非常警報設備は、付ければ終わりという設備ではありません。
どこで火災を知り、何をきっかけに鳴らし、どれだけの音量を出すのか。
図面には結果だけが載っていて、その手前の考え方までは書かれていません。
質疑応答が示したのは鳴らすまでの道すじにも1つずつ答えがあるという整理です。
うちの建物はスプリンクラー設備があって自動火災報知設備が免除されています。
放送設備は何をきっかけに鳴らせばよいのでしょうか。
きっかけになる装置が示されています。
出火階の判断はスプリンクラー設備の作動表示装置によるものとされました。
放送室が受信機のある部屋と別の階にあります。
これは直さないといけませんか。
必ずしも直す必要はありません。
副受信機とインターホン等で補える場合があります。
5つの質疑を順に見ていきます。
- 自動火災報知設備が免除された建物の出火階はスプリンクラー設備の作動表示装置によって判断します
- 音響を発する装置を付加する場合は原則として連動とし非常ベル等を付加した放送設備には各階に起動装置が要ります
- 放送室と受信機が離れていても副受信機とインターホン等で連絡できる場合はこの限りでないとされました
- 放送設備の音量は1メートル離れて90ホン以上とされ一定の周波数を基準にしなければ計測できないとされました
- 自主的に設置した非常警報設備に非常電源の附置義務はないとされました
▼
目次
自動火災報知設備が免除された建物では出火階をどう知るか

では放送設備は、どこの階で火が出たと知るのか、という問いです。
(1) 出火階を判断する手段についてはどうか。
(2) 規則第25条の2第1項に定める音響を発する装置を付加する場合、スプリンクラー設備の作動と連動させるべきか。
(3) 非常ベル等を付加した放送設備には各階に起動装置を設ける必要があるか。
(2) 原則として連動とするものであること。ただし、規則第25条の2第2項第2号ただし書きに準ずる場合は、この限りでない。
(3) 設ける必要がある。
自動火災報知設備が免除されている建物では、火災を最初につかむのはスプリンクラー設備です。出火階を判断する手段は作動表示装置によるものであるとされました。
規則第25条の2第1項に定める音響を発する装置を付加する場合は、原則として連動とするものであるとされています。ただし規則第25条の2第2項第2号ただし書きに準ずる場合は、この限りでないとされました。
非常ベル等を付加した放送設備については、各階に起動装置を設ける必要があるとされています。付加したぶんだけ、手で鳴らす口も各階に要るという整理です。
自分の建物でやることは1つです。系統図を出して、スプリンクラー設備の作動表示装置から放送設備までが線でつながっているかを指でたどってください。つながっていなければ、出火階を知る手立てが無いことになります。
自動火災報知設備が無いのに出火階が分かるのか不思議でした。
代わりに見るのが作動表示装置です。
どの区域のヘッドが開いたかがそこに出ます。
放送室と受信機が離れているときはどうつなぐか

古い建物ではよくある配置で、これをどうすべきかという問いです。
いちばん望ましいのは、受信機のある場所でそのまま放送もできる形です。火災を知った人がその場でマイクを握れるからです。
ただし既存の放送室を動かすのは容易ではありません。回答は、常時人のいる放送室に副受信機を置き、受信機のある場所と相互にインターホン等で連絡できる場合はこの限りでないとしました。
条件は2つ重なっています。放送室に人が常時いること、そして両方の場所が相互に連絡できることです。片方だけでは足りません。
自分の建物でやることは1つです。放送室に副受信機があるか、受信機のある場所との間に通話できる手段があるかを、実際に受話器を取って確かめてください。
放送室を丸ごと移すしかないと思い込んでいました。
移さずに済む道が示されています。
人がいることと連絡がつくことの2つが揃えばこの限りでないとされました。
放送設備の90ホンはどうやって測るのか

ところが測ろうとすると、何を鳴らして測るのかが問題になります。
放送設備の音量は1メートル離れて90ホン以上とされています。距離と数値は示されていますが、それだけでは測れないというのが問いの中身です。
音の大きさは鳴らす音の高さによって変わります。一定の周波数を基準にしなければ計測できないという見方に対し、回答はお見込みのとおりと答えました。
そのうえで、放送設備の設置に関する通達を参照されたいと続けています。測定の条件は質疑の側ではなく通達の側にあるという案内です。
自分の建物でやることは1つです。点検票に書かれた音量の値が、どの距離でどの音を鳴らして測ったものかを点検業者に聞いてください。条件が書かれていない数字は、次の点検で比べようがありません。
つまり数字だけでは測れないということですね。
そのとおりです。
距離と数値のほかに基準となる周波数が要ります。
自主的に付けた非常警報設備にも非常電源は要るか

その1台にも非常電源まで求められるのか、という問いです。
自主的に設置されている非常警報設備について、非常電源の附置義務はないと答えています。設置そのものが義務ではない以上、付属するものにも義務は及ばないという整理です。
ただし回答はそこで終わっていません。努めて設置するよう指導されたいと続きます。義務ではないが望ましい、という位置づけです。
自主的に付けた設備ほど、停電したときに鳴るかどうかが見落とされます。付けた本人以外は、それが自主設置かどうかも分かりません。
自分の建物でやることは1つです。自主的に付けた警報の鳴り物を紙に書き出して、電源がどこから来ているかを1台ずつ確かめてください。
自主的に付けたものまで指摘されるのかと心配していました。
義務としては求められていません。
ただし努めて設置するよう指導されたいと添えられています。
非常警報器具にはほかにどんなものがあるか

その器具は法令に挙がっているものだけか、という問いです。
令第7条には非常警報器具が例示されていますが、問いはそこに挙がっていないものを尋ねています。
回答はゴング、ブザー等があるとしました。末尾が「等」で締められているとおり、この2つだけに限る趣旨ではありません。
つまり非常警報器具は、名前が法令に載っているかどうかで決まるのではなく、火災を知らせる器具として使えるかどうかで見るということになります。
自分の建物でやることは1つです。今ある鳴り物を非常警報器具として位置づけてよいかどうかは、実物を示して所轄消防署に確かめてください。
倉庫に古いゴングが下がっています。
あれも器具として数えてよいのでしょうか。
回答はゴングを例に挙げています。
実物の状態を見てもらったうえで所轄消防署に確かめてください。
よくある質問
まとめ
何で知って、どこで鳴らして、何で動かすか。
その順に見ればよいのですね。
知る、つなぐ、鳴らす。
この順に図面をたどれば非常警報設備の形が見えてきます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 非常警報設備について(昭和44年11月20日 消防予第265号 予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防法施行令第7条
- 消防法施行令第24条
- 消防法施行規則第25条の2
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和44年当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





