地下街は、店舗や事務所が地下道でつながった特殊な防火対象物です。
どこまでを一つの地下街として面積を算定するのか。
駐車場や小さな店舗はどう扱われるのか。
質疑応答が示したのは区画・距離・利用形態という具体的なものさしで範囲を線引きするという考え方です。
高架下の駐車場も消防用設備等の対象になるんですか。
区画のしかたで変わります。
地下街の範囲はどこまでなんですか。
それも含めて5つの事例を順に見ていきます。
この記事の結論
- 高架工作物内の駐車場はさく・へい等で区画されていれば(13)項イの防火対象物です
- 二つの地下街は歩行距離40メートルを境に合算するかどうかが決まります
- 地下街の駐車場は(16の2)項に掲げる防火対象物の部分です
- 地下道部分の床面積は歩行距離20メートルの範囲か甲種防火戸の範囲までです
- 小規模な店舗は地下街としては扱わず利用形態で判断します
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目次
高架工作物内の駐車場は消防用設備等の規制対象になるか

このような駐車場も、消防用設備等の規制の対象になるのでしょうか。
問 外気に開放された高架工作物(鉄道又は道路等に使用しているもの)内を利用した駐車の用に供される部分は、消防法施行令別表第1(13)項イの駐車場として扱い、消防用設備等の規制の対象としてよいか。
答 さく、へい等によつて区画された駐車施設である場合は、消防法施行令別表第1(13)項イに掲げる防火対象物として取り扱われたい。
高架工作物という構造物の性質ではなく、さく・へい等で区画された駐車施設かどうかで規制の対象になるかが決まります。区画されていれば(13)項イの防火対象物として、消防用設備等の設置が必要になります。
面積の算定方法も同じ考え方で、区画されている部分はその区画の面積、区画されていない場合は高架工作物のうち駐車の用に供する部分の水平投影面積で算定します。
高架下の駐車スペースを管理しているなら、まず区画の有無を確認してください。
屋根があるかどうかより、囲われているかどうかなんですね。
そうです。
まず区画の有無を確認してください。
地下連絡路でつながる二つの地下街はどう合算するか

この場合、消防用設備等の設置基準となる面積は、地下街全体を一つとして算定するのでしょうか。
問 地下街における消防用設備等設置の場合の基準面積算定について、別図のような場合、地下街全体を一の地下街として面積を算定し、消防用設備等を設置し、維持しなければならないか。
答 地下鉄コンコースは、地下街として面積算定もしないし、かつ、地下街としての法規制もしないものとする。ℓの長さ(双方の地下街の店舗部分をむすぶ歩行距離のうち最短となるものをいう。)が40メートル未満の場合は、一の地下街とし、40メートル以上の場合はそれぞれ独立した地下街として取り扱われたい。なお、一の地下街として取り扱われる場合には、地下連絡通路部分も地下街の一部として取り扱うことを念のため申し添える。
質問では20メートルを境にする案が示されていましたが、回答は40メートルという異なる基準を示しました。地下鉄のコンコース自体は面積算定にも法規制にも含めません。
40メートル未満なら一つの地下街として合算し、40メートル以上なら別々の地下街として扱います。一つにまとめる場合は、間の地下連絡通路の部分も地下街の面積に含めます。
地下鉄駅を挟んで複数の地下街が近接しているなら、店舗部分同士を結ぶ最短の歩行距離を実測してください。
質問の20メートルと回答の40メートルが違うのが意外でした。
最短の歩行距離を
実測してみてください。
地下街に設けられた駐車場は防火対象物のどの部分になるか

この駐車場は、地下街とは別の防火対象物として扱われるのでしょうか。
問 地下道に連続して面する店舗、事務所等の施設が存する下層階に設けられた駐車場は、どのように取り扱うか。なお、駐車場とは階段等で接続されている。
答 設問の駐車場は、令別表第1(16の2)項に掲げる防火対象物の部分と解する。
階段でつながっているだけの駐車場でも、別の防火対象物として切り離されるのではなく、(16の2)項に掲げる地下街の一部分として扱われます。地下街と一体で消防用設備等の基準が適用されるということです。
下層階に駐車場を備えた地下街を管理しているなら、駐車場部分も地下街全体の設備計画に含めて検討してください。
下の階だからといって別扱いにはならないんですね。
地下街全体の
設備計画に含めて検討してください。
地下道部分の床面積はどこまでを算入するか

