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展示室や休止部門は主たる用途になるか|利用実態から見る判定事例5選

展示室や休止部門は主たる用途になるのか

展示だけの部屋、一部だけ休止している設備、宿泊もできる研修所。
「主たる用途は何か」という解釈のとらえ方ひとつで、答えが変わることがあります。
区画で分けさえすれば、免除も自由にできるのか。
質疑応答が示したのは利用実態を見て主たる用途を絞り込むという考え方です。

ビルの一部をショールームにしているんですが、それだけで複合用途になりますか。

使い方によります。
ショーウインド的な利用なら含まれます

区画で分ければ、遡及適用も免除できるんですよね。

それも含めて5つの事例を順に見ていきます。

この記事の結論
  • 貸ビルのショールームがショーウインド的な利用なら事務所部分に含まれます
  • 屋内スポーツ施設の一部門が休止していても区分は変わりません
  • 自動車販売会社の展示室は主たる用途とはみなされません
  • 貸研修所は宿泊室が主たる用途なら(5)項イに該当します
  • 区画で分けても非特定用途部分は現行基準が適用されます

貸ビルのショールームは事務所に含まれるか

貸ビルのテナントが事業所の一部をショーウインド的な利用形態のショールームに使用している場合は事務所部分に含まれ令別表第1(15)項に該当することを示したイメージ
貸ビルのテナントが事業所の一部をショールームに使うことがあります。
そこを主たる用途とみるか、事務所の従属部分とみるかという問いです。
問 貸ビルのテナントであるK社が事業所の一部をショールーム(床面積380平方メートル)に使用している。この場合、当該ショールームを一つの主たる用途とみるか、又はK社事務所((15)項)の従属部分とみるか
答 設問の防火対象物のショールーム部分が、単にショーウインドウ的な利用形態である場合は、当該防火対象物は令別表第1(15)項に掲げる防火対象物に該当するものとして取扱われたい。
見せるだけの利用なら含まれます
ショールームがショーウインドウ的な利用形態、つまり商品を並べて見せるだけの使い方であれば、独立した用途として切り出さず、事務所と同じ(15)項として扱われます。
逆に言えば、そこで実際に接客や販売行為を行うような使い方になれば、判断は変わってくる可能性があります。
自社のショールームを持っているなら、そこで商談や物品の受け渡しまで行っているかどうかを確認してください。見せるだけか、それ以上かが分かれ目です。

「見せるだけ」かどうかが境界線なんですね。

そうです。
商談や受け渡しまで行っているか確認してください

屋内スポーツ施設の一部門が休止していても区分は変わるか

屋内プールアーチェリー場ゴルフボール部門等からなる施設はゴルフボール部門が休止していても令別表第1(2)項ロに掲げる防火対象物に該当することを示したイメージ
屋内プール、アーチェリー場、ゴルフボール部門をあわせ持つ施設があります。
その一部門が休止していることで、区分が変わるのかという相談です。
問 屋内プール、アーチェリー、ゴルフボール部門等からなる施設として取り扱つていたが、ゴルフボール部門(500平方メートル)が現在休止していることから令別表の取り扱いについて教示願いたい
答 設問の防火対象物は令別表第1(2)項ロに掲げる防火対象物に該当するものとして取り扱われたい。
一部門の休止では区分は動きません
ゴルフボール部門が休止していても、施設全体としての区分は令別表第1(2)項ロのまま変わりませんでした。休止は一時的な状態であり、施設の性格そのものを変えるものではないという考え方です。
つまり、稼働率や営業状況の変化だけを理由に区分の見直しを求めても、簡単には認められないということです。
複合スポーツ施設の一部を一時休止しているなら、区分はそのままである前提で、休止部分も含めた設備の維持を続けてください。

休止は一時的な状態だから区分は変わらないんですね。

その通りです。
休止部分も含めた設備の維持を続けてください

自動車販売会社の展示室は主たる用途になるか

自動車販売会社が展示室に新車を展示のみしショーウインド的な利用形態である場合は展示室を主たる用途に供される部分に該当するものとはみなせないことを示したイメージ
事務所と展示室、どちらを主たる用途とみるかで判定結果が変わってくることがあります。
販売に伴う受け渡し行為がないという条件のもとで、答えはどちらに転ぶのか。
問 自動車販売会社で、令別表第1(4)項対象物か、(16)項イ対象物か。当該対象物の実態は展示室に新車を展示しているのみで、販売に伴う物品受渡し行為は行われず、事務所については、販売関係事務及び従業員関係事務を実施しており、不特定者の出入も極めて少ない
答 設問の場合、利用形態から判断して展示室を「主たる用途に供される部分」に該当するものとはみなせない。また、設問の展示室部分が不特定の者の出入りも極めて少なく、直接販売品の受渡し行為がない等、ショーウインド的な利用形態である場合、設問の防火対象物は令別表第1(15)項に掲げる防火対象物に該当するものとして取り扱われたい。
展示室は主役になりません
問いでは「主たる用途」のとらえ方によって(16)項イにも(4)項にもなり得ることが説明されていましたが、答えは展示室を主たる用途とみなさないという立場を取りました。
判断のポイントは、不特定者の出入りが極めて少なく、直接の受渡し行為もない、というショーウインド的な利用実態です。
展示スペースを持つ店舗を運営しているなら、そこで実際に商品の受け渡しをしているか、来店客の出入りがどの程度かを整理したうえで区分を確認してください。

