階段が1つしかない建物には、特定一階段等防火対象物という重い区分がかかります。
自動火災報知設備にも上乗せの決まりがあり、その1つが再鳴動機能です。
音を止めても、次の信号でまた鳴る。それが階段1つの建物では特に大事になります。
質疑応答が示したのは機能が確保されているかで判断するという線引きです。
うちのビルは階段が1つで、受信機の再鳴動機能を指摘されました。
今の受信機では駄目なのでしょうか。
すぐ交換とは限りません。
放送設備の作り方によっては再鳴動機能を要さないという回答もあります。
階段の感知器も増やすように言われています。
そこは階段の区画の作り方で結論が分かれます。
5つの回答を順に見ていきます。
- 工業会の型式リストに示された型式は再鳴動機能を有する受信機と見なして差し支えないとされました
- 階段室の感知器は区画の作り方によって対象になる階段が変わります
- 放送設備を連動させ地区音響停止スイッチで警報が止まらない場合は再鳴動機能を要しません
- 主要な避難口に容易に避難できるとは別の室を経由せずに避難できること等をいいます
- 携帯電話は消防機関へ常時通報することができる電話に含まれません
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目次
型式リストの受信機は再鳴動機能を有するとみなせるか

そこで工業会から型式のリストが示され、その扱いが問われました。
回答は一言です。ただ、実務上の意味は大きいところです。
再鳴動機能を有するかどうかを個別に検証するのではなく、工業会が示したリストに載っていれば有するものとして扱ってよい、という整理になりました。
注意したいのは時期です。このリストは平成15年7月に示されたもので、今の製品はそのまま載っていません。当時の考え方として読むのが正しい使い方です。
自分の建物でやることは1つです。受信機の型式を点検票から拾い出し、再鳴動機能があるかを業者に確認してもらう。そこから話が始まります。
まず型式を調べればいい、ということですね。
そこが出発点です。
点検票に受信機の型式が書かれているか見てみてください。
階段室の感知器は垂直距離7.5メートルごとに要るか

そして階段が2つ以上ある建物では、どの階段が対象になるのかが問われました。
(図は4つの例。いずれも階段が2つ以上あり、階段の間の区画が「避難上有効な開口部を有しない壁」の場合と「令第8条区画」の場合とに描き分けられている)
(2) 階段Aのみお見込みのとおり。
(3) 階段A及び階段Bともにお見込みのとおり。
(4) 階段Bのみお見込みのとおり。
4つの例で、対象になる階段が入れ替わっています。両方とも対象になる例、片方だけの例が混ざっています。
違いを生んでいるのは図の凡例です。単なる避難上有効な開口部を有しない壁なのか、令第8条区画なのか。この2つが描き分けられています。
つまり壁の性能によって階段の位置づけが変わるということです。感知器の間隔だけを見ていても答えは出ません。
自分の建物に当てはめるときは、図面で階段まわりの区画がどちらなのかを確かめてから所轄に相談してください。この回答は図が前提なので、言葉だけを持って行くと話がかみ合いません。
うちの階段まわりの壁がどちらなのか、図面を見ないと分かりませんね。
そのとおりです。
竣工図の平面図と防火区画図を持って相談に行ってください。
放送設備があれば再鳴動機能は要らないか

では、警報を放送設備で出している場合はどうなるのか。
理屈は素直です。再鳴動機能は、止めた警報が鳴り直すための機能です。
放送設備が自動火災報知設備の作動と連動していて、地区音響停止スイッチを操作しても警報が止まらないのであれば、止まったままになる心配はありません。
だからスイッチが設けられていないものとみなし、再鳴動機能を要しないと整理されました。機能で見るという考え方が、ここでもそのまま出ています。
確かめる順番は決まっています。放送設備が規則第25条の2によって設置されているか。そして自火報の作動と連動しているか。この2点が満たされていなければ、この整理には乗れません。
放送で鳴っているなら止まらない、だから鳴り直す仕掛けも要らないということですね。
その理解で合っています。
ただし連動が前提です。
放送設備が自火報と連動しているか点検票で確かめてください。
主要な避難口に容易に避難できるとはどういうことか

その容易にという言葉が、具体的に何を指すのかが問われました。
1つ目は別の室を経由せずに主要な避難口へ出られること。まっすぐ出られる形です。
2つ目が実務では効きます。別の室を通る場合であっても、容易に避難経路が分かることであればよいとされました。
つまり構造を変えなくても、経路が分かる状態を作れば条件を満たし得るということです。避難経路図の掲示や表示の工夫がここに効いてきます。
防火管理者が直接動かせる部分です。テナントの模様替えで通路がふさがると、この条件から静かに外れます。年に一度は自分の足で歩いて確かめてください。
工事をしなくても表示で満たせる場合がある、というのは知りませんでした。
容易に分かること、と書かれていますからね。
年に一度は自分の足で避難経路を歩いてみてください。
携帯電話は消防機関へ常時通報することができる電話に含まれるか

その電話に携帯電話が入るのかが問われました。
回答は含まれないの一言で、例外や条件は付いていません。
理由までは書かれていませんが、手がかりは常時という言葉です。持ち出される、充電が切れる、電波が届かない場所がある。そうした事情のある機器では、いつでも通報できる状態を担保しにくいという読み方ができます。
ここから先は条文の解釈になるので、個別の建物で何が根拠になるかは所轄の判断です。
自分の建物でやることは1つです。免除の根拠になっている電話がどこの何なのかを確かめる。全員が携帯電話を持っているから足りる、という話にはなりません。
全員が携帯電話を持っていれば足りると思っていました。
そこは明確に否定されています。
免除の根拠になっている電話がどこの何なのか確かめてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
よくある質問
まとめ
受信機を替える前に確かめることがあると分かりました。
すっきりしました。
受信機の型式、放送設備との連動、そして階段まわりの区画。
この3つを図面と点検票で押さえてから相談してください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成15年9月9日 消防予第232号 予防課長から各都道府県消防主管部長あて)
- 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成22年3月31日 事務連絡 予防課から各都道府県消防防災主管課ほかあて)
- 複合用途防火対象物における自動火災報知設備の取扱いについて(平成14年12月17日 消防予第595号)
- 消防法施行規則第23条第4項第7号
- 消防法施行規則第24条第2号ハ
- 消防法施行規則第25条の2
- 消防法施行令第23条第3項
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は平成15年および平成22年当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





