非常警報設備として放送設備を設けるとき、決めることは意外に多くあります。
スピーカーをどこに置くか、増幅器の出力をいくつにするか、配線をどう通すか。
図面には答えが書いてあっても、なぜその形なのかまでは書かれていません。
質疑応答が示したのはスピーカーと増幅器と配線のそれぞれに置き方の目安があるという整理です。
放送設備の図面を見てもスピーカーの数の根拠が分かりません。
テナントの用途ごとに置くものなのでしょうか。
用途ごとではありません。
各階ごとに水平距離25メートル以下で足りるとされています。
増幅器のほうも分かりません。
出力はスピーカーの合計と同じにしておくべきでしょうか。
そこにも示された考え方があります。
近似値としてみてよいとされました。
5つの質疑を順に見ていきます。
- スピーカーの設置基準は用途ごとではなく各階ごとに水平距離25メートル以下で足ります
- 音声入力3ワットの判断は増幅器の出力をスピーカーの出力合計で除した値を近似値としてみます
- 音量調整器はスピーカー側ではなく原則として増幅器側に設けるものとされました
- 増幅器は耐火構造で区画された延焼のおそれのない場所や一階等の常時人のいる場所に設けます
- 1の階が短絡断線しても各階の別配管でもケーブルでもさしつかえないとされました
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目次
複合用途の建物ではスピーカーを用途ごとに置くのか

用途の境目ごとにスピーカーを置き直すのか、という問いです。
令別表第1(16)項は複合用途防火対象物です。同じ階にいくつもの用途が入っていても、スピーカーの配置は用途で区切らず各階ごとに水平距離25メートル以下で足りるとされました。
用途ごとに区切ると、同じ階に同じ範囲を受け持つスピーカーが重なって並ぶことになります。理由までは書かれていませんが、回答はそこまでを求めていません。
自分の建物でやることは1つです。各階の平面図に半径25メートルの円を描いて、階の全体が塗りつぶせているかを見てください。テナントの区画線はいったん消して眺めるのが早道です。
区画ごとに数えるものだと思い込んでいました。
見るのは階の平面図です。
階の全体が届く範囲で覆えていれば足ります。
増幅器の出力はどう判断すればよいか

音声入力3ワットという基準をどう当てはめるか、という問いです。
なお、一般的に実際の設計に当つては、放送形態により増幅器の出力をスピーカーの出力合計値よりかなり小さくとることができる。
増幅器の出力(呼称)をスピーカーの出力合計で除した値が3ワット(1ワット)以上であればよいか、という問いに対し、近似値としてみるならばお見込みのとおりと答えています。
そのうえで実務の話が付け加えられています。放送形態により増幅器の出力をスピーカーの出力合計値よりかなり小さくとることができるとされました。
理由までは書かれていませんが、すべてのスピーカーが同時に最大で鳴り続ける前提で選ばなくてよい、という趣旨と読めます。
やることは増幅器の銘板を見ることです。呼称出力と、その系統につないだスピーカーの合計出力を書き出して、割った値を確かめてください。
合計より小さくてよいというのは意外でした。
あくまで近似値としての見方です。
実際の設計は放送形態に合わせて決めることになります。
音量調整器はスピーカーと増幅器のどちらに設けるのか

その調整器はスピーカーの側なのか増幅器の側なのか、という問いです。
問いは音量調整器をスピーカーに設けるほか増幅器にも設けるものと解してよいか、というものでした。答えは原則として増幅器側に設けるものである、と短く示されています。
理由までは書かれていませんが、調整器の位置は放送の届き方に関わるところです。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。
やることは3線式配線になっているかの確認です。既設の建物なら、音量調整器がどこに付いていて、そこから先がどう配線されているかを一度たどってください。
各部屋のつまみのことだと思っていました。
そちらではないのですね。
回答は増幅器側を原則としています。
点検のときは調整器の位置と配線方式をあわせて見てください。
増幅器はどこに設ければよいか

その「有効な措置」が具体的にどんな場所なのか、という問いです。
挙がっているのは、耐火構造の壁、床又は天井で区画された延焼のおそれのない場所と、一階又は容易に地上に避難できる階の部分等で常時人のいる場所等です。
そこから読み取れるのは、火が回りにくいこと、常時人がいること、地上に出やすいことの3点です。理由までは書かれていませんが、無人の場所へ押し込むだけでは挙げられた例に当てはまりません。
やることは増幅器の現在地の確認です。区画されているか、常時人がいるか、地上へ出やすいか。この3点を見て、当てはまらないようなら移設を含めて相談してください。
うちは地下の機械室に置いてあります。
人はふだんいません。
回答に挙がった例からは離れています。
区画の状況と人のいる時間帯を整理して所轄消防署に相談してください。
1つの階が焼けても他の階に放送は届くか

そこで放送が止まっては、他の階の人に何も伝わりません。
ア 各階に別配管として電線をもつていく。
イ 各階にケーブルでもつていく。
アは各階に別配管として電線をもっていく方法、イは各階にケーブルでもっていく方法です。答えはア、イのいずれでもさしつかえないというものでした。
どちらでもよい、というのがこの回答の要点です。階ごとに独立させる形になっていれば手段までは問われません。
やることは配線図の追い方を変えることです。1の階が失われたときに他の階の系統が残るか、という目で線を追ってください。残らない図なら、そこが直すところです。
つまり階ごとに切り離しておけばよいのですね。
そのとおりです。
別配管でもケーブルでも構いません。
次の点検のときに系統図を確かめてください。
よくある質問
まとめ
スピーカーは階で、増幅器は置き場所で考えればよいのですね。
系統図を出してみます。
階と、出力と、置き場所。
この3つを押さえれば放送設備の図面は読み解けます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 非常警報設備について(昭和44年11月20日 消防予第265号 予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防法施行令第24条
- 消防法施行規則第25条の2
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和44年当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





