建物の一部だけが変わっても、消防法上の扱いは複雑に絡み合います。
高架下の商店街全体、組立式の簡易倉庫、共同住宅を含む複合施設。
従属的な部分という考え方も、判定のあちこちに登場します。
質疑応答が示したのはまとまりや従属関係を実態に沿って線引きするという考え方です。
高架下の商店街、お店ごとに別々の防火対象物として扱われるんですか。
一つの街区にまとまっていれば、
街区全体で一つの防火対象物です。
「従属的な部分」って、具体的にどう判断するんですか。
それも含めて5つの事例を順に見ていきます。
- 高架下の商店街が一街区にまとまっていれば街区全体で(4)項に該当します
- 組立式のビニール倉庫は建築基準法上の仮設の建築物と認められます
- (16)項イの中の共同住宅は特例基準に適合すれば誘導灯を除き令第32条を適用できます
- 令別表第1の改正で項が変わった店舗にも新基準が遡及して適用されます
- 主たる用途への従属は管理権原・利用者・利用時間の3条件で判断します
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目次
高架下商店街は街区全体で一の防火対象物になるか

今回は視点を変えて、街区全体の建物としての扱いを見ていきます。
区画された個人商店が並んでいても、一街区を形成しているなら、その街区全体で1つの(4)項防火対象物として扱われます。店舗ごとにバラバラに防火対象物が分かれるわけではありません。
つまり、消防用設備等の設置単位も、個々の店舗ではなく街区全体を基準に考えることになります。
高架下や横丁のような密集商店街に店を出しているなら、自分の店だけでなく街区全体としての設備状況を管理組合等に確認してください。
設備の話も街区全体で考えるんですね。
そうです。
街区全体としての設備状況を確認してください。
組立式のビニール倉庫は建築基準法上の建築物か

柱・壁・屋根を持つ以上、建築基準法上の建築物にあたるのではという疑問です。
柱・壁・屋根を持つ以上、建築基準法上の建築物であることは否定されません。ただし「仮設の建築物」として扱われるため、指定区域内での設置自体は可能とされました。
一方で、火災予防の観点からの注文もついています。延焼のおそれがある区域では、屋根材等を不燃性の材料とすることが望ましいとされました。義務ではなく推奨という位置づけです。
組立式の簡易倉庫を検討しているなら、設置区域が指定区域に当たるかを確認したうえで、屋根材は不燃性のものを選んでおくと安心です。
不燃性の屋根材は義務ではなく推奨なんですね。
その通りです。
屋根材は不燃性のものを選んでおくと安心です。
(16)項イの中の共同住宅は令第32条で設備を免除できるか

その場合、誘導灯や自火報まで免除できるのかという問いです。
自動火災報知設備や非常警報設備等は令第32条の適用で免除できますが、誘導灯だけは除かれるという条件付きの回答です。設備の種類をひとまとめにして考えることはできません。
つまり、特例基準への適合を確認するときは、設備ごとに免除できるかどうかを個別にチェックする必要があります。
複合用途の建物に共同住宅部分があるなら、誘導灯だけは特例の対象外という前提で設備計画を立ててください。
誘導灯だけ特別扱いなんですね。
その通りです。
設備ごとに免除できるか個別に確認してください。
項の区分が変わった店舗にも新基準は遡及するか

この改正で項が変わった既存の店舗にも、新基準は及ぶのかという問いです。
建物自体は変わっていなくても、令別表第1の改正で所属する項が変わっただけで、消防法第17条の3による遡及適用の対象になります。
つまり、自分の建物が何も改装していなくても、法令の区分そのものが変われば新しい基準への対応が必要になるということです。
過去に令別表第1の改正で自分の店舗の該当項が変わった経緯があるなら、その時点から現在までの基準改正を遡ってチェックしてください。
建物が変わらなくても、項の変更だけで基準が動くんですね。
その通りです。
過去の改正まで遡ってチェックしてください。
主たる用途に従属していると認められる条件とは

その判断基準そのものを定めた通達があります。
挙げられているのは管理権原・利用者・利用時間の3つです。この3つがそろって主たる用途とほぼ同一なら、従属的な部分として扱われます。
あわせて、飲食店等(3)項の建物にある宴会場の用途は、それ自体が主たる用途に供される部分とされました。宴会場を別用途として切り出す必要はないということです。
自分の建物に、事務所に付属する売店や食堂のような部分があるなら、この3条件に照らして従属的な部分と言えるかを確認してください。
管理権原・利用者・利用時間、この3つを見ればいいんですね。
そうです。
この3条件に照らして確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
よくある質問
まとめ
従属の判断基準がはっきり分かりました。
うちの建物にも当てはめてみます。
管理権原・利用者・利用時間の3条件は、
色々な場面で応用できる考え方です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令別表第1(4)項の解釈について(昭和50年2月12日 消防安第14号 安全救急課長から大分県福祉生活部長あて回答)
- 組立式簡易倉庫(ビニール倉庫)は建築基準法上の建築物といえるか(昭和49年12月28日 消防安第136号 安全救急課長から茨城県あて回答)
- 消防法施行令別表第1(16)項イの対象物の中に共同住宅がある場合の特例基準適用について(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号 予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 用途の変更に伴う消防用設備等の技術上の基準の適用について(同日 同号)
- 主たる用途に供される部分に機能的に従属していると認められる条件とは(昭和50年11月5日 消防安第158号 消防庁安全救急課長から東京消防庁総監あて回答)
- 消防法施行令別表第1
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





