建物同士がつながっているとき、それぞれを別棟として扱えるかどうかは、接続の形によって変わります。
用途が変われば、建物そのものの区分も変わることがあります。
つながり方と、使われ方。
質疑応答が示したのは接続の条件と用途の実態を両方満たしてはじめて別棟や新区分が認められるという考え方です。
元は旅館だった建物を、研修施設として使い始めたら区分は変わりますか。
使われ方次第で
区分は変わります。
地下通路でつながった建物は、別棟にできるんですか。
それも含めて5つの事例を順に見ていきます。
- 元旅館を研修宿泊施設に転用すると令別表第1(16)項イに該当します
- 地下駅舎と一般の建築物が地下連絡路で接続されても別棟にはできません
- 地下駅舎同士の接続は既存のものに限り別棟とみなせます
- 既存建築物同士の地下連絡路接続も条件付きで令第32条を適用できます
- 大型車両のボデイー組立て工場は自動車の修理又は整備の用に供される部分に該当します
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目次
元旅館を研修宿泊施設に転用するとどの項になるか

一部を礼拝場に改造し、客室は少人数のグループ研修に使いながら宿泊もさせています。
候補には(1)項、(5)項、(11)項も挙がっていましたが、答えは(16)項イでした。礼拝場・研修室・宿泊室という複数の用途が同じ建物に混在しているためです。
建物の見た目や由来(もとは旅館)ではなく、いま実際にどう使われているかで判断されています。
用途を転用した建物を持っているなら、新しい使われ方をひとつずつ洗い出したうえで、複合用途になっていないか確認してください。
もとが旅館だったかどうかは関係ないんですね。
その通りです。
新しい使われ方をひとつずつ洗い出してください。
地下駅舎と建築物が地下連絡路でつながれば別棟にできるか

接続部分に防火戸を設けるなどの条件を満たせば、別棟として扱えるのかという問いです。
防火戸や避難階段の条件をどれだけ満たしても、地下駅舎と建築物という組み合わせでは別棟として認められませんでした。
次の問いで見るように、駅舎同士の接続であれば扱いが変わります。組み合わせの種類が結論を左右しているということです。
駅に直結したビルを保有・管理しているなら、別棟化を前提にした設備計画は立てず、駅舎と一体の防火対象物として考えてください。
設備の条件より、組み合わせの種類で決まるんですね。
そうです。
駅舎と一体の防火対象物として考えてください。
地下駅舎同士のつながりなら別棟にできるか

では、駅舎と駅舎という同じ種類の建物同士が地下連絡路でつながる場合はどうなるのか。
組み合わせが駅舎と駅舎だけになると、前問とは違って別棟扱いが認められます。ただし条件は既存のものに限りです。新設の駅舎には使えません。
つまり、同じ「地下連絡路での接続」でも、相手が一般建築物か駅舎かで結論が正反対になるということです。
複数の駅舎が地下でつながっている施設を管理しているなら、それぞれの駅舎が既存のものかどうかをまず確認してください。
相手が駅舎か一般建築物かで結論が逆になるんですね。
その通りです。
既存のものかどうかをまず確認してください。
既存建築物同士の地下連絡路接続はどう扱われるか

接続階にスプリンクラーを設け、開口部も小さく抑えれば、別棟にできるのかという問いです。
「別棟として取り扱ってよいか」という問いへの答えは、まず認められないです。ただし双方の建築物と地下連絡路が全て既存のものであれば、令第32条を適用して、別棟とみなした場合の基準を適用してよいという救済があります。
「別棟とみなす」のではなく「別棟とみなした場合の基準を使ってよい」という、一歩踏み込んだ言い方になっている点に注意してください。
既存の建物同士を地下連絡路でつなぐ計画があるなら、双方の建物と連絡路すべてが既存のものである必要がある、という前提で確認してください。
「別棟」そのものと「別棟の基準」は違うんですね。
そこが読み解きの要点です。
双方の建物と連絡路すべてが既存かを確認してください。
大型車両のボデイー組立て工場は自動車整備工場になるか

車体だけを製造し、シャシーを後から組み込む工場も対象になるのかという問いです。
ボデイーの製造やシヤシーの組立てが中心で、修理と呼べる作業が少なくても、自動車の修理又は整備の用に供される部分に該当するとされました。
新車の荷台加工や中古車の改造といった、狭い意味の「修理」とは違う作業も含めて判断されています。
車両関連の製造・加工を行う工場を持っているなら、修理という言葉のイメージだけで対象外と判断せず、車両を扱う作業全般が含まれる前提で確認してください。
「修理」という言葉のイメージより作業内容の実態で見るんですね。
そうです。
車両を扱う作業全般が含まれる前提で確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
よくある質問
まとめ
接続の相手によって結論が変わるのが意外でした。
うちの建物も整理してみます。
用途の実態、接続の相手、既存か新設か。
この3つを押さえておけば判断しやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 研修室兼宿泊室を多数もつ防火対象物の取り扱いについて(昭和52年3月18日 消防予第45号 予防救急課長から和歌山県総務部長あて回答)
- 地下駅舎と建築物等が地下連絡路で接続されている場合の別棟としての取り扱いについて(昭和52年1月27日 消防予第12号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 双方の既存建築物が地下連絡路で接続されている場合の別棟としての取り扱いについて(同日 同号)
- 自動車修理工場及び自動車整備工場の解釈について(昭和52年3月25日 消防予第50号 予防救急課長から長野県生活環境部長あて回答)
- 消防法施行令第13条・第32条
- 消防法施行令別表第1
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





