同じような建物でも、細部が違えば用途区分も変わります。
物置は防火対象物に含まれるのか。卓球場はどの項に当たるのか。
百貨店とマーケットは、何が違うのか。
質疑応答が示したのは用途区分は建物の使われ方の実態を1つずつ確認して決まるという考え方です。
庭に建てた物置にも、消防法上の規制がかかるんですか。
個人の私生活で使うものなら
防火対象物には含まれません。
百貨店とマーケットって、何が違うんですか。
それも含めて5つの事例を順に見ていきます。
この記事の結論
- 個人の私生活に使う物置は防火対象物には含まれません
- 床面積500㎡前後の卓球場は令別表第1(2)項ロの遊技場に該当します
- 百貨店とマーケットは規模で区別されます
- 住宅の一部を寄宿舎として貸せば消防用設備等の規定が適用されます
- 共用廊下がある共同住宅は棟全部が規制対象になります
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目次
住宅に付属する物置は防火対象物に含まれるか

では、住宅の敷地にある物置も、その工作物に含まれるのか。
問 消防法施行令第10条第1項第4号の「別表第1に掲げる建築物その他の工作物」とは、消防法施行令別表第1各項の用途に供する建築物その他の工作物と解するが、住宅に附属する物置(住宅に接続するもの又は別棟のもの)はこれに含まれるか。
答 当該住宅に接続すると否とにかかわらず、個人の住宅に附属する物置等で個人の私生活の用に供されるものは、消防法施行令別表第1の防火対象物には含まれない。
判定の鍵は、個人の私生活の用に供されるものかどうかです。住宅にくっついていても、別棟になっていても、そこは判定を左右しません。
逆に言えば、私生活の用途を外れて事業や賃貸に使われていれば、この除外は使えなくなります。
自分の敷地にある物置を確認するなら、接続の有無ではなく、何のために使っているかを整理してください。
別棟でも、私生活用なら含まれないんですね。
その通りです。
何のために使っているかを整理してください。
卓球場は令別表第1の何に該当するか

実際に照会があった具体例を見れば、判断の目安がつかめます。
問 山形市内に卓球場(床面積500平方メートル前後)ができることとなつたが、これは消防法施行令別表第1の何に該当するか。
答 同表(2)項ロの遊技場に該当する。
卓球場は令別表第1(2)項ロの遊技場として扱われました。娯楽・遊技のための施設という位置づけです。
同じように「スポーツをする場所」でも、区分は用途の実態で決まります。名称からの連想だけで判断すると外すことがあります。
新しくスポーツ・娯楽系の施設を計画しているなら、名称ではなく実際の利用形態を伝えたうえで所轄消防署に区分を確認してください。
スポーツ施設でも遊技場扱いになることがあるんですね。
そうです。
実際の利用形態を伝えて確認してください。
百貨店とマーケットはどう区別されるか

消防法上、この2つはどう線引きされているのか。
問 消防法施行令別表第1(4)項の百貨店およびマーケツトの定義について教示ねがいたい。
答 消防法施行令別表第1(4)項の百貨店とは、百貨店法(昭和31年法律第116号)に基づく百貨店及びこれと類似する販売形態をとり、かつ、これと同等以上の規模を有する店舗又は店舗の集団をいう。マーケツトとは、多種類の物品を、一つの建築物又は工作物の内部において集団的な店舗の形態で販売する施設で、共通の出入口及び通路を有するものをいう。なお、販売形態は百貨店法に基づく百貨店と類似しているが規模がそれに達しないものはマーケツトに含まれると解する。
両方とも「多種類の物品を集団的な店舗形態で売る」という点は共通です。違いは百貨店法上の百貨店と同等以上の規模かどうかにあります。
その規模に届かないものは、百貨店ではなくマーケットに含まれると解されています。区分の境目は面積や販売形態の一致度で決まるということです。
複数のテナントが集まる商業施設を計画しているなら、規模の面で百貨店に近いのかマーケットにとどまるのか、判断材料を整理して相談してください。
売り方が同じでも、規模で名前が変わるんですね。
その通りです。
規模の面で判断材料を整理して相談してください。
住宅の一部を寄宿舎として貸せば規制されるか

