消防用設備等の基準は、いつの時点のものが適用されるのか。
基準より多めに設備を入れたら、その分の維持義務はどうなるのか。
渡り廊下でつながった建物は、1棟として扱われるのか。
質疑応答が示したのは基準の適用は工事の着手時点で固定され、あとから動かせないという考え方です。
うちの建物、確認申請より前に工事を始めていたと聞きました。
基準はどっちが適用されるんですか。
工事の着手が基準時より前だと明白なら、
従前の規定が適用されます。
「工事」っていつからを指すんですか。
確認申請の日ですか。
そこも含めて、5つの回答を順に見ていきます。
- 工事の着手が基準時より前と明白なら従前の規定が適用されます
- 工事の始期はくい打ち・根切等の実際の着手時点を指します
- 基準を超えて自主的に設備を追加しても技術上の基準に従う維持義務があります
- 点検結果の報告は検査票と維持台帳の写しを示させるのが望ましいとされています
- 通路でつながった建物は防火戸を設けても別棟にはできません
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目次
基準時より前に着工していた建物はどうなるか

では、改正前から工事を始めていた建物には、どちらの基準が及ぶのか。
条件はただ1つ、工事の着手が基準時以前であることが明白かどうかです。
確認申請を受けていたかどうかではなく、実際に工事が始まっていたかどうかで見られています。逆に言えば、明白でなければこの扱いは使えません。
自分の建物が古い基準のままでよいと考えているなら、着工時期を裏づける記録(工事契約書・着工届等)を確認しておいてください。
確認申請の有無ではなく、実際の着工日で見るんですね。
その通りです。
着工時期を裏づける記録を確認しておいてください。
「工事中」の始期はいつを指すか

では、その「着手」とは、具体的にどの時点を指すのか。
問いに挙がった3つの候補のうち、答えが選んだのはくい打ち・根切等の実際の着手です。確認申請の日でも、消防用設備等の着工日でもありません。
建物本体の工事がいつ始まったかで、基準の世代が決まるということです。
自分の建物の年式を調べるなら、確認申請日ではなく、くい打ちや根切の記録が残っていないかを探してください。
確認申請の日で決まるものだと思っていました。
そこがよくある誤解です。
くい打ちや根切の記録が残っていないか探してください。
基準より多く設備を入れても維持義務は生じるか

それを超えて自主的に設備を足した場合、その分にも義務がかかるのか。
自主的に足した設備であっても、技術上の基準に従つて設置されているなら、その基準どおりに維持する義務があるという答えです。
「義務でつけたものではないから、壊れていても放置してよい」という理屈は通りません。基準に沿って作った以上、基準に沿って維持することが求められます。
必須の範囲を超えて設備を足しているなら、その部分も点検の対象に含めてください。除外してよい理由にはなりません。
任意で足した設備でも、点検の対象から外れないんですね。
そこが分かれ目です。
自主的に足した部分も点検の対象に含めてください。
点検結果の報告はどう行えばよいか

では、その報告は具体的にどう進めればよいのか。
挙げられているのは検査票と維持台帳の写(またはその概要)です。これを呈示させたうえで、不具合があった場合にとった措置の内容を書面で報告させる、という流れです。
点検をやりっぱなしにせず、結果と対応の記録を書面に残すことが前提になっています。
自分の建物では、点検業者から受け取っている書類が検査票と維持台帳の両方を兼ねているか、一度確認してください。片方しか残っていないと、報告のときに困ります。
検査票と維持台帳、両方揃っているか確認します。
それが確実です。
片方しか無いと報告のときに困ります。
通路でつながった建物に防火戸を設ければ別棟にできるか

では、途中に防火戸を挟めば、その先を別棟にできるのか。
自動閉鎖装置付の甲種防火戸を設置しても、それは区画としての効果を持つだけで、建物としての扱いを分ける効果はありません。
つまり、渡り廊下でつながっている限り、防火戸の有無にかかわらず設置単位は1棟のままだということです。
延べ面積を合算すると設置基準を超えてしまう建物をお持ちなら、防火戸の追加では解決しません。棟の切り離しそのものが必要かどうか、別の観点から検討してください。
防火戸を付ければ別棟扱いになると思っていました。
それはできません。
渡り廊下でつながっている限り設置単位は1棟のままです。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
よくある質問
まとめ
基準がいつ決まるか、義務がどこまで及ぶか、よく分かりました。
台帳を見直してみます。
着工の記録、追加設備の有無、つながっている建物の有無。
この3つを押さえておけば迷いにくくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 基準の適用について(昭和44年11月20日 消防予第265号 予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
- 建築物相互間が接続されている場合の消防用設備等の設置単位について(昭和48年3月12日 消防予第46号 予防課長から宮崎県あて回答)
- 消防用設備等の設置単位について(昭和38年9月21日 自消丙予第57号)
- 消防法施行令附則第2項
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