店舗や事務所から離れた通路の端まですべて算入するのか、範囲に線引きがあるのかが問題になります。
問 地下街に対する消防用設備等の技術上の基準の適用にあたり、地下道部分の床面積の算定する範囲はどのように考えるか。
答 店舗、事務所等の施設の各部分から歩行距離20メートル(20メートル未満の場合は当該距離)の線で囲まれた部分の床面積とする。ただし、随時開くことができる自動閉鎖装置付のもの若しくは感知器の作動と連動して閉鎖する方式の甲種防火戸が設置されている場合は、当該防火戸の線で囲まれた部分までとすることができる。
店舗や事務所の各部分から歩行距離で20メートルの範囲を床面積として算入します。ただし、自動閉鎖装置付きや感知器連動の甲種防火戸が設置されていれば、その防火戸の線までに範囲を絞ることができます。
つまり、防火戸を適切な位置に設ければ、算定対象となる床面積を実質的に小さくできるということです。
地下道でつながる施設の消防用設備等を検討しているなら、歩行距離20メートルの範囲と防火戸の位置を照らし合わせて確認してください。
防火戸の位置で算定範囲が変わるんですね。
防火戸の位置を照らし合わせて確認してください。
地下鉄駅舎に面する小規模店舗は地下街として扱われるか

このくらいの規模でも、地下街として消防用設備等の基準が適用されるのでしょうか。
問 地下鉄の駅舎のコンコースに面し、小規模の店舗が存している場合の取り扱いはどのように考えるか。
答 店舗、飲食店等が連続して存在せず、小規模な場合、地下街としては取り扱わず、駅舎又は店舗の利用形態、管理の権限等により、「令別表第1に掲げる防火対象物の取扱いについて」1、(1)又は(2)により判断されたい。
店舗や飲食店が連続せず、規模も小さい場合は、地下街としては取り扱わないとされました。かわりに、駅舎と店舗の利用形態や管理権限が誰にあるかによって、通常の防火対象物の判定基準で個別に判断します。
「連続しているかどうか」と「規模の大小」が、地下街として一体で見るか、個別の防火対象物として見るかの分かれ目になっています。
駅の構内に店舗を構えている、または出店を検討しているなら、周囲の店舗との連続性と自店の管理権限がどこにあるかを確認してください。
売店ひとつだけでも地下街扱いになるのかと思っていました。
連続性と管理権限を
確認してみてください。
よくある質問
Q高架下の駐車場は屋根があれば必ず規制対象になりますか?
A回答は、さく・へい等で区画された駐車施設である場合に(13)項イとして取り扱うとしています。区画の有無が基準です。
Q地下鉄コンコースでつながる地下街は常に合算されますか?
A回答は、店舗部分をむすぶ最短の歩行距離が40メートル未満なら一の地下街、40メートル以上ならそれぞれ独立とするとしています。
Q地下街の下層階の駐車場は独立した防火対象物になりますか?
A回答は、令別表第1(16の2)項に掲げる防火対象物の部分と解するとしています。地下街と一体で扱われます。
Q駅の構内にある一店舗だけでも地下街の基準が適用されますか?
A回答は、店舗が連続せず小規模な場合は地下街として取り扱わないとしています。利用形態と管理権限で個別に判断します。
まとめ
✔高架工作物内の駐車場は区画があれば(13)項イに該当します
✔二つの地下街は歩行距離40メートルが合算の境目です
✔地下街の駐車場は(16の2)項の一部として扱われます
✔地下道の床面積は歩行距離20メートルか防火戸の線までです
✔小規模な店舗は地下街としては扱われません
✔迷ったら区画・距離・連続性の3つのものさしで確認してください
距離や区画で線引きされているのがよく分かりました。
自分のビルも確認してみます。
区画の有無、歩行距離、店舗の連続性。
この3つを押さえておけば判断しやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 外気に開放された高架工作物内を利用した駐車場の用に供される部分の規制について(昭和52年7月8日 消防予第130号 予防救急課長から東京消防庁総監あて回答)
- 地下街の消防用設備等の設置指導について(昭和52年7月14日 消防予第139号 予防救急課長から愛知県総務部長あて回答)
- 地下街に設けられた駐車場に関する疑義について(昭和53年2月21日 消防予第32号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて)
- 地下道部分の床面積の算定について(同日 同号)
- 地下鉄の駅舎に面する小規模店舗の取り扱いについて(同日 同号)
- 消防法施行令別表第1
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





