘導灯のA級は、常用電源なら350以上800未満ですが、非常電源では100以上300未満まで下がります。
これは電池の消耗を抑えながら、非常時でも避難口を識別できる最低限の明るさを確保するための数値です。
通路誘導灯も同様に、常用電源のほうが非常電源より高い区分になっています。
数値は等級によって細かく分かれているため、設置されている誘導灯がどの等級かをあわせて確認する必要があります。

常用電源のときのほうが明るくないといけないんですね。

はい、非常電源の基準はもともと低めに設定されています
ここが実務でよく誤解される点です。

誘導灯は常にその明るさで点灯していなければならないのか

人のいない建物の誘導灯が消えていて感知器と線でつながっているイメージ
ここまでの数値は、誘導灯が点灯しているときの基準です。
では誘導灯は文字どおり24時間ずっと、その明るさで点灯していなければならないのでしょうか。
消防法施行規則第28条の3第4項第2号 避難口誘導灯及び通路誘導灯(階段又は傾斜路に設けるものを除く。)は、常時、(略)明るさで点灯していること。ただし、当該防火対象物が無人である場合又は(略)に掲げる場所に設置する場合であつて、自動火災報知設備の感知器の作動と連動して点灯し、かつ、当該場所の利用形態に応じて点灯するように措置されているときは、この限りでない。
常時点灯が原則ですが、無人時や感知器と連動する条件を満たせば消灯・減光してよい例外があります
省エネのために誘導灯を間欠点灯にする工事は、この例外の条件を満たして初めて認められるものです。
逆に条件を満たさないまま誘導灯を消したり暗くしたりすると、常時点灯の原則違反になります。
感知器の作動と連動していない誘導灯を、電気代の節約のためだけに消してしまう運用は認められません。
改修や省エネ工事を検討するときは、この条件を満たしているかどうかを事前に確認しておく必要があります。

電気代を減らしたくて誘導灯を消していた時期があったかもしれません。

それは条件を満たしていないと基準違反になります。
心当たりがあれば早めに確認してください。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストと虫眼鏡で誘導灯を確認しているイメージ
誘導灯の明るさの基準は数値が細かいため、点検のときにあわせて確認しておくと安心です。
自分の建物の誘導灯について、次の順番で見直してみてください。
消防法施行規則第28条の3第6項 誘導灯及び誘導標識は、消防庁長官が定める基準に適合するものでなければならない。
確認は等級・電源・点灯状態の順に進めます
まず設置されている誘導灯が避難口用か通路用か、正方形か縦長かを確認し、A級・B級・C級のどの等級かを把握します。
次に、点検のときに常用電源と非常電源の両方で明るさが基準どおりに確認されているかを点検記録で確かめます。
消灯・減光する設定がある場合は、感知器との連動や利用形態の条件を満たしているかを確認します。
表示面が黄ばんでいたり暗く感じたりする古い誘導灯は、交換の目安として点検業者に相談してください。

等級と電源、点灯の条件まで確認すればよいんですね。

はい、その3点を押さえれば見通しが立ちます
点検のときにあわせて確認してみてください。

よくある質問

Q誘導灯の明るさは自分で測定してもよいのですか?
A明るさの測定には専用の測定器と手順が必要で、消防設備士や消防設備点検資格者による点検の中で確認するのが基本です。自己判断だけで基準適合を判断するのは避けてください。
QLED式の誘導灯にも同じ基準が適用されますか?
Aはい。光源の種類にかかわらず、表示面の平均輝度や輝度対比の基準は同じ告示に従います。省電力になっても、明るさの基準そのものが緩くなるわけではありません。
Q誘導灯を間欠点灯にする工事はどんな建物でもできますか?
Aいいえ。防火対象物が無人であることや自動火災報知設備の感知器と連動する条件を満たす必要があり、条件を満たさない建物では認められません。工事の前に所轄消防署に確認してください。
Q客席誘導灯にも同じ平均輝度の基準がありますか?
A客席誘導灯は床面の照度0.2ルクス以上という別の基準で管理されており、この記事で扱った避難口誘導灯・通路誘導灯の平均輝度の基準とは異なります。

まとめ

誘導灯の明るさの基準は、消防法施行規則の委任を受けた消防庁告示で定められています
避難口誘導灯と通路誘導灯では、緑色部分と白色部分の輝度の比が入れ替わります
縦長の誘導灯は正方形と計算方法が異なり、輝度対比0.65以上という基準になります
表示面の平均輝度は、常用電源のほうが非常電源より高い数値で決められています
誘導灯は常時点灯が原則で、無人時などの例外にも条件があります
条件を満たさない消灯や減光は、常時点灯の原則に違反します
老朽化で明るさが落ちていないか、点検で実際に確認しておく必要があります

誘導灯の明るさにも細かい基準があるとよく分かりました。
まずは設置されている誘導灯の等級から確認してみます。

等級・電源・点灯条件の3点を押さえれば大丈夫です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第28条の2
  • 消防法施行規則第28条の3
  • 誘導灯及び誘導標識の基準(平成11年3月17日消防庁告示第2号)
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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