その一部を会社が借りて寄宿舎にしていたら、扱いは変わるのか。
問 2階建の木造瓦葺文化住宅(12戸構成)が同一敷地内に2棟並行してあり、各棟の各戸に個々の出入口、廊下、炊事場、階段及び便所があつて、その限りでは個人住宅と解されるが、2棟のうち1棟は某会社が借りて寄宿舎として使用している。この場合、後者の1棟には消防用設備等の規定の適用があるか。
答 寄宿舎として取り扱うべきであり、したがつて、消防用設備等の規定の適用がある。(理由)消防法第17条の消防用設備等の義務設置防火対象物は、用途を中心にして規定されているからである。
理由として挙げられているのは、用途を中心にして規定されているという考え方です。構造が同じでも、実際の使われ方が寄宿舎なら寄宿舎として扱われます。
つまり、個人住宅の形をしていることは、規制を外れる理由にはなりません。
自分の建物の一部を第三者に貸すなら、貸した後の使われ方が変わっていないかを確認してください。使途が変われば区分も変わります。
建物の形ではなく使われ方で決まるんですね。
その通りです。
貸した後の使われ方を確認してください。
共用廊下がある共同住宅は一部だけが規制されるか

2階だけが廊下を共有している場合、規制されるのは共用部分だけなのか。
問 上記の寄宿舎でない1棟について、2階の部分が廊下を共有する構造である場合は、共同住宅としての規制が、2階の部分についてのみあるのか、それとも1棟全部についてあるのか。
答 1棟全部が共同住宅として規制されるものと解する。
共用廊下があるのは2階部分だけでも、共同住宅としての規制は1棟全部に及びます。共用部分がある階だけを切り出して考えることはできません。
つまり、一部にでも共用の廊下・階段があれば、その建物は全体として共同住宅の扱いを受けるということです。
自分の建物で一部の階だけ共用廊下があるなら、その建物全体が共同住宅として規制される前提で消防用設備等を確認してください。
2階だけの話かと思ったら、建物全体の話だったんですね。
その通りです。
建物全体が規制対象になる前提で確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
よくある質問
Q住宅から離れた別棟の物置も規制対象外になりますか?
A回答は、住宅に接続すると否とにかかわらず、個人の私生活の用に供されるものなら含まれないとしています。
Q遊技場に当たる施設は卓球場のほかにもありますか?
Aこの事例では卓球場が令別表第1(2)項ロの遊技場に該当するとされています。他の施設は実態に応じて個別に判断されます。
Qマーケットの規模が大きくなれば百貨店扱いになりますか?
A回答は、百貨店法に基づく百貨店と同等以上の規模を有するものを百貨店としています。規模がそこに達すれば百貨店側の扱いになり得ます。
Q寄宿舎として使われる棟は誰が判断しますか?
A回答は、消防用設備等の義務設置防火対象物は用途を中心にして規定されているとしています。実際の使われ方をもとに判断されます。
まとめ
✔個人の私生活に使う物置は防火対象物には含まれません
✔卓球場のような施設は令別表第1(2)項ロの遊技場になり得ます
✔百貨店とマーケットは規模で区別されます
✔住宅の形をしていても用途が変われば規制も変わります
✔共用廊下があれば棟全部が共同住宅として規制されます
✔共通するのは名称ではなく実態で判定されるという点です
✔迷ったら使われ方を整理してから所轄消防署に相談してください
細かい違いで区分が変わるの、面白いですね。
うちの建物も一度整理してみます。
用途・規模・使われ方。
この3つを押さえておけば区分の相談がスムーズです。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 住宅に附属する物置は建築物その他の工作物に含まれるか(昭和38年10月8日 自消丙予第66号 予防課長から北海道総務部長あて回答)
- 卓球場は消防法施行令別表第1の何に該当するか(昭和39年5月9日 電話回答)
- 百貨店、マーケツトおよび店舗の相違について(昭和40年6月2日 自消丙予第100号 予防課長から東京消防庁予防部長あて回答)
- 文化住宅が防火対象物として取り扱われる事例について(昭和38年10月8日 自消丙予第64号 予防課長から大阪府枚方寝屋川消防組合消防長あて回答)
- 消防法施行令別表第1
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