「主たる用途」のとらえ方で結論が変わりうるという前置きがあったんですね。

そこは実態が決め手でした。
受け渡しの有無と出入りの多さを整理してください

貸研修所は宿泊室の扱い次第で区分が変わるか

貸研修所は宿泊室部分を主たる用途の部分とみなす場合は消防法施行令別表第1(5)項イに該当しそれ以外の場合は(16)項イに該当することを示したイメージ
数日間の合宿研修に貸し出す施設があります。宿泊を単独目的とした貸出しはしていません。
それでも宿泊室がある以上、区分はどうなるのかという問いです。
問 下記の対象物は貸研修所として各事業所に貸出しているもので数日間合宿による研修を行つている。(宿泊を必要としない研修にも貸出している。)なお宿泊を単独目的とした貸出しは行つていない。このような対象物は令別表の第何項でとるべきか
答 設問の防火対象物が、宿泊室部分を主たる用途の部分とみなし、その他の部分を従属的な部分とみなせる場合については令別表第1(5)項イに掲げる防火対象物に、その他の場合については令別表第1(16)項イに掲げる防火対象物に該当するものとして取り扱われたい。
宿泊室をどう位置づけるかで答えが分かれます
宿泊室部分を主たる用途とみなし、他の部分(会議室・食堂等)がそこに従属するとみなせるなら(5)項イ、そう言えない場合は(16)項イです。
ここで効いてくるのが、以前の記事で見た従属的な部分の3条件(管理権原・利用者・利用時間)です。宿泊者と会議室等の利用者が重なっているかがポイントになります。
合宿型の研修施設を運営しているなら、宿泊室の利用者とその他の部屋の利用者が同一かどうかを、まず確認してください。

ここでも従属的な部分の考え方が出てくるんですね。

そうです。
宿泊者と他の部屋の利用者が同一か確認してください

区画で分ければ非特定用途部分の遡及適用は免除できるか

特定用途に供される部分とその他の部分を区画した場合でも非特定用途に供される部分については現行の基準が適用され令第32条による遡及適用の免除は認められないことを示したイメージ
特定用途の部分とそれ以外の部分を、耐火構造できちんと区画したとします。
その場合、非特定用途の部分だけ古い基準のままでよいのかという問いです。
問 既存の特定防火対象物で、特定用途に供される部分と、その他の部分を規則で定める区画を施した場合、非特定用途に供される部分については、令第32条の規定を適用して、消防用設備等の遡及適用を免除してよいか
答 設問の場合、特定防火対象物以外の防火対象物の用途に供される部分に対しても現行の基準が適用される。
区画しても免除にはなりません
耐火構造で区画を施しても、非特定用途の部分に現行の基準が適用されるという結論です。令第32条を使った免除は認められませんでした。
つまり、区画さえすれば古い基準のままでよい、という単純な話ではないということです。
特定用途と非特定用途が混在する既存建物を持っているなら、区画工事をしても両方の部分に現行基準が及ぶ前提で計画を立ててください。

区画すれば免除、と思っていましたがそう単純ではないんですね。

その通りです。
両方の部分に現行基準が及ぶ前提で計画を立ててください
㈱防災屋でもご相談を承っています。

よくある質問

Qショールームで商談をしていたら扱いは変わりますか?
A回答はショーウインドウ的な利用形態の場合に事務所部分に含まれるとしています。実態が変われば判断も変わり得ます。
Q一部門を廃止した場合も休止と同じ扱いですか?
Aこの回答は休止している場合について示されたものです。廃止する場合は改めて所轄消防署に確認してください。
Q展示室で不特定者の出入りが多くなったらどうなりますか?
A回答は不特定の者の出入りも極めて少ないことを前提としています。出入りが多ければ実態を見直す必要があります。
Q区画すれば少なくとも点検の手間は減りますか?
A回答は、区画を施しても現行の基準が適用されるとしています。区画は免除の理由にはなりません。

まとめ

ショーウインド的なショールームは事務所部分に含まれます
一部門の休止だけでは区分は変わりません
展示室は主たる用途とはみなされません
貸研修所は宿泊室の位置づけ次第で(5)項イか(16)項イに分かれます
区画しても非特定用途部分は現行基準の適用を免れません
共通する視点は利用実態に基づいて主たる用途を絞り込むことです
迷ったら利用実態を整理してから所轄消防署に相談してください

「見せるだけ」かどうかが軸になるんですね。
うちのショールームも確認してみます。

展示・休止・区画、どれも「それだけでは決まらない」のが共通点です。
実態から見る姿勢を大事にしてください
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 貸ビルの用途による防火対象物の取り扱いについて(昭和52年1月27日 消防予第12号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
  • 複合した消防法施行令別表第1(16)項イとして取り扱つていたスポーツセンターの取り扱いについて(同日 同号)
  • 自動車販売会社が展示室に新車を展示のみしている場合の令別表の取り扱いについて(同日 同号)
  • 貸研修所は消防法施行令別表第何項に該当するか(同日 同号)
  • 既存特定防火対象物で非特定用途に供される部分の消防用設備等の遡及適用について(同日 同号)
  • 消防法施行令別表第1
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和52年当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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