貸会議室、会員制の会館、基地内の複合施設。
一見すると判定が難しそうな建物ほど、利用者が誰かという視点が効いてきます。
主たる用途の利用者と同じか、それとも不特定多数か。
質疑応答が示したのは利用者の同一性・関係性で従属か独立かを見分けるという考え方です。
うちのビル、テナントに貸会議室を貸しているんですが、これも複合用途になるんですか。
利用者が誰かによります。
そこが分かれ目です。
会員制の会館みたいなところは、また判断が違うんですか。
それも含めて5つの事例を順に見ていきます。
- 貸会議室は利用者が主たる用途の利用者と同一か密接なら従属する部分とみなせます
- 会員限定で貸出しをしない医師会館は単体で(15)項に該当します
- (16)項イとして措置された厚生施設は利用形態から単体として扱えます
- 不特定者が短期宿泊する自衛隊基地内の施設は(5)項イに該当します
- 売店・飲食店等が集まる基地内の施設は(15)項に該当します
▼
目次
貸会議室は事務所に従属する部分とみなせるか

使う人が誰かによって、扱いが変わるのかという問いです。
管理の形態がどうであれ、利用者が事務所部分の利用者と同一か密接な関係にある限られた人だけなら、その会議室は事務所に従属する部分として扱えます。
つまり、テナント企業の会議や打ち合わせで使う分には、独立した用途として切り出す必要はないということです。
自分のビルで貸会議室を運用しているなら、利用を申し込める相手をテナントや関係者に限定しているかを確認してください。不特定多数が使えるなら話は変わります。
誰でも使えるようにしたら、扱いが変わるんですね。
その通りです。
利用を申し込める相手を限定しているか確認してください。
会員限定の医師会館は単体の防火対象物になるか

研修的な要素が多いことから、別の項で扱えないかという相談です。
ホールや会議室の利用者が会員に限られ、かつ一般に貸出す利用形態をとらないなら、(15)項の単体防火対象物として扱えます。
逆に言えば、会員以外にも部屋を貸し出すようになれば、この扱いは使えなくなる可能性があります。
会員制の会館・組合施設を運営しているなら、部屋の貸出しを会員限定に保っているかを、規約や運用の実態から確認してください。
会員以外にも貸し出すようになったら注意が必要なんですね。
その通りです。
会員限定に保っているか運用の実態から確認してください。
(16)項イとして措置された厚生施設は単体扱いにできるか

ある会社の厚生施設は、複合用途というよりひとまとまりの施設に見えるという相談です。
宿泊室・大会議室・トレーニングセンター・娯楽室・事務所と、用途は複数並んでいますが、利用形態から判断して、複合用途である(16)項イという扱いが維持されました。
単体化を望んでも、建物内の用途構成が複数にわたっている実態がある限り、その実態に沿った区分になるということです。
社員寮・厚生施設のような多目的施設を運営しているなら、単体化を目指す前に、まず現状の用途構成を洗い出してみてください。
希望しても実態が複合用途なら扱いは変わらないんですね。
その通りです。
まず現状の用途構成を洗い出してみてください。
不特定者が短期宿泊する基地内施設はどの項に該当するか

正規の隊員は宿泊しないという特殊な条件のもとで、区分はどうなるのか。
利用者が不特定で、数日単位の宿泊という利用形態から、旅館・ホテル等と同じ(5)項イに区分されました。基地内という特殊な立地でも、判定の軸は変わりません。
つまり、宿泊者が「誰でも」「短期間」利用する施設である以上、寮や社宅とは違う扱いになるということです。
研修施設や体験施設で不特定の人を宿泊させているなら、正規のメンバーが使う寮とは別区分になる前提で確認してください。
宿泊者が不特定かどうかがポイントなんですね。
そうです。
寮とは別区分になる前提で確認してください。
売店・飲食店等が集まる基地内施設はどの項に該当するか

利用者は基地に駐屯する隊員が中心で、外来者も一定数います。
売店・飲食店・ゲームコーナーという複数の用途が1棟にまとまっていても、令別表第1(15)項という単一区分に該当するとされました。
利用者の多くが基地関係者という限定的な客層であることも、この判断の背景にあると考えられます。
同一敷地内で売店・食堂・娯楽施設をまとめて運営しているなら、それぞれを別用途として切り分ける前に、施設全体としての区分をまず確認してください。
用途が混ざっていても、まとめて1つの区分になることもあるんですね。
そうです。
施設全体としての区分をまず確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
よくある質問
まとめ
利用者が誰かで見るという視点、はっきりしました。
うちの貸会議室も見直してみます。
利用者の限定と、貸出しの範囲。
この2点を運用ルールに落とし込んでおくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法施行令別表第1(15)項の防火対象物の取扱いについて(昭和52年1月27日 消防予第12号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防法施行令別表第1(16)項イとして措置されている厚生施設の取り扱いについて(同日 同号)
- 自衛隊基地内の施設の取り扱いについて(昭和51年9月6日 消防予第66号 予防救急課長から静岡県総務部長あて回答)
- 消防法施行令別表第1
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





