消火用屋外給水施設で最後に問われるのは、水と電気をどこから持ってくるかです。
足りない水量をどう足すか。停電したときに何で動かすか。地震で壊れないか。
5つの回答は、認めるものと認めないものがはっきり分かれています。
線を引いているのは災害のときにも当てにできるかどうかです。
貯水槽に水道から補水できる装置を付ければ、槽の容量を減らせるでしょうか。
水道配水管による補水は認められないとされています。
槽の容量を減らすことはできません。
すぐそばに川があります。
これを消火栓の代わりにできるでしょうか。
自然水利を利用する箇所に消火栓等を設置したとみなして数を算出し、検査手数料を徴収されたいとされました。
代替として扱えますが手数料は発生します。
- 予備動力設備相互の兼用は、他の施設等に必要な容量と屋外給水施設の容量を同時に満足する場合に認められます
- 発電所については、運用指針により自家発基準と同等以上であると認められる場合は予備動力設備は必要ありません
- 危険物の規制に関する規則に定める消火設備の水源の容量が必要量以上ある場合、その水量を屋外給水施設の水量に加算できます
- 貯水槽に水道配水管から補水する装置を設けても、その水量で槽の容量を減ずることはできません
- 自然水利を代替とする場合は、その箇所に消火栓等を設置したとみなして数を算出し検査手数料を徴収します
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目次
予備動力設備を兼用できるか

停電したときにポンプを動かすため、予備動力設備を設けます。
構内に複数の設備があると、それぞれに予備動力を置くことになります。まとめられないか。
あわせて、発電所の場合はそもそも必要なのかが問われました。
問21 発電所に予備運動力設備は必要か。
答21 屋外給水施設の運用指針の第2、2、(5)、ウ、(イ)により自家発基準と同等以上であると認められる場合は、必要ない。
前の記事で加圧ポンプの兼用は認められませんでした。こちらは条件付きで認められています。
違いは容量という考え方が使えるかどうかです。ポンプは1台で2か所へ同時に送れませんが、発電機は容量さえあれば複数の負荷を同時に賄えます。
だから条件は両方の容量を同時に満足することになります。合計で足りていればよく、片方ずつ足りていても駄目です。
問21の発電所は別の話です。発電所には自家発電の設備がもともとあります。それが自家発基準と同等以上と認められるなら、あらためて予備動力設備を置く必要はありません。
どちらも、すでにあるものを数えてよいかという問いです。数えられる条件がそれぞれ示されています。
予備の動力設備は、条件がそろえば兼用できるのですね。
同時に満たせることが前提です。
停電時の運転の計画を、確かめてください。
消火設備の水源を加算できるか

その水量が必要量より多い場合、余っている分を屋外給水施設の水量として数えてよいか。
認められました。ただし加算できるのは必要量以上の部分、つまり余剰分です。
消火設備の水源として必要な量は、あくまでそちらのために確保しておく必要があります。二重に数えることはできません。
この考え方は、前の項目の予備動力設備と同じです。同時に両方を満たせる範囲で数えます。
実務での使い方ははっきりしています。既存の水源の容量と、規則上の必要量を並べて書き出す。その差が屋外給水施設に回せる分です。新しく貯水槽を作る前に、この計算をしておく価値があります。
余っている分なら、数えられるのですね。
必要量を超える部分が対象です。
いまの水源の量を、書き出しておきましょう。
水道から補水すれば槽を小さくできるか

使いながら水道から補水すれば、槽そのものは小さくできるのではないか。
短く否定されました。
理由は書かれていませんが、前の2つと並べると見えてきます。予備動力設備も消火設備の水源も、構内にあって自分で管理できるものでした。水道配水管はそうではありません。
地震で断水すれば水は来ません。近隣の消火活動で使われれば圧力も落ちます。災害のときこそ当てにできない水源です。
前の記事で見た、県の管理する防潮堤を防止堤の代替にできないという回答と同じ筋です。自分で状態を保てないものは、義務を果たす手段に数えられません。
補水の装置を付けること自体が禁じられているわけではありません。付けてもよいが、それで容量を減らすことはできない、という整理です。
水道は当てにできないのですね。
自分で管理できないためです。
水源は構内で確保する前提で考えてください。
自然水利を代替にする場合の手数料

これを消火栓等の代替として認める場合、検査手数料はどうなるのか。算定の基準はどう考えるのか。
2つの問いにまとめて答えています。徴収する。数え方は、自然水利を利用する箇所に消火栓等を設置したとみなす。
つまり物がなくても、その機能を担わせるなら1か所として数えます。
前の記事で見た防止堤の手数料と同じ考え方です。2事業所で1つの堤を共用しても、各事業所ごとに設置しているものとして徴収されました。手数料は物ではなく義務に付きます。
自然水利を使えば工事費は下がります。ただし検査手数料は消火栓を置いたのと同じだけかかる。見積もりの段階で入れておいてください。
物がなくても、置いたものとして数えるのですね。
手数料は発生します。
代替の計画は、費用も含めて検討してください。
地震に耐えるための措置

地震による地動等に耐えるための有効な措置とは、具体的に何を指すのか。
2つの措置が正反対の性格を持っています。
配管と機器の接続部は、可とう性のある継手でつなぐ。地面と機器が別々に動いても、継手が変形して吸収します。ここは動きを逃がす部分です。
一方、加圧ポンプ等の機器は固定用金具やアンカボルトで基礎に堅固に固定する。ここは動かさない部分です。
機器を固定したうえで配管をかたく直結すると、地面の動きが配管を通じて機器を引っ張り、継ぎ目が折れます。逆に機器を固定しなければ、機器そのものが動いて転倒します。
求められる状態は最後にまとめられています。破損、移動、転倒等を生じないこと。等という語が付いているので、示された2つに限られるわけでもありません。
点検で見るところも決まります。継手が硬化していないか、アンカボルトが緩んでいないか。この2つが効いていなければ、ポンプが健全でも地震後に水は出ません。
逃がす所と留める所を分けるのですね。
措置の性格が正反対です。
接続部と固定部を、図面で確かめてください。
よくある質問
まとめ
- 予備動力設備の兼用は両方の容量を同時に満足する場合に認められます
- 発電所は自家発基準と同等以上と認められる場合、予備動力設備は必要ありません
- 消火設備の水源は必要量を超える部分を加算できます
- 水道配水管による補水は認められません
- 自然水利を代替とする場合は設置したとみなして数を算出し手数料を徴収します
- 配管と機器の接続部は可とう性のある継手でつなぎます
- 加圧ポンプ等はアンカボルト等で基礎に堅固に固定します
自分で状態を保てるものしか数えられない、という筋なのですね。
すっきりしました。
既存の水源と必要量を並べて書き出すところから始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令の運用に係る資料の送付について(昭和53年3月9日 消防地第42号 消防庁地域防災課長から関係都道府県消防防災主管部長あて回答)
- 消火用屋外給水施設の設置に関する運用指針について(昭和52年10月6日付け 消防地第204号 消防庁地域防災課長通達)
- 石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令
- 危険物の規制に関する規則
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答には昭和50年代のものが含まれ、条番号や機関の名称等は当時のものです。個別の事案についての適用は、所轄消防署または自治体にご確認ください。




