消防用設備等の基準は、建物を建てたときのものがそのまま続くとは限りません。
用途が変わったとき、増築したとき、基準そのものが改正されたとき。
既存の建物にどこまで新しい基準が及ぶのかは、そのつど判断が必要です。
質疑応答が示したのは建物の実態が変わった部分にだけ新基準が及ぶという考え方です。
うちの結婚式場、披露宴以外にも一般宴会に使っています。区分は変わりますか。
使い方が似ていても、
区分は簡単には変わりません。
増築でとなりの建物と一棟になったら、設備の基準はどうなるんですか。
それも含めて5つの事例を順に見ていきます。
- 結婚会館は宴会場との併用があっても令別表第1(1)項のままです
- ホテルは「旅館」に含まれる特定防火対象物として扱われます
- 既存の熱感知器は期限までに煙感知器等への適合が必要です
- 増築で複数の建物が一棟になった場合は延べ面積の大きい建物を主体に増築規模を判断します
- 主たる用途に機能的に従属する改装は用途変更にはあたりません
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目次
結婚会館は宴会場としての実態から区分を変えられるか

実態は一般宴会場に近いから、別の項にできないかという相談です。
一般宴会場としての利用が多く、使用頻度や利用者数が近いという事情があっても、(13)項ロへの変更は認められませんでした。区分は建物の主たる性格で決まり、稼働実態の近さだけでは動きません。
収容人員の算定が実態と合わないと感じても、それ自体は区分変更の理由にはならないということです。
結婚式場・宴会施設を運営しているなら、区分そのものを動かそうとするのではなく、(1)項を前提に設備計画を立ててください。
実際の使われ方が近くても、区分そのものは動かないんですね。
その通りです。
(1)項を前提に設備計画を立ててください。
ホテルは「旅館」に含まれる特定防火対象物か

名称の違いが扱いにどう影響するのかという問いです。
「旅館」という言葉自体には、形式的にはホテルは含まれません。しかし消防法施行令第34条の4という別の条文が、ホテルを特定防火対象物として直接指定しています。
つまり、条文中の言葉づかいだけを見て「うちは旅館じゃないから対象外」と判断するのは危険だということです。
宿泊施設の名称にかかわらず、自分の施設が令第34条の4に列挙されている用途に当たらないか、名称ではなく条文本体で確認してください。
「旅館」という言葉だけで判断してはいけないんですね。
そこが要点です。
名称ではなく条文本体で確認してください。
既存の熱感知器はいつまでに交換が必要か

既存の設備をいつまでにどう合わせればよいのかという実務上の問いです。
問いにあった「増改築のときにまとめて直せばよい」という考え方は採用されませんでした。昭和50年11月30日という期日までに、特定防火対象物は基準に適合させる必要があります。
ただし救済もあります。高感度の熱感知器を技術上の基準に従つて設置しているなら、令第32条を適用して当分の間そのままでよいとされました。
既存の熱感知器を残したい場合は、それが規則第23条第6項第1号に定める高感度型かどうかを、点検業者に確認してください。
高感度型なら交換しなくてもよい場合があるんですね。
そこは点検業者に確認してください。
高感度型かどうかで扱いが変わります。
増築で複数の建物が一棟になった場合はどう数えるか

その増築規模をどう数えるかで、設備の要否が変わってきます。
Cという400平方メートルの増築だけを見れば小さく見えます。しかし答えが選んだのはB+Cを合わせて増築とみなす考え方でした。単独では届かない規模でも、合算すれば基準に達することがあります。
その合算の起点は、延べ面積の大きいほうの建物を主体にするとされています。今回ならAが主体で、B+Cが増築分という扱いです。
隣接する既存の建物をつなげる増築を計画しているなら、増築部分の面積だけでなく、隣の建物の延べ面積を合わせた規模で設備の要否を確認してください。
増築部分だけでなく隣の建物の面積まで合わせて見るんですね。
その通りです。
隣の建物の延べ面積を合わせた規模で確認してください。
地階を駐車場に改装するのは用途変更にあたるか

建物の一部だけの改装でも、それは「用途変更」にあたるのかという問いです。
駐車場は主たる用途である事務所に機能的に従属するものとされ、建物全体としての用途変更にはあたりません。ただし、それで話が終わるわけではありません。
新しく設けた駐車場という空間自体には、新築時と同じ基準(法第17条第1項)が適用され、特殊消火設備の設置を要するとされています。建物全体の話と、新しくできた部分の話は別ということです。
建物の一部を改装する計画があるなら、「用途変更にはあたらない」で安心せず、改装した部分そのものに新しい基準の設備が要るかどうかを別途確認してください。
建物全体の話と、改装した部分の話は別なんですね。
その通りです。
改装した部分に新基準の設備が要るか別途確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
よくある質問
まとめ
増築や改装のたびに確認することが増えそうですが、
筋道は分かりました。
建物全体の話と、変わった部分の話を分けて考える。
これだけ押さえれば大きくは外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 結婚会館は消防法施行令別表第1の何項に該当するか(昭和50年6月16日 消防安第65号 安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 特定防火対象物における消防用設備等の遡及適用について(同日 同号)
- 消防法施行令第34条の4
- 消防法施行規則第23条第6項第1号
- 消防法施行令別表第1
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和50年当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